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保育所保育指針を解説~改定のポイントと指導案への活かし方

黄色い椅子に並んで座っている5人の子ども
時代に合わせて改定を重ねている保育所保育指針。2018年(平成30年)には、「保育所保育指針」「幼稚園教育要領」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」の3法令が同時に改定・施行されました。今回は、現行の保育所保育指針のポイントと指導案への活かし方について解説します。

保育所保育指針とは

重ねて片付けられているいす
保育所保育指針とは、保育所保育の基本となる考え方を定めたものです。各保育所(保育園)で共通の枠組みとなるため、全国で一定の水準が保証された保育が展開されることになります。

時代の変化に合わせながら約10年に1度の改定を繰り返し、2018年に施行された保育所保育指針が最新のものとなっています。

保育所保育指針の構成は、以下の通りです。
第1章 総則
第2章 保育の内容
第3章 健康及び安全
第4章 子育て支援
第5章 職員の資質向上
それぞれ内容によって、①遵守しなければならないもの/②努力義務が課されるもの/③各保育所の創意や裁量を許容するものに区別されています。

保育所保育指針の内容をもとに、各保育所は創意工夫を図りながら保育を行い、保育所の機能と質の向上に努めていく必要があります。

改定のポイント

2018年の保育所保育指針改定のポイントは以下の2点です。

①幼児教育の強化
②0〜2歳児保育の充実

1つずつ解説していきましょう。

①幼児教育の強化

手をつないで歩く2人の子ども
改定によって、保育所における幼児教育の強化が期待されています。

改定前も、保育所は五領域をもとに教育を行ってきました。しかし園の方針や特色により、子どもが身につける力に差が出ることも。そのため、幼稚園・保育園・認定こども園のいずれに通っても子どもが一定の力を身に付けられるよう、それぞれの施設に対応する「保育所保育指針」「幼稚園教育要領」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」の3法令が同時に改定されました。その結果、「育みたい資質・能力」や「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が共通して明記されました。

ここで言う幼児教育とは、早期教育のことではありません。生きる力や学習へ向かう意欲など、土台となる力を育むことです。保育士は生活や遊びの中で教育的視点を持ち、子どもの資質や能力を育んでいく意識が求められています。

②0〜2歳児保育の充実

手すりを持ちながら見つめている子ども
改定に伴って、0・1・2歳児保育についての記述が増えました。これには、女性の社会進出や核家族化など、社会の変化に伴って未満児保育の需要が増したことが背景にあります。保育所保育指針の第2章には、「乳児保育に関わるねらい及び内容」「1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容」という項目が加わりました。

また、3歳以上児の保育・教育との連続性を考慮に入れ、1・2歳児にも五領域が明記されるようになりました。乳児においても五領域につながる3視点が設けられ、発達の連続性を意識した保育を行うことが求められています。

覚えておきたいキーワード

内容も多くて読み込む時間がかかる保育所保育指針ですが、キーワードを使って整理することで、理解を進めやすくなります。幼児教育の目指すべき方向性や内容を掴むためにも、押さえておきましょう。

育みたい資質・能力

砂場で遊んでいる子ども
幼児教育を行う施設として、以下の資質・能力を育むよう努めることが示されています。
  • 知識及び技能の基礎・・・豊かな体験を通じて、感じたり、気付いたり、分かったり、できるようになったりする
  • 思考力、判断力、表現力等の基礎・・・気付いたことや、できるようになったことなどを使い、考えたり、試したり、工夫したり、表現したりする
  • 学びに向かう力、人間性等・・・心情、意欲、態度が育つ中で、よりよい生活を営もうとする

幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(10の姿)

