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5歳児の発達段階と保育のポイントを解説

シャボン玉を吹いている子ども
保育園の年長児となる5歳児クラス。就学に向けて、自信を持って行動できる機会を増やしていきたいですね。今回の記事では、5歳児の発達段階と保育のポイントについて解説します。

5歳児の発達段階とは?

5歳児の発達段階について、生活習慣・運動・言葉・社会性・概念の5つの観点から確認していきます。発達や得意・不得意によって個人差が見られるので、めやすとして参考にしてください。

生活習慣

草むらを探している3人の子どもとカメラを見ている子ども
服の着脱や食事、排泄などの基本的な生活習慣が身につきます。1日の生活に見通しを持てるようになり、時計を意識した行動もできるようになります。

運動

バランス感覚が育ち、さまざまな動きを組み合わせた動きができるようになります。スピード感覚が発達する一方で、動きを調節する機能も育ってきます。

言葉

自分の意見や出来事を言葉で表現できるようになります。また、新しい単語に興味を持ち、使ってみようとする姿が見られるようになります。

社会性

友だちの気持ちを理解し、自分の思いを調整しながら関われるようになります。また、ルールやマナーを守れるようになり、社会的に望ましい行動ができるようになってきます。

概念

バケツを持ってキャンバスに絵を描く子ども
「落としたら割れる」などの原因と結果の関係性や、「カラスとスズメは鳥の仲間」など共通の特徴に基づいた分類を行うことができるようになります。また、時間や数、量についての概念も身についてきます。



保育のポイントは?

5歳児の保育のポイントについてご紹介します。

ねらいと関わり方

文字ブロックを見つめている子ども
保育所保育指針に記載されている《3歳以上児の保育に関するねらい》は以下の通りです。
【健康】
①明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう
②自分の体を十分に動かし、進んで運動しようとする
③健康、安全な生活に必要な習慣や態度を身に付け、見通しをもって行動する

【人間関係】
①保育所の生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう
②身近な人と親しみ、関わりを深め、工夫したり、協力したりして一緒に活動する楽しさを味わい、愛情や信頼感をもつ
③社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける

【環境】
①身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心をもつ
②身近な環境に自分から関わり、発見を楽しんだり、考えたりし、それを生活に取り入れようとする
③身近な事象を見たり、考えたり、扱ったりする中で、物の性質や数量、文字に対する感覚を豊かにする

【言葉】
①自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう
②人の言葉や話などをよく聞き、自分の経験したことや考えたことを話し、伝え合う喜びを味わう
③日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに、絵本や物語などに親しみ、言葉に対する感覚を豊かにし、保育士等や友達と心を通わせる

【表現】
①いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ
②感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ
③生活の中でイメージを豊かにし、様々な表現を楽しむ

出典:保育所保育指針(平成29年告示)/厚生労働省
上記のねらいと子どもの姿を踏まえ、5歳児クラスのねらいを考えます。

【ねらいの例】
  • 健康で安全な生活習慣を身につけ、友だちと楽しみながら運動しようとする
  • 生活に見通しを持ち、主体的に行動する充実感を味わう
  • 思いや考えを伝え合いながら、心を通わせる喜びを感じる
  • 身近な自然に関心を持ち、遊びや生活に取り入れる
  • 就学に向け、期待を持って園生活を楽しむ
他者から感謝されたり、認められたりすることで、自信や自己肯定感が育っていきます。お当番活動など、異年齢の子と関わりを持てる機会を設けてみましょう。

担任以外の保育士から「ありがとう」と感謝される経験は、子どもの意欲を育てます。連携を図りながら、園全体で5歳児の育ちを見守っていきたいですね。

担任は子どもが自己評価できる機会を設けましょう。「褒められるから」ではなく、人の役に立つ行動をした自分自身を誇れることが大切です。自分の行動に自信が持てるよう、振り返りの機会を作りましょう。

5歳児の姿と対応方法

口を尖らせてにらめっこをする2人の子ども
5歳児になると、言葉で自分の気持ちを表現することが上手になります。友だちとの仲が深まる時期ですが、気の合わない友だちとは衝突が増えるようになります。

友だちや家族、テレビなどで使われていた言葉を自ら試すようになり、不適切な言葉で人を傷つけることも。言葉を発した子どもの気持ちを受け止めつつ、相手の気持ちにも気付けるような働きかけが求められてきます。言葉の選び方や使い方を伝えていくことで、子どもたちが良好な人間関係を育んでいけるよう支援していきましょう。

おすすめの遊び・活動例

ここからは、5歳児におすすめの遊びと、遊びを通して育みたい力をご紹介します。

屋外遊び

鉄棒をする子ども
5歳児におすすめの屋外遊びは以下のようなものがあります。
  • サッカーやドッジボールなどの球技(運動能力・協調性)
  • 鉄棒やブランコなどの遊具(体力・バランス感覚)
  • 砂場での遊び(創造力・空間認識力)
  • 植物観察や虫取り(自然や生き物に対する興味・知識)
  • 縄跳びやフラフープなどの遊具(集中力・忍耐力)
さまざまな動きができるようになることで、自信が持てるようになります。楽しい気持ちを友だちと共有できるような環境を準備したいですね。

室内遊び

赤いブロックを積み上げている子ども
5歳児におすすめの室内遊びは以下のようなものがあります。
  • 絵本を読む(知識・想像力)
  • ブロック・積み木(空間認識力・創造力)
  • ごっこ遊び(想像力・社会性)
  • 製作活動(表現力・創造力)
  • パズル・ゲーム(論理的思考力・協調性)
友だちとイメージを共有して遊ぶことで、想像力や社会性の発達を促すことができます。外遊びが難しい時は、室内での運動遊びも取り入れるように心がけましょう。

クラス運営で気をつけること

保育士が持つプリントを見つめる2人の子ども
5歳児クラスでは就学を視野に入れ、自分で考えて行動できる機会を増やしていきましょう。保育士は、以下の流れで配慮を意識していきたいですね。
  1. 自分で気付ける環境を作る(絵表示など)
  2. 友だち同士で声を掛け合える環境を作る
  3. 保育士が援助を行う
なんでもできるようになれば良い訳ではなく、できないことは友だちや先生に助けを求められる力も必要です。「困ったときは先生に教えてね」と伝えながら、日々の様子を見守りましょう。

自信を育もう

いかがでしたか? 5歳児クラスは就学へ向けて大きく成長する時期です。生活や遊びを通して自信を育み、主体的に行動できる力を養っていきたいですね。5歳児クラス担当の方は、参考にしてみてください。

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佐野きこ(さの きこ)

この記事を書いた人

佐野きこ(さの きこ)

現役保育士。
現在は子どもだけでなく、保育士や保護者など、子どもに関わる人をサポートする仕事がメイン。子どもも保護者も保育士も、みんなが笑顔になれる保育を目指している。
座右の銘は「保育士は、保育のプロである」
保育の専門家として、わかりやすく保育を語れるよう奮闘中。
家庭では、2人の息子のお母さん。

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