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2歳児の発達段階と保育のポイントを解説

ビニールハウスでいちごを持っている女の子
2歳児保育のキーワードは「基本的生活習慣の自立」「随意筋の発達」「集団意識の芽生え」です。発達課題を捉えて、保育環境を整えましょう。今回は、2歳児の発達段階と保育のポイントについて解説します。

2歳児の発達段階とは?

2歳児の発達段階について、食事・排泄・着替え・運動・社会性の5つの観点から確認しましょう。月齢や個人差により差があるので、めやすとして参考にしてください。

食事

フォークを使って食べている2人の子ども
自分で最後まで食事ができるようになります。味覚の発達により、好き嫌いや偏食が出る場合も。スプーンやフォークを鉛筆持ちで食べられるようになり、大人の言葉かけにより少しずつマナーを意識することもできます。

排泄

オムツからパンツへ移行する時期です。排尿後にトイレットペーパーで拭いたり、手洗いをしたりと後始末もできるように。パンツも全部脱がず、便器の前で上げ下ろしできるようになります。排便後の後始末は、保育士の手伝いや確認が必要です。

着替え

自分で脱いだり着たりできるようになります。また汚れに気がついて、自ら着替えを行おうとする姿も。ボタンやチャックなどは、保育士の手伝いが必要な場合もあります。着替えの後始末まで意識できるようになります。

運動

カラフルな手形のスタンプをつけている子どもの手
跳ぶ・またぐ・くぐるなどの基本的な動きができるようになります。手指も器用になり、つまむ・丸めるなどの動きが可能に。随意筋(自分で動かせる筋肉)が発達し、少しずつ自分の意志で全身や手指の動きをコントロールできるようになってきます。これに伴い、生活習慣の自立も進んでいきます。

社会性

集団への意識が高まり「みんなと一緒」を喜びます。友だちの行動に興味を示し、真似をしたがります。子ども同士の関わりが増え、名前を覚えたり、言葉のやりとりをしたりしながら一緒に遊ぶようになります。



保育のポイントは?

2歳児を保育する上で、どのようなことを意識したら良いのでしょうか。保育のポイントを解説します。

ねらいと関わり方

トンネルの中を歩く女の子
保育所保育指針に記載されている《1歳以上3歳未満児の保育に関するねらい》は以下の通りです。
【健康】
①明るく伸び伸びと生活し、自分から体を動かすことを楽しむ
②自分の体を十分に動かし、様々な動きをしようとする
③ 健康、安全な生活に必要な習慣に気付き、自分でしてみようとする気持ちが育つ

【人間関係】
①保育所での生活を楽しみ、身近な人と関わる心地よさを感じる
②周囲の子ども等への興味や関心が高まり、関わりをもとうとする
③保育所の生活の仕方に慣れ、きまりの大切さに気付く

【環境】
①身近な環境に親しみ、触れ合う中で、様々なものに興味や関心をもつ
② 様々なものに関わる中で、発見を楽しんだり、考えたりしようとする
③見る、聞く、触るなどの経験を通して、感覚の働きを豊かにする

【言葉】
①言葉遊びや言葉で表現する楽しさを感じる
②人の言葉や話などを聞き、自分でも思ったことを伝えようとする
③絵本や物語等に親しむとともに、言葉のやり取りを通じて身近な人と気持ちを通わせる

【表現】
①身体の諸感覚の経験を豊かにし、様々な感覚を味わう
②感じたことや考えたことなどを自分なりに表現しようとする
③生活や遊びの様々な体験を通して、イメージや感性が豊かになる

出典:保育所保育指針(平成29年告示)/厚生労働省
上記のねらいと子どもの姿を踏まえ、2歳児クラスのねらいを考えます。

【ねらいの例】
  • 保育士に見守られながら、身の回りのことを自分でしようとする
  • 生活や遊びを通して、友だちとの関わりを深める
  • さまざまな素材に興味をもち、物を作る楽しみを知る
  • 自分の気持ちや身近な出来事を言葉で伝えようとする
  • 手遊びやリズム遊びを楽しむ

