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保護者対応で注意すべき言葉遣いを解説~ポイントと言い換え例

保護者と会話をする保育士
「子どもは好きだけど、保護者とのやりとりが苦手」という保育士は少なくありません。しかし適切な対応を行わないとクレームに繋がることも。円滑な保育を行うためにも、保護者とのコミュニケーションには気を配っていきたいですね。今回は、保護者対応で気をつけたい言葉遣いや、言葉の言い換え方法についてご紹介します。

言葉遣いはなぜ重要か?

保育士と笑顔で会話をする保護者
保護者対応をする上で気をつけたいのが「言葉遣い」です。なぜ言葉遣いが重要なのか、社会人と保育士、2つの観点から見てみましょう。

社会人の観点

社会人とは、自立した大人のことです。給与を受け取る代わりに責任を持って仕事をする必要があるので、たとえ社会に出て一年目だとしても、世間からは大人としての対応を求められます。正しい言葉遣いで話し、目の前の相手に失礼のない対応をすることが社会人にとって大切な仕事の一つだと言えます。

保育士の観点

保育士は保護者との信頼関係を築くために、言葉遣いに気をつける必要があります。1日のほとんどを子どもと過ごす保育士にとって、保護者とやりとりをするのは送迎時のわずかな時間だけ。言葉遣いや態度で保育者の印象が決まってしまいます。

保護者が安心して子どもを預けられるよう、保育士は信頼を得られるような言葉遣いを意識する必要があります。

保護者対応で注意したい言葉遣い

「保護者と親しくなりたい」「相談しやすい雰囲気を作りたい」という思いから、意図的にくだけた話し方にする保育士さんもいることでしょう。園の雰囲気や地域性、保護者との関係性によって言葉遣いは変わってきます。

そんな中でも、保育士として気をつけたい言葉遣いについてご紹介します。

若者言葉

流行り言葉の札を持っている女子高生
いわゆる「若者言葉」と呼ばれる、若年層でよく使われる俗語などは社会人として不適切なだけでなく、保護者の中には不快に感じる方もいるので気をつけましょう。

若者言葉には、以下のような言葉が挙げられます。
マジ/ヤバい/ガチ/超/ウケる/ダサい/エモい/バズる/オワコン など…
普段から使っていると、若者言葉だと気付かない場合も。時々、保育士同士で確認し合ってみると良いでしょう。

友だち言葉

保護者と親しくなってくると、つい使ってしまいがちな「友だち言葉」にも気をつけましょう。

友だち言葉には、先に挙げた若者言葉の他に以下のような言葉遣いが挙げられます。
・「〜だよね」「〜でしょ?」とくだけた語尾を使う
・「ねぇ」「ちょっと」などと呼びかける
・冗談を言ったり、軽薄な表現を使う
・保育士が自分のことを「うち」「俺」と言う
一見親しみを感じられる「友だち言葉」も、相手によっては「礼儀がない」と感じる場合も。丁寧な言葉の方が良い印象を残します。

子どもの呼び捨て

名前の呼び捨ては、子どもに対する親しみを感じる一方、不快に感じる保護者の方もいます。保育園で子どもの呼び方を統一して、保護者に周知しておくことも大切です。

子どもたちのことは、「〇〇くん」「〇〇ちゃん」のように呼ぶと良いでしょう。中には園の方針で、性別に関わらず「〇〇さん」と統一して呼ぶところもあるので、初めて働く園の場合は最初に確認しておく必要があります。

上から目線の言葉

何気なく使ってしまいがちですが、「〇〇くんに、~してあげました」という言葉遣いは避けましょう。中には「上から目線だ」と感じる方も。

保育士にとって子どもの支援は「してあげる」ものではなく「する」ものです。「~すると、嬉しそうに笑っていました」など、子どもの様子と合わせて丁寧に伝えると良いでしょう。

指示的な言葉

保育士からの言葉に申し訳なさそうにしている保護者
「〜しないでください」「〜してください」は一見丁寧に伝えているように見えますが、保護者の行動を指示する言葉です。端的な言い方は明確に伝わりますが、一方の保護者側は「命令された」と感じ、信頼関係にヒビが入る可能性も。「〜する(しない)よう、ご協力をお願いいたします」と依頼した方が良いでしょう。

否定的な言葉の言い換え例

保護者との会話の中でつい言ってしまいがちな言葉の中には、意図せずネガティブな印象を与えてしまうものがあります。これらの言葉は、上手く言い換えることで印象ががらりと変わります。どのように言い換えできるか見てみましょう。

