|
【調査結果の転載について】 本調査結果については、以下の2点に対応いただければ転載することが可能です。 1. 出典元として「ほいくis」を明記 2. Webサイトに掲載する場合は下記のリンクを設置 URL:https://hoiku-is.jp/ ※リンク設置ができない場合は、個別に問い合わせフォームからご相談ください。 |
「子どもたちへの声かけ」が大切といわれる理由
保育における「声かけ」の本質は、保育者と子どもたちとのコミュニケーション。子どもたちが理解しやすい言葉で、気持ちや状況に寄り添った声かけを積み重ねていくことは、信頼関係を築くことに直結します。声かけを行う際には、できるだけポジティブな言葉を使うことで、子どもたちは「自分はできる」「自分は大切な存在だ」と感じることができ、自己肯定感を育むことにも繋がるでしょう。また保育者さんの言葉遣いは子どもたちの手本になります。正しい言葉遣いや優しい表現を用いることで、子どもたちが新しい言葉を学ぶ、良い環境が作れるよう意識したいですね。
このように保育における声かけは非常に大切なものですが、実際の現場に出てみるととっさに適切な言葉が浮かばなかったり、自分の言葉がなかなか子どもたちに響かなかったりと難しさを感じることも多々あるでしょう。声かけの方法や言葉のレパートリーにお悩みの保育者さんは多いかもしれません。
そこで今回はほいくisメンバーのみなさんに、声かけのポイントやポジティブな言い換えワードをお尋ねしました。「お話や活動前の導入」「食事のとき」「子どもに注意するとき」のシーン別に具体的な声かけの例をご紹介します。
※本記事では、子どもに伝わりやすいよう工夫した言葉遣いを「言い換えワード」と表記しています。
「お話や活動前の導入」に役立つ声かけ・言い換えワード

まずは 「お話や活動前の導入」に役立つ声かけ・言い換えワードについてお聞きしました。寄せられた回答をピックアップしてご紹介します。
【質問1】お話をするときや活動前の導入に役立つ声かけの仕方を教えてください
◎注目を集めるノウハウ
〇〇組さん→は~い このコール&レスポンスで瞬間的にグッと注目を集めて話し始めます。(40代)
「ピアノどこだ!」「絵本どこだ!」等、物を探して指を差す遊びをする。最後に「〇〇先生どこだ!」と尋ねることで、自然と視線が保育者に集まる。(20代)
注目を集めやれるようにわらべうたを歌っています。(20代)
今日はどこに行きたい?や何するなどあらかじめきまっていてもまず、質問することから始める。(50代)
「お話してもいいですか?」と子どもたちに聞くとしっかり耳を傾けてくれています。(30代)
『大変長らくお待たせ致しました。ただいまより、ホールへご案内いたします。ご案内の前に、お約束がございます。ホールでは、お口チャックでお静かにお入りください』ホールでの活動、他の場所へ移動しての活動前にこのように話すことがあります。いつもと違う!と思う事で話をよく聞きます。その時にお約束事も伝えています。(40代)
活動の導入時、たまに様々な職業やキャラクターになりきって話しています。特に年長さんなどは、「YouTuber」や「プリンセス」などリクエストしてもらったりして、マンネリ化しないようにしています。(20代)
静かにして! 聞いて! ではなくあえて小さい声で話をして聞こえるかな? と遊びを交えて導入する。(30代)
3歳児です。ザワついている時は、静まるまであえて何も言わずにじっと待ってみる。保育者が何も言わないと不思議に思うのか、静かになります。(40代)
「これからお話はじめるよ。お話が終わったら、みんなで一緒に『おしまい]って言いたいから、それまで耳で聞いてね」と声をかけて、話し始めの時点で終わりがイメージできるようにして、終わりまではちゃんと聞こうと思えるように工夫しています。(20代)
子どもたちが好きな人形が話しているかのように、保育士が語りかけると、普段よりも興味をもっています(2歳児)(40代)
未満児の担任です。手遊びができるようになってきたので手遊びをしながら歌を歌っています。(40代)
発達に凸凹がある子に対して絵カードはとても有効。楽しい事が次に待っている事を伝える事で気持ちが上がり期待が高まっているようです。(40代)
