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どうしてる?外国籍の子どもの保育【アンケート結果】

顔にペイントがついた女の子と男の子
現在、「外国にルーツを持つ子ども」の受け入れを保育所で行っている自治体は約7割。園で外国籍の子どもと関わる機会が増える中で抱えている課題や対応法について、現場の保育士さんにお聞きしました。

約7割の自治体が保育園で外国籍の子どもを受け入れ

近年、外国籍のお子さんを受け入れている保育園も珍しくなくなってきました。2019年(令和元年)に厚生労働省が民間に委託して行った調査「保育所等における外国籍等の子ども・保護者への対応に関する調査研究」によると、調査対象の自治体のうち「外国にルーツを持つ子どもが入園している保育所等がある」と回答した割合は71.1%。保育現場では、外国籍の子どもに対応する機会が増えています。

そこで今回、ほいくis公式Instagramで外国籍の子どもの保育に関するアンケートを実施しました。その結果を元に、現状をお伝えしていきます。

※参考資料:保育所等における外国籍等の子ども・保護者への対応に関する調査研究事業 報告書(2020年3月)/三菱UFJリサーチ&コンサルティング
※厚生労働省の令和元年度子ども・子育て支援推進調査研究事業 実施事業より 

外国籍の子どもとの関わりで困った経験は?

最初に、外国籍の子どもと関わる際に困った経験の有無についてお聞きしました。 
外国籍の保護者を持つ子どもとの関わりについてのアンケート結果
●【質問】外国籍の保護者を持つ子どもとの関わりに、困った経験はありますか? 
ある 2,199件(78.2%) 
ない 613件(21.8%)

結果は、「ある」と答えた方が78.2%、「ない」と答えた方が21.8%となりました。8割近い保育士さんが困った経験をしており、外国籍の子どもとの関わりに難しさを感じていることが分かります。
 

対応マニュアルはある?

通常とは異なる対応が必要な場合、園にマニュアルがあると安心ですよね。続いての質問では実際、どれくらいの園に外国籍の子どもに対応するためのマニュアルがあるのかお聞きしました。
外国籍の子どもの対応についてのアンケート結果●【質問】外国籍の子どもへの対応について、園でマニュアルなどは用意されていますか? 
ある 186件(6.5%)
ない 2,677件(93.5%)
結果は、「ある」と答えた方が6.5%、「ない」と答えた方が93.5%でした。多くの園ではマニュアルが用意されておらず、現場の保育士さんが創意工夫をして対応策を練っている実情がわかる結果となりました。

対応で困った事例

続けての質問では、実際に外国籍の子ども対応で困った経験がある方に、その内容をお聞きしました。
外国籍の子どもへの対応で最も困ったことのアンケート結果
●【質問】外国籍の子どもへの対応で、最も困ったのはどんな場面ですか? 
言葉が通じない 1,640件(63.0%)
しつけや文化の違い 587件(22.6%)
食べ物の違い 248件(9.5%)
その他 128件(4.9%)
いちばん多かった回答は「言葉が通じない(63.0%)」でした。続いて「しつけや文化の違い(22.6%)」、「食べ物の違い(9.5%)」「その他(4.9%)」となりました。

フリーアンサーでもさまざまな回答をいただきましたが、その中からいくつかご紹介します。
  • お願い事を伝えるのが難しい
  • 連絡帳を書くのがすごく困った
  • お手紙などがあまり読めず、理解できないことが多い
  • 持ち物を期日までに持ってこない
  • 他の園児の対応をしている間に、勝手に子どもを置いていった
  • 宗教の関係で食べ物が制限されており、都度確認した
  • 日本ならではの行事の準備が難しい(七夕の短冊など)
  • 年齢に見合わない行動が、発達の遅れから生じるのか、言葉の壁や文化の違いから生じるのか、見極めが難しい
  • 指示が通りにくい
  • 考え方やマナーが異なる
  • 他のママさんグループラインに入れてもらえなくて苦情がきた
言葉が通じないことで意思疎通が図れなかったり、文化が違うことで思考や行動の理解が難しかったりするようです。「伝えたくても伝わらない」「理解したくても難しい」といった悩みを抱えながら対応をしている様子がうかがえます。

保育現場での対応事例

外国籍の保護者や子どもと関わる上で、保育現場で実際に行っている対応について、フリーアンサーでお聞きしました。その中からいくつかご紹介します。
  • 絵カードを使ってコミュニケーションをとった
  • 簡単な日本語でゆっくり伝えた
  • iPadやスマホに翻訳アプリを入れた
  • ポケトークを利用した
  • 連絡帳はひらがなで書いた
  • 通訳(ボランティア・市役所職員・他の保護者・バイリンガルの職員)に対応してもらった
  • 写真や動画で子どもの様子を伝えた
  • 日常の決まったセリフは英語で言えるように覚えた
  • 少しでも歩み寄れるように中国語を勉強した
  • 必要最低限の単語を保護者から教えてもらった
  • 保育士が一対一で対応した
  • 園からの手紙は英語バージョンのものを渡した
  • おたよりなどは漢字の上にふりがなを打ったものを別に用意した
  • 連絡事項を連絡帳に書いて、日本人のお父さんが読めるようにした
  • 卒園児で同じ国出身の信頼できるお母さんに通訳を頼んだ
  • 同国籍の保護者に伝え方を聞いて、簡単なマニュアルを作った
  • 宗教に合わせた給食を用意した
  • 伝えたいことをネットで調べて、プリントアウトして見せた
翻訳アプリや携帯翻訳機の「ポケトーク」を利用してコミュニケーションを図っている保育士さんが多いと分かりました。回答の中でも特に多かったことから、保育現場でよく利用されていることがうかがわれます。翻訳機器が使用できない園では、絵カードや写真を使用してビジュアルで伝える工夫をしたり、英語や子どもの母国語を勉強したりして対応している保育士さんも多いようです。

対応策をまとめて保育士の不安を減らす

今回は、外国籍の子ども対応についてのアンケート調査結果をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。マニュアルの整備が進んでいない中で、現場の保育士さんが試行錯誤を重ねている姿がうかがえました。使える機器や人材、対応の仕方を園ごとにまとめておくことで、保育士さんの不安や負担も軽減できるのではないかと感じました。今回の結果をヒントにぜひ取り組んでみてくださいね。
 
<アンケート調査について>
調査期間:2022年8月2日(1日)/調査方法:Instagramでアンケートを実施/調査対象:Instagramユーザー/有効回答数:1問目「Q. 外国籍の保護者を持つ子どもとの関わりに、困った経験はありますか?」2,812件、2問目「Q. 外国籍の子どもへの対応について、園でマニュアルなどは用意されていますか?」2,863件、3問目「Q. 外国籍の子どもへの対応で、最も困ったのはどんな場面ですか?」2,603件(選択肢4はフリー記述)、4問目「Q. 外国籍のお子さんを受け入れている園で、「うちの園ではこんな対応をしています!」「この対応はやってよかった!」といったエピソードがあれば教えてください」151件(フリー記述) 

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