MENU

保育園の地域交流を解説|内容・ねらい・進め方

5
地域のお祭りに参加する子どもたち
保育園における地域交流は、子どもの社会性を育む上でも重要な取り組みです。また、園が地域に開かれた場になることで、子育て支援の拠点としての役割を果たしていくこともできます。今回は、保育園における地域交流のねらいや進め方について紹介します。

保育園の地域交流とは

「REGION」と書かれた積み木
保育園における地域交流とは、地域の人や施設と関わりを持ち、相互理解と連携を図る機会です。活動を通じて子どもたちが地域に対する理解を深め、生活していく場として親しみを感じる機会にもなるでしょう。

ここからは、地域交流の内容について見ていきましょう。

園外での地域交流

地域の人々のイラスト
保育園へ通う子どもたちが園外に出向き、地域の人や施設と交流を行う機会を設けているところも多いのではないでしょうか。普段とは異なる経験を通じて、社会性やコミュニケーション能力などが育まれます。

園外での地域交流には、次のようなものがあります。
  • 高齢者施設への訪問
  • 地域の祭りへの参加
  • 地域の商店街の見学
  • 小学校との交流
  • 消防署の見学
保育園との距離や各施設の状況により、交流できる施設は限られています。地域の実情に合わせた交流を行っていきたいですね。

園内での地域交流

保育園・幼稚園・こども園の地域開放の様子
保育園は、地域における子育て支援の拠点としての役割も担っています。地域の親子を園に招くことで地域交流を図っている園も多いでしょう。

子育て支援における交流活動には、次のようなものがあります。
  • 子育て支援センターの開放
  • 園庭の開放
  • 育児サークルや育児講座の開催
  • 保育園行事への招待
  • 育児相談
主に子育て支援として、地域の親子を対象とした交流が盛んですが、小・中学生や高齢者を園に招いて交流を行う場合もあります。

地域交流のねらい

田植えをしている地域の農家と交流する子ども
子どもたちが地域交流を行う際のねらいには、次のようなものがあります。
  • 地域の人々や場所に親しみを持つ
  • 多様な人とのコミュニケーションを楽しむ
  • 園外での体験による好奇心や探究心を育む
子どもの年齢や発達など、現在の姿に合わせたねらいを設定しましょう。普段とは異なる世代の人と関わるため、緊張して、普段はできることでもできない場合があります。子どもの姿を予想しながら、無理のない活動を計画することが大切です。
article_04

地域交流の事例

次に、地域交流の事例を見てみましょう。

園外での事例

園外での地域交流の事例として、次のようなものがあります。

高齢者施設への訪問

デイサービスや特別養護老人ホームなど、高齢者が利用する施設へ訪問し、交流を深めます。子どもが歌や踊りを披露したり、高齢者と一緒にゲームをしたりします。

地域の祭りへの参加

地域のお祭りに参加する子ども
地域で開催される祭りに、園児が招待されることもあります。子どもの作品を展示したり、歌や踊りなどを地域の方々に披露したりします。

地域の商店街の見学

商店街の八百屋の店頭
地域に商店街がある場合は、訪問して、働く様子を見せてもらいます。また、子どもが買い物の体験をすることもできるでしょう。

小学校との交流

次年度に入学する年長児が、小学校を見学します。1年生が勉強する様子を見たり、校内を回ったりすることで、小学校の雰囲気を味わうことができます。

消防署の見学

消防署で消火訓練を体験する子どもたち
消防車や救急車の見学をさせてもらったり、運転席に座らせてもらったりすることもあります。忙しくなければ、子どもの質問に答えてもらうこともできるでしょう。

このように、地域の施設で交流を持つこともありますが、保育園に来てもらって活動を行う場合もあります。

園内での事例

園内での地域交流の事例として、次のようなものがあります。

子育て支援センターや園庭の開放

積み木で遊んでいる赤ちゃん
園庭や部屋を開放して、地域の親子が遊びに来れるようにします。保育園に通う子どもたちとの交流が行われる場合もあります。

保育園に通っていない親子でも気軽に利用できるよう、カフェのようなリラックスできる空間を設けているところもあります。

育児サークルや育児講座の開催

保育士の企画で、製作やわらべうた、運動遊びなど、親子で楽しめそうな活動を行います。また、地域の保健師を招いて育児講座を開催する場合もあります。

地域の親子が他の親子と出会い、親交を深める場としての機能も果たしています。

保育園行事への招待

運動会や夏祭りなどの園行事へ招待することもあります。運動会では地域の子どもが参加できる競技を設け、夏祭りでは親子で一緒にコーナーを周り、園児と一緒にお祭りの雰囲気を味わうことができます。

育児相談

育児相談をしている親子
子育て支援の拠点として、育児相談を受け付けている園もあります。来園して相談される方もいれば、電話をかけてくる方も。信頼関係が築かれると共に、来園へと繋がるケースもあります。

園の状況や利用者のニーズにより内容は異なりますが、それぞれの園で創意工夫をしながら、地域の親子が「行ってみよう」と思える空間を準備していきたいですね。

地域交流の進め方と注意点

地域交流を行う際の手順と、気を付けたいポイントについて見ていきましょう。

1.計画を立てる

「PLAN」と書かれた積み木
初めに地域交流の相手や場所、内容について大まかな計画を立てます。この時に大切にしたいのは、子どもたちの発達に合った活動内容を考えることです。

初めて行く場所であれば子どもたちが緊張することも予想されるため、今の子どもたちがどのようなことができるのか、しっかりとイメージした上で計画を立てる必要があります。

2.交流先と打ち合わせを行う

打合せをしている2人の女性
園で考えた計画が実現可能か、交流先と打ち合わせを行います。相手方からの要望もあれば、必要に応じて柔軟に計画を変更しましょう。

打ち合わせでは、日にちや場所を決定し、具体的な内容まで決めていきます。保育士は、予想される子どもの姿を伝えながら、イメージを擦り合わせていくことが大切です。

3.子どもたちと準備をする

交流活動の実施が決まったら、子どもたちに「いつ、どこで、誰と、何をするか」を伝えます。この時に、子どもたちの「やってみたい」「行ってみたい」という期待が高まる伝え方を意識したいですね。

地域交流は、社会性を育むチャンスです。挨拶をしたり、靴を揃えたりといったマナーを見直す機会にもしてみましょう。

地域交流で体験を豊かに

地域交流は、子どもたちにとっても、地域の人にとっても、体験が豊かになる活動です。混乱や危険が無いよう、事前準備をしっかりと行った上で活動当日を迎えたいですね。

地域交流の活動を考えている方は、参考にしてみてください。

【関連記事】
ほいくisメンバー登録はこちらから
article_04
佐野 きこ(さの きこ)

この記事を書いた人

佐野 きこ(さの きこ)

現役保育士。
現在は子どもだけでなく、保育士や保護者など、子どもに関わる人をサポートする仕事がメイン。子どもも保護者も保育士も、みんなが笑顔になれる保育を目指している。
座右の銘は「保育士は、保育のプロである」
保育の専門家として、わかりやすく保育を語れるよう奮闘中。
家庭では、2人の息子のお母さん。

3分でわかる保育知識関連記事
ほいくisメンバーに登録(無料)