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給与と配置人数の実態は?最新の保育施設経営調査を解説【令和6年度】

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グラフが印刷された資料と電卓
こども家庭庁が「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>」を公表しました。この調査結果から、主要な保育施設に関する実態を知ることができます。今回はその中から、保育現場で特に関心の高い給与や人員配置状況に注目して解説します。

​調査の概要

保育園の建物のミニチュアと電卓、お金
こども家庭庁は2024年(令和6年)12月、全国の保育所や幼稚園、認定こども園などを対象とした「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」の速報値を公表しました。この調査では、保育施設の収支状況や人件費、職員の給与、人員配置などの実態が明らかになっています。

本調査は公定価格の改善を検討するために定期的に実施されているもので、前回調査(令和元年度)から5年が経過したことを受け、2024年8月中旬から9月上旬にかけて実施されました。調査対象は保育所、幼稚園、認定こども園、地域型保育事業所(小規模保育、 家庭的保育、事業所内保育、居宅訪問型保育)といった主要な保育施設となっています。

保育者の関心も高い給与水準については、厚生労働省が毎年公表する「賃金構造基本統計調査」でも確認することはできますが、今回の調査では施設形態別や役職別など、より詳細な実態を知ることができます。

また、各施設における職員配置の具体的な状況も明らかになっており、保育現場の実情をより正確に理解することができる貴重なデータとなっています。

出典:令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>/こども家庭庁 >>詳細はこちら

保育者の給与の実態

ここからは、調査結果をもとに、保育者の給与について見ていきましょう。

常勤保育者の給与月額

次の表は、私立の常勤保育者の平均月収を施設形態別に示しています。なお、金額は年収(月給+賞与)を12ヶ月で分割したものが給与月額として示されています。
保育施設毎の給与月額をまとめた調査結果表
引用:令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>/こども家庭庁 >>詳細はこちら
前回の調査結果と見比べると、保育士は4.6万円、幼稚園教諭は4.8万円、保育教諭は5.2万円と、常勤保育者の給与は5年前に比べて全体的に上がっていることが分かります。

令和5年度分の給与を年収に換算(給与月額×12)すると、保育士は417.6万円(平均勤続年数11.2年)、幼稚園教諭は402.0万円(平均勤続年数9.2年)、保育教諭は398.4万円(平均勤続年数9.8年)となります。

表の右側には、公立の保育施設の月収が示されています。年収に換算すると、保育士は439.2万円(平均勤続年数10.6年)、幼稚園教諭は486.0万円(平均勤続年数11.2年)、保育教諭は415.2万円(平均勤続年数9.8年)と、私立に比べて高い傾向にあることが分かります。

保育所の給与月額

ここからは、施設形態毎に見ていきましょう。次の表には、保育所の給与月額が職種別に示されています。
保育所の職員別の給与月額をまとめた調査結果表
引用:令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>/こども家庭庁 >>詳細はこちら
私立保育園の常勤職員に焦点を当てて見てみましょう。

施設長の給与を年収に換算すると698.4万円(平均勤続年数26.7年)、主任保育士は568.2万円(平均勤続年数23.0年)、保育士は417.7万円(平均勤続年数11.2年)となっています。

公立保育園の年収は、施設長が771.8万円(平均勤続年数30.1年)、主任保育士が677.2万円(平均勤続年数23.9年)、保育士が438.7万円(平均勤続年数10.6年)で、私立よりも公立の方が上回っていることが分かります。

幼稚園(新制度)の給与月額

続いて、子ども・子育て支援新制度へ移行した幼稚園の給与を職種別に見ていきましょう。
幼稚園の職員別の給与月額をまとめた調査結果表
引用:令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>/こども家庭庁 >>詳細はこちら
私立幼稚園の常勤職員に焦点を当てて見てみましょう。

園長の給与を年収に換算すると650.1万円(平均勤続年数29.0年)、主幹教諭は524.0万円(平均勤続年数20.5年)、教諭は402.5万円(平均勤続年数9.2年)となっています。