子どもが友だちとの関わりの中で、意欲的に過ごせるねらいを設定しましょう。

2歳児の姿と対応方法

公園の木々の中に立っている子ども
2歳児クラスの子どもたちは「イヤイヤ期」の真っ只中です。「いや!」「自分で!」と癇癪を起こし、対応に困った経験のある保育士さんは多いでしょう。
子どもの「いや!」は、自我が芽生えたことによる自己主張です。まずは成長を喜びましょう。

対応は以下の点を意識します。
  1. 前もって行動の見通しを伝える
  2. 子どもの気持ちを受けとめる
  3. 選択肢を提案する
たとえば、園庭から室内へ入るときにいつも嫌がる子には、以下のような言葉かけが考えられます。
  1. 時計の針が6のところにきたら、お部屋に入ろうね。(見通しを伝える)
  2. すべり台、楽しかったね。明日も遊ぼうね。(気持ちを受けとめる)
  3. 先生と手つないでいく?それとも、かけっこでいく?(選択肢を提案する)
いつも同じ対応が通用するとは限りません。気持ちに寄り添いながら、子どもに合った言葉かけを見つけていきましょう。
座り込んで泣いている男の子

おすすめの遊び・活動例

2歳児は随意筋が育つ時期です。自分の意思で身体の動きをコントロールできる遊びをたくさん取り入れていきましょう。

ここからは、保育園でできる2歳児の遊びをご紹介します。

屋外遊び

青いサッカーボールを持っている子ども
屋外では、バランス感覚や筋力を高める遊びを用意します。集団を意識し始める時期なので、簡単なルールのある遊びも取り入れてみましょう。

【おすすめの屋外遊び】
  • ボール遊び
  • かけっこ
  • 三輪車
  • しっぽ取りゲーム
  • だるまさんがころんだ

室内遊び

室内では、指先を使うおもちゃを用意して随意筋の発達を促します。友だちと言葉のやり取りを楽しめる遊びも用意しましょう。

【おすすめの室内遊び】
  • 粘土
  • 積み木
  • ままごと
  • ひも通し
  • パズル


クラス運営で気をつけること

ビニールプールで遊んでいる2人の子ども
2歳児クラスで保育士が意識したいことは以下の2点です。

自己主張にはおおらかに対応する

2歳児は自己主張が活発な時期です。保育士はおおらかな気持ちで受けとめ、子どもの気持ちに寄り添いたいですね。子どもが動かないからといって、腕をひっぱったりしないよう気をつけましょう。子どもが自分の意思で主体的に行動できるよう見守っていきたいですね。

子どもの発達段階をチェックする

前を見つめている子どもの横顔
2歳児になると月齢による発達の差が小さくなってきます。すると、子どもによっては言葉や行動、友だちとの関わりから、発達の偏りが見えてくる場合もあります。担当する保育士は特別な支援が必要か見極め、3歳児クラスへと繋げていく役割を担います。子どもの姿をよく見て、どの発達段階にいるのか確認しながら保育を行なっていきましょう。

基本的生活習慣の自立をサポートしよう

2歳児クラスでは自己主張する子どもたちと向き合いつつ、基本的生活習慣の自立をサポートしていくことが大切です。発達には個人差があるので、無理をさせる必要はありません。自立に至っていない部分は次年度の担任に引継ぎます。今どの発達段階にいるのか、確認しながら保育をしていきましょう。

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佐野きこ(さの きこ)

この記事を書いた人

佐野きこ(さの きこ)

現役保育士。
現在は子どもだけでなく、保育士や保護者など、子どもに関わる人をサポートする仕事がメイン。子どもも保護者も保育士も、みんなが笑顔になれる保育を目指している。
座右の銘は「保育士は、保育のプロである」
保育の専門家として、わかりやすく保育を語れるよう奮闘中。
家庭では、2人の息子のお母さん。

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