【質問2】お話をするときや活動前の導入に役立つ言い換えワードを教えてください
◎お話を聞いてほしいときの言い換えワード
先生のお話聞いて!!→大事なお話をするから、ぞうさんのお耳でよーく聞いてね!(40代)
みんなきいてー!→ありさんのこえでお話するね!(30代)
「お話始めるよ」ではなく、「お話始めてもいいかな?」と子どもが自然とこちらに気持ちを向けられるようにする。(20代)
やります、やるよ→やりたい人あつまれー 楽しそうに感じられる話し方を考える(50代)
身体を前に向けて欲しい時 → おへそを前にむけてね。(30代)
すわって~ → おしりにのりがつけて、はがれないようにしてみましょう「すわりかた、動かない、っといったことをより分かりやすく」(30代)
椅子に座るときは、足もピシッとしていると、お兄さん、お姉さんみたいで素敵かも!(40代)
○○くんのお話の聞き方、とても上手! 次に上手な聞き方になるのは誰だろう?(誉めてもらいたくて、姿勢良くなる!)(40代)
部屋の中で走っている子どもに対して散歩の歌を歌って歩く気持ちにする。公園で走ろうねと声をかける(30代)
ちょっとまっててね → 十まで数えてみよう。せ~の!「待っている時間が明確になるように伝えています(10秒)」(30代)
「〇〇しましょう」と一方的な言い方どはなく「先生、〇〇しようと面白そうかなと思ったんだ。みんなはどうかな?一緒にやってくれたら楽しいなー」と誘いかけるように伝えてます。(40代)
○○してくれたら、先生とっても嬉しいなぁ・先生とっても助かるなぁ(40代)
お願いしたい時「〇〇組さんにお願いしたいんだけど」と、そっと話し特別感を出す(40代)
椅子に座るときは、足もピシッとしていると、お兄さん、お姉さんみたいで素敵かも!(40代)
「食事のとき」に役立つ声かけ・言い換えワード

次に、「食事のとき」に役立つ声かけ・言い換えワードについてお聞きしました。寄せられた回答の中からピックアップしてご紹介します。
【質問3】食事のときに役立つ声かけの仕方を教えてください
◎メニューや食材を紹介する
その日のメニューに近い絵本を見せます。(40代)
今日のお給食を紹介します!(入っている食材やおかわりする際に料理名が分かるようにしています。)(20代)
野菜や果物のペープサートを用いて、野菜や果物になりきって話をして食べてもらえるような気持ちにさせることを大切にしています。(30代)
食事を楽しく、食材や体の力になることに興味が持てるようにクイズや会話を楽しむ(50代)
食育として 野菜や果物を育てて、「みんなで育てたお野菜だよ」(30代)
上手に食べられるかな?と保育者も見本を見せる。(20代)
苦手な物がある時、一口だけ食べてみる?先生も苦手だけど一口食べてみよう!など
前向きに一緒にチャレンジできるようにする。(30代)
食事のルール、食具の使い方は実際に見せて説明します。(30代)
先生も食べたいなぁどんなお味?と食べてどんな味か教えてもらう様に促す(40代)
それぞれ、子どもたちに「今日の〇〇ちゃんのオススメはなに?」と聞いて、他の子に勧めると食べようかな…という気持ちになる事が多い。(50代)
無理には食べさせない、苦手なものは1口でも食べられれば花丸!!!頑張った気持ちを沢山褒める!(20代)
苦手な物でも、好きな物でも、一口でも自分で食べられたら褒める(40代)
野菜など嫌がる子どもに対してアンパンマンなどの人形を持ってきてアンパンマン見てるよ! 頑張れー! と声をかけたり、◯◯ちゃんならできるよと励ましたりしています。(30代)
「◯◯ちゃんの姿勢素敵」と良い姿勢を褒めると周りの子も姿勢を意識するようになる。(20代)
かっこよく食べてましたってママに伝えるね!と言う。(50代)
こぼれた時には「教えてくれてありがとう」と伝えるようにしている。こぼした事は仕方ない。こぼした事をおしえてくれる事が大事だと思っているので。(40代)
【質問4】食事のときに役立つ言い換えワードを教えてください
◎食事を促す言い換えワード
よく噛む事を伝えるためにモグモグ、カミカミは使う。(40代)
もぐもぐではなく、噛むことを伝えられるようにアギアギと言い伝えている。