公立幼稚園の年収は、園長が790.0万円(平均勤続年数28.4年)、主幹教諭が672.2万円(平均勤続年数20.7年)、教諭が485.4万円(平均勤続年数11.2年)で、 私立幼稚園よりも高い傾向にあります。

認定こども園の給与

次に、認定こども園の給与を職種別に見ていきましょう。
認定こども園の職員別の給与月額をまとめた調査結果表
引用:令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>/こども家庭庁 >>詳細はこちら
私立の認定こども園で働く常勤職員に焦点を当てて見てみましょう。

園長(施設長)の給与を年収に換算すると752.5万円(平均勤続年数28.9年)、主幹保育教諭は535.9万円(平均勤続年数21.7年)、保育教諭は398.1万円(平均勤続年数9.8年)となっています。

公立の認定こども園の年収は、園長(施設長)が760.3万円(平均勤続年数30.2年)、主幹保育教諭が645.2万円(平均勤続年数22.2年)、保育教諭が415.7万円(平均勤続年数9.8年)で、 私立よりも高い傾向にあります。
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私立の保育施設の配置状況

続いて、私立の保育施設における保育士(常勤・非常勤)の配置状況を見てみましょう。
保育施設毎の人員配置状況をまとめた調査結果表※公定価格基準には、年齢別配置基準や各加算等による公定価格上措置されている職員人数を調査した結果を計上している。
なお、調査時点が令和6年3月末時点のため、令和6年度から開始した4歳以上児配置改善加算は含まれない。
※公定価格基準・実際の配置については端数を四捨五入しているため、公定価格基準と実際の配置の差と一致しないものがある。
引用:令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>/こども家庭庁 >>詳細はこちら
保育所の今回の調査結果に焦点を当ててみると、配置基準が11.3人とされている中で、実際には15.4人を配置していることが分かります。公定価格では11.3人分の人件費しか考慮されていないため、実際には公定価格の配置基準と実際の配置の差である4.1人分の人件費を施設が何らかの形で工面している状況が読み取れます。人員を追加せざるを得ない保育現場の状況と、配置基準とのギャップがよく分かる結果と言えます。

前回の調査結果の配置の差は4.4人と、0.3ポイント減少しました。同様に、幼稚園も2.3人から2.2人へ、認定こども園も6.4人から5.5人へと減少しています。ギャップ自体は全体的に減少傾向ですが、それでもまだ配置基準と実際の配置との間には大きな差があると言えます。

各保育施設が保育の質を守りながら運営を行っていけるよう、配置基準と公定価格の制度的な検討は引き続き必要になってくるでしょう。

私立の保育施設の人件費比率

「人件費」と書かれたカードと虫眼鏡
最後に、私立の保育施設における人件費比率を見てみましょう。
保育施設毎の人件費をまとめた調査結果表
引用:令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>/こども家庭庁 >>詳細はこちら
施設の種類毎に人件費比率を見てみると、保育所では73.0%(令和5年度決算)となりました。前回調査の75.1%(平成30年度決算)からは2.1%減少しています。

一方の幼稚園は68.7%(令和5年度決算)、前回調査は63.8%(平成30年度決算)と4.9%増加しています。認定こども園も72.0%(令和5年度決算)、前回調査は69.5%(平成30年度決算)と2.5%増加しています。

これらの数字から、保育施設では収益の約7割が人件費として使われていることが分かります。

保育事業は典型的な労働集約型産業の一つで、人によって支えられている仕事です。事業者にとって、職員一人ひとりが大切な資産であると言えるでしょう。

統計から分かる保育現場の実態

今回の調査結果から、保育者の給料は上昇傾向にあり、人員配置は基準と実態の差が縮小傾向にあることが分かりました。ただし、配置基準と実際の配置とのギャップはまだまだ大きいと言えそうです。

このような調査データを知ることは、自身の職場環境や待遇を客観的に把握することにも繋がります。保育業界の動向や実情を知っておきたい方は、参考にしてみてください。

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