不適切保育は「犯罪」なのか
近年、一部の保育現場で発生した不適切な保育事例が、連日大きく報道されています。かつては「指導の範囲内」「感情的な対応」として園内部や行政指導で処理されることもあった行為が、現在では「暴行」「監禁」「傷害」といった刑事事件として立件され、保育士が逮捕される事例も出てきました。「熱心な指導」と「体罰・虐待」の境界、そして「不適切」と「犯罪」の境界線が曖昧になっていることに、現場の保育者は大きな不安を感じているのではないでしょうか。
「どこからが許されず、どこからが法に触れるのか」。この法的リスクを正しく理解することは、自身と園を守り、何よりも子どもの安全と人権を守る上で不可欠です。
今回は、法律の専門家の解説を通じて、具体的な行為と、それに対応する罪名を事例ベースで明確に解説します。
罪の構成要件を知る:不適切保育が該当しうる主な刑法犯
不適切な保育行為が該当しうる主要な刑法上の罪名と、その構成要件(どのような場合にその犯罪が成立するかを示す要件)を保育現場の視点から簡潔に解説します。| 罪名 | 行為の類型(保育現場での例) | 構成要件(専門家による簡単な解説) |
|---|---|---|
| 暴行罪 | 乱暴な抱き方をする、体を叩く、突き飛ばすなど、子どもの身体に不当な力を加える行為 | 人の身体に対して有形力(物理的な力)を行使すること。かつ、行為の結果、相手がケガをしなかったこと |
| 傷害罪 | 暴行の結果、子どもにケガ(打撲、火傷、精神疾患なども含む)を負わせた場合 | 暴行の結果として、人の身体を傷害(生理的機能の障害とされる)すること |
| 逮捕・監禁罪 | 罰として倉庫やロッカーなどに長時間閉じ込めるなど、相手の移動・行動の自由を奪う行為 | 人の移動・行動の自由を不当に制限すること。監禁罪の場合、物理的な制限だけでなく、威圧による制限も含む |
| 脅迫罪 | 「言うことを聞かないと〜になるぞ」「ご飯を食べないと〇〇するぞ」など、生命・身体などに危害を加えることを示唆して脅す行為 | 一般に人が恐怖心を抱くような内容で、相手側の生命、身体、自由、名誉、財産などに危害を加える旨を告知すること |
| 強要罪 | 子どもが嫌がって吐いた食事を押し付けるなど、義務のない行動を強制する行為 | 暴行・脅迫を用いて、人に義務のないことを行わせること |
| 過失傷害罪 | 意図的ではないが、注意を怠った結果として、子どもにケガをさせてしまう行為(例:遊具の点検ミス、安全確認不足など) | 必要な注意義務を怠った(過失)結果、他人に傷害を負わせた場合に成立 |
過去の事例から学ぶ:行為類型別・法律専門家の解説
過去に報道された具体的な行為の類型を挙げ、「何罪にあたるか」「罪が成立するポイント」を解説します。※公開された裁判例や報道を参考に一般化した事例です。特定の施設や個人を示すものではありません。
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