◯◯ちゃんの食べてるところみたいなやぞうさんの大きいお口で食べて見ようかぁなど工夫して言っています。(30代)
かばさんのおくちで食べてごらんというと大きな口で、モリモリ食べることがあります。(50代)
ご飯粒がたくさん残るので、ご飯に集まれ〜って声をかけてあげるよう伝えている。(30代)
新幹線に乗ってお口にいきまーす(50代)
野菜が苦手な子に対して、(無理のない範囲で)「人参列車、お口のトンネルにはいりまーす。ガタンゴトン」と言葉をかけながら、食べるきっかけ作りをしています。(40代)
スプーンをショベルカー、食事を石など、子どもの口を運ぶ先…などに見立てて、促すこともある。(40代)
食べなさい!!→ぴかぴかにごはんなったかな??(40代)
ばんばんで持つよ(正しい持ち方に繋げるためにスプーンやフォークを鉄砲の指をしてもらってから持ってもらう)(30代)
スプーンフォークの持つとき お手てバキュンの持ち方してね(20代)
「ご飯のときは、お腹とテーブルを仲良し、背中と椅子が仲良しだよ。」で、姿勢良く食べることを伝えています。(40代)
「手はお膝、ポン!」「手を合わせましょう、パチン!」「足は床にペタンだよ」(30代)
食器を叩いている時、「お皿さん痛いよ」と言って叩くのは良くない事だと伝えている。(20代)
手を出して、お皿を持つ → お皿が逃げないようにね~。おさらがにげちゃうよ~。(30代)
おいしくないという言葉は使わないようにし、苦手だった?などと聞くようにしている。(40代)
今日のメニューには、赤・黄色・緑色すべてのグループの栄養が入ってるから、みんなの体が力満点になるね!(40代)
◯◯ちゃんの体がバイ菌に負けないようにたくさん食べて、元気でいようね。(食べ物を大切に、残さないよう促す)(40代)
お野菜食べると、お腹が元気になって、いいウンチが出るんだよ。ワカメ食べたら、キレイな髪になるんだよ。お肉、お魚食べたらパパ(アンパンマンなど)みたいに強くなれるよ。(30代)
女の子には、「これ食べるとプリンセスみたいに髪も肌もつやつやになるよ」と言う。(50代)
「美味しいよ。食べるとパパみたいに筋肉モリモリになるんだよ」(食べるとママみたいにお肌ピチピチになるかもよ)(20代)
年長児への憧れから たくさん食べて大きくなろう、お兄さん、お姉さんみたいに〜ができるようになるよ。(30代)
「子どもに注意するとき」に役立つ声かけ・言い換えワード

最後に、「子どもに注意するとき」に役立つ声かけ・言い換えワードについてお聞きしました。寄せられた回答の中からピックアップしてご紹介します。
【質問5】子どもに注意するときに役立つ声かけの仕方を教えてください
◎子どもの気持ちを受け止め、肯定的な言葉をかける
「〜しないで」など否定語ではなく「〜してねとやってほしい行動で極力伝えるように意識しています。(30代)
なぜ注意されたのかわかりやすく伝える、肯定的にしてほしいことを伝える(50代)
頭ごなしに注意をする事はせず、まずは子どもが何をしたいかを考えて代弁してから注意するようにする。(30代)
〇〇したかったんだよね。でも危なかったよねなどまずは子どもの気持ちを受け止めてから話す。(30代)
出来るだけ寄り添ってから話します。「たしかに。そうしたくなるよね!」「そうだよね。嫌だよね。先生も嫌な気持ちになるわ。」(50代)
手を握ったり、肩を撫でたり、どこか身体に触れながらお話をする。(40代)
自分がされて嫌なことなのかどうかというのを子ども達に日頃から伝えてます! 自分がもしされると嬉しいのかどうかというのを大切に伝えています。(30代)
お友だち痛かったよ。(叩かないなど乱暴してほしくないときに、相手の気持ちを代弁して伝える。)(40代)
だめでしょ! と怒るのではなく、〜をされて先生は嫌だったなぁ。と自分の想いを伝えてみたりしています(20代)
「○○は先生は嫌だなぁ」「○○すると先生はかなしい気持ちになるなあ」と、先生という言葉を出すことで、子供自身が考えやすくなる。(30代)
ちくちく言葉、ふわふわ言葉について話し合います。気持ちを伝える時に画用紙を用いて、画用紙をくしゃくしゃにし傷ついた心を表します。(30代)