「でも」「しかし」の言い換え

肯定と否定を対比するイメージ
「でも」「しかし」といった言葉は反射的に出てしまいそうですが、保護者の言葉に対して反発するような一言です。日常会話では当たり前の言葉かもしれませんが、保護者対応では否定的な印象を与えるので避けましょう。

話を最後まで聞いたうえで、「実は…」と言い換えるとネガティブな印象が減りますね。また、その前に「そうですね」など、保護者の感じ方を受け止めるような言葉を加えると、さらに丁寧になりますよ。

「普通は」「一般的には」の言い換え

「普通はこの年齢だと〇〇ができますよ」などと、アドバイスの中でも言ってしまうことがあるかもしれません。しかし聞いた相手は、「できない自分の子どもが異常なの?」と感じてしまうことがあるので気を付けたいところです。

なるべく使わないのが無難ですが、やむを得ない時には「こんなケースが多いです」と柔らかく言い換えて伝えると良いですよ。

「そんなはずないです」「違います」の言い換え

「CHANGE」と書かれた黒板
「そんなはずないです」「違います」といった言葉は、間違ったことを言われたときや聞かれたときについ言ってしまいそうな一言ですよね。否定的なだけでなく、曖昧な印象も与えるので、注意が必要です。

その場で反射的に返事をしようとせずに、「すぐに確認いたします」と、確実な返事ができるようにしましょう。

言葉遣いで気をつけたいポイント

言葉遣いを意識する上で、特に気をつけたいポイントについてご紹介します。

電話対応はより丁寧に行う

電話対応をしている保育士
電話対応を行う時は、相手の表情が見えないため、より丁寧さを心がけて話しましょう。保育者にそのつもりがなくても、言い方一つで「否定的な態度だ」と感じる保護者もいます。保育士側も保護者の表情が見えないので、気分を害してしまったと気付くことが難しいです。

後々トラブルに発展しないよう、電話で話す時は保育現場で話す時よりも気をつけて言葉を選びたいですね。

「ウチ」と「ソト」を使い分ける

敬語は「ウチ(内)」と「ソト(外)」を正しく使い分けることが重要です。

上司は同じ職場の人なので「ウチ」の人になります。対して、保護者は「ソト」の人です。「ソト」の人と話をする際、「ウチ」の人に対して敬語は使用しません

例えば「園長先生が〇〇とおっしゃってました」ではなく「園長が〇〇と申しておりました」となります。

この場合、敬語を外しても上司に対する無礼にはなりません。むしろ間違った使い方は保護者に対して失礼になってしまいます。

普段からの心がけ

丁寧な言葉遣いをするためには、普段からの心がけが重要です。どのようなことを意識したら良いのか、見てみましょう。

正しい言葉遣いを習慣化する

正しい言葉遣いは一朝一夕で身につくものではありません。意識していたとしても、ふとした瞬間にいつも使っている言葉が出てきてしまうものです。せっかく築き上げた信頼関係が壊れないよう、普段から正しい言葉遣いを意識し、習慣化していきましょう。

ポジティブな側面に目を向ける

ネガティブとポジティブを対比するイメージ画像
どんなに正しい言葉遣いをしていても、ネガティブな発言ばかりしていては保護者との信頼関係は築けません。普段から子どもの長所や成長してきた部分に目を向け、ポジティブな言葉で保護者とコミュニケーションを図っていきましょう。

自分を客観的に見る

「Myself」と書かれたカードと虫眼鏡
保護者対応を行う中でさまざまな思いが湧いてくることもありますが、感情をコントロールしながら話すのも社会人として必要なことです。ネガティブな気持ちが湧いてきた時ほど、自分を客観的に見るよう心がけましょう。

保護者との信頼関係を築こう

保護者対応は適切な言葉遣いを意識して行いましょう。もちろん言葉だけでなく、保育士として「保護者を理解したい」「寄り添いたい」という思いも大切です。その上で傾聴や共感を大切にしながら保護者との信頼関係を築いていきたいですね。

保護者対応で悩んでいる方は参考にしてみてください。

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佐野きこ(さの きこ)

この記事を書いた人

佐野きこ(さの きこ)

現役保育士。
現在は子どもだけでなく、保育士や保護者など、子どもに関わる人をサポートする仕事がメイン。子どもも保護者も保育士も、みんなが笑顔になれる保育を目指している。
座右の銘は「保育士は、保育のプロである」
保育の専門家として、わかりやすく保育を語れるよう奮闘中。
家庭では、2人の息子のお母さん。

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