斜面に作られた階段を上っている子ども
保育活動を通して小学校就学までに育みたい資質・能力について、子どもたちの具体的な姿を示したものです。視点が10個あることから「10の姿」とも言われますが、内容は以下の通り。
  • 健康な心と体
  • 自立心
  • 協同性
  • 道徳性・規範意識の芽生え
  • 社会生活との関わり
  • 思考力の芽生え
  • 自然との関わり・生命尊重
  • 数量や図形・標識や文字などへの関心・感覚
  • 言葉による伝え合い
  • 豊かな感性と表現
「10の姿」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。あわせてチェックしてみてください。

「3視点」と「五領域」

保育所における教育目標を設定するための視点(乳児)・領域(1歳以上児)がそれぞれ示されています。

【3視点】乳児保育は以下の3視点をもとに保育を行います。
  • 健やかに伸び伸びと育つ・・・身体的発達に関する視点
  • 身近な人と気持ちが通じ合う・・・社会的発達に関する視点
  • 身近なものと関わり感性が育つ・・・精神的発達に関する視点
【五領域】1歳以上児は以下の五領域をもとに保育を行います。
  • 健康・・・心身の健康に関する領域
  • 人間関係・・・人との関わりに関する領域
  • 環境・・・身近な環境との関わりに関する領域
  • 言葉・・・言葉の獲得に関する領域
  • 表現・・・感性と表現に関する領域
出典:保育所保育指針(平成29年告示)/厚生労働省

指導案の作成に活かそう

原っぱに生えている植物を掴んでいる子ども
頭の中で保育のイメージができると、指導案の作成もスムーズに進みます。具体的な保育や子どもの姿の想像が難しい時には、保育所保育指針を見てみましょう。中でも、教育的内容で構成されている五領域に着目してみましょう。

①「内容」をもとに子どもの姿をイメージ
②「ねらい」をもとに環境構成や保育士の配慮をイメージ

例えば「3歳以上児の保育に関するねらい及び内容」の「環境」について考えてみます。
具体的な子どもの姿をイメージするためには「内容」を見ます。
自然に触れて生活し、その大きさ、美しさ、不思議さなどに気付く。
上記の項目をもとに活動を考えます。春であれば、散歩を通して色とりどりに咲く花に触れても良いですね。秋であれば、園庭での虫探しも良いでしょう。

このような活動は、子どもにどのような姿を育もうとしているのでしょうか。関連する項目を「ねらい」から見つけます。今回の内容の場合は、以下の項目になります。
身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心をもつ。
ねらいをもとに、環境構成や保育士の配慮を考えていきましょう。今回の例であれば、図鑑を置いたり、季節の花を飾ったりすることが考えられます。また、子どもに「キレイだね」「いい香りがするね」と意図的に語りかけることも良さそうです。

実際に上記のような活動を行うと、次のような子どもの姿が見られることでしょう。
  • 自然との関わり
  • 思考力の芽生え
  • 豊かな感性
  • 言葉による伝え合い
反省・評価には「10の姿」を参考に、どのような子どもの育ちが見られたのか記録しておくと良いでしょう。

五領域をもとにイメージを膨らませることができれば、保育所保育指針に基づいた指導案を作成することができます。記入する際に適切な言葉が見つからない場合は、保育所保育指針に使われている表現を参考にすると、スムーズに書くことができますよ。

保育所保育指針を使って専門性を高めよう

いかがでしたか。保育所保育指針の改定により「教育」の視点が強化されました。生活や遊びを通して、子どもの「生きる力」を育んでいくことが保育士には求められています。保育所保育指針をもとに指導案を作成し、専門性を持った保育・教育を展開していきたいですね。

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佐野きこ(さの きこ)

この記事を書いた人

佐野きこ(さの きこ)

現役保育士。
現在は子どもだけでなく、保育士や保護者など、子どもに関わる人をサポートする仕事がメイン。子どもも保護者も保育士も、みんなが笑顔になれる保育を目指している。
座右の銘は「保育士は、保育のプロである」
保育の専門家として、わかりやすく保育を語れるよう奮闘中。
家庭では、2人の息子のお母さん。

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