暴力など絶対にダメなことはダメと一言強く伝え、後から理由を優しく伝えるようにしています(30代)
何がどうダメだったのか具体的な理由をのべ、簡潔に終わらせます。(20代)
本当にいけない時は、ハッキリとトーンを落としてやめましょうと伝え、それが伝わった時には「お話ちゃんと聞いてくれたね、ありがと〜」(30代)
いい例悪い例を出して◯か×かを子どもに聞いています。(20代)
簡単な言葉でわかりやすく伝えたり(〇〇したらばつだよ)、朝の会などの落ち着いてる時間帯に、全体に向けて絵カードを見せながらお約束を伝えたりしています。(20代)
ぬいぐるみを使って、簡単な芝居を見せたりします(40代)
低年齢であれば表情やジェスチャーでダメなことを伝えている(30代)
注意するときには、子どもたちの気持ちに寄り添いながらなるべく肯定的な言い方で伝えるようにするとの回答が多く寄せられました。相手の気持ちを考えられるようちくちく言葉やふわふわ言葉について説明するとの声も。一方、暴力や危険なことについてははっきりと簡潔に伝えるなど、注意の内容によって声かけの仕方を変えているという方もいるようでした。
【質問6】子どもに注意するときに役立つ言い換えワードを教えてください
◎肯定的な言葉への言い換えワード
廊下は走らないよ!!→廊下は歩いた方が素敵だよ(40代)
走っている時は、「歩くよ」、机の上に乗っている時は、「降りるよ」などやってほしい行動を伝える。(20代)
声が大きい時は小さい声にしてもらえるようアリさんの声でとわかりやすく伝えている(30代)
散歩中、車が来たりして危険な時に→「忍法石の術」というと動きを止めて静止してくれる。(50代)
お部屋を走ってしまう時、「こっちのおもちゃで一緒に遊ぼう」と誘う。それでもお部屋を走ってしまう時、お外へ遊びに連れて行く。(50代)
「悲しいなぁ」「おもちゃが痛い痛いだよ」など、相手(物であっても)の気持ちを考えられるような言葉がけをする。(30代)
「素敵なプリンセスになるためのレッスンをします」「かっこいいヒーローになるための訓練を始めます」などと声をかけてから注意したい事柄を伝えるようにしています。(20代)
手洗いが好きでなかなか水道から離れてくれない時には○○ちゃんの大好きなタオルがお手て拭いて欲しいって待っているよ(60代)
散歩中に、散らばって色んなところに行ってしまい危険な時。電車が来ました〜! 乗ってくださーい。と電車ごっこに繋げる。(40代)
降園時などに水筒を斜めがけして欲しい時、「斜めにかけるよ」ではなく「水筒をシートベルトにしてね」と言うと年少さんなど小さな年齢の子にもすぐ伝わります(20代)
例えば片付け出来ない時は「昨日より早く片付け出来ている!」「こんな小さいものまで気がつくなんて!」など、できていない事を、逆に褒めてやる気にさせてしまう〜(50代)
○○より△△をした方が、先生は良いなと思うけど、□□くんはどう思う?(40代)
あーそれってやっていいんだっけ?やそこ登っていいのかなぁ? などと声をかけています。
それってどうなのかなあ?お友達どんなきもちかなあ?子どもたちに自分で考えてもらうことを大切にしています!(20代)
チクチクする言葉は、痛いから悲しいなぁ。(50代)
調査結果を声かけの実践に役立てよう
保育における「声かけ」は、子どもとの信頼関係を築くことや自己肯定感を高めることに繋がる重要な要素。今回のアンケート結果から、保育者さんは日々さまざまな工夫を凝らしながら子どもたちへの声かけを実践していることが分かりました。声かけの具体例をたくさん紹介したので、ぜひ今後の実践にお役立てくださいね。調査期間:2024年11月1日~30日/調査方法:ほいくisでアンケートを実施/調査対象:ほいくisメンバー(会員)/有効回答数:1問目「お話や活動前の導入のときに役立つ声かけの仕方や言い換えワードを教えてください(フリーアンサー)」363件、2問目「食事のときに役立つ、声かけの仕方や言い換えワードを教えてください(フリーアンサー)」350件、3問目「子どもを注意するときに役立つ、声かけの仕方や言い換えワードを教えてください(フリーアンサー)」347件
▼こちらの記事もご覧ください
アンケートで寄せられたコメントをアワード形式で紹介しています。








