「モンテッソーリ教育」とは?基本理念と目的
はじめに、モンテッソーリ教育の基本理念と目的について見ていきましょう。基本理念
モンテッソーリ教育は、医師でもあり教育家でもあったマリア・モンテッソーリが、子どもの観察をする中で見出した教育法です。「子どもには生来、自立・発達していこうとする力(自己教育力)があり、その力が発揮されるためには発達に見合った環境(物的環境・人的環境)が必要である」という考え方が土台にあります。大人(保育者)の役割として、次の3つを挙げています。
- 子どもを正しく理解する
- 適切な環境を用意する
- 子どもと環境を結びつけるように援助する
出典:モンテッソーリ教育の基本的な考え方/日本モンテッソーリ教育綜合研究所
https://sainou.or.jp/montessori/about-montessori/thought.html
目的
モンテッソーリ教育の目的は、「人格の形成」です。日本モンテッソーリ協会では、子どもが「集中して活動を繰り返すことで、落ち着き、達成感が生まれ、社会性や他者への思いやりのある人格形成へと繋がり、平和な人間が築かれます」と説明しています。出典:モンテッソーリ教育のご紹介/日本モンテッソーリ協会
https://japan-montessori.org/education-method.html
モンテッソーリ教育が分かる3つの重要キーワード
モンテッソーリ教育を知る上で、理解しておきたいキーワードが3つあります。1つずつ見ていきましょう。敏感期
「敏感期」とは、特定の事柄に強い興味を示し、夢中で繰り返す一定の時期を指します。主に0〜6歳頃に現れ、「日常生活」、「感覚」、「数」、「言語」、「文化」の5つの領域に分けられます。敏感期の例として、次のような子どもの行動が挙げられます。
- 「自分で」と手伝いを拒む(日常生活)
- 砂や水などに触り続ける(感覚)
- 数を数えたり、量を比べたりする(数)
- 自分の名前に含まれている文字を見つけて喜ぶ(文字)
- 「なんで雨が降るの?」と何回も質問する(文化)
お仕事
モンテッソーリ教育では、自分で選び、取り組む活動のことを「お仕事」と呼びます。敏感期に見せる行動は、大人には「遊び」や「いたずら」に見えることがありますが、子どもにとっては真剣な取り組みなのです。大切にしていることは、お仕事を自分で選ぶこと、そして、納得するまで繰り返すことです。大人は途中で口出しせず、見本を見せるときは正確に、ゆっくりと行います。
お仕事は、結果ではなく、取り組む過程に価値があります。深く集中する経験を重ねる中で、自立心や自主性が育まれていきます。
教具
お仕事で使う道具を「教具」と呼びます。子どもの力を引き出せるように設計されています。代表的な教具として、次のようなものが挙げられます。
- 着衣枠(日常生活)…着脱に必要なボタンやファスナーなどが木枠に取り付けられている。装着の練習ができる。
- ピンクタワー(感覚)…大きさの異なる積み木を、大きいものから小さいものへと積み上げていく。大小の概念が認識できる。
- 数の棒(数)…赤と青で10cmずつ交互に塗られた棒。1〜10を目で見て把握することができる。
- 砂文字(文字)…サンドペーパーで作られた文字を板に貼ったもの。指で触って、触覚で文字を捉えることができる。
一般の保育園と何が違う?保育士の役割・働き方の比較
モンテッソーリ園への転職を考えている方にとって気になるのは、一般の保育園との違いだと思います。ここからは、モンテッソーリ園と一般の保育園の違いを見ていきましょう。モンテッソーリ園にはどんな園がある?
まず初めに心得ておくこととして、「モンテッソーリ園」と言っても、施設の種類や実践している内容は、園によって多種多様です。日本モンテッソーリ協会も「モンテッソーリ」を謳う施設を全て把握しているわけではありません。施設種別に見ると、認可保育園・認定こども園・幼稚園・認可外保育園など、さまざまな園で実施されています。また、体系的に実践している園も、教具を少し取り入れている園も、同じように「モンテッソーリ園」と掲げていることもあるので、転職を考える際は実際に見学へ行くことをおすすめします。
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モンテッソーリ園における保育士の役割
モンテッソーリ教育を本格的に実施している園では、教師(保育者)の役割を「環境を整えて見守り、必要な時に援助する」こととしています。子どもの興味を観察し、教具の使い方を静かにゆっくり提示します。一般的な保育園でも、「環境を通して」「一人ひとりに合わせた」保育をすることが基本となっています。考え方としては共通するところもありますが、保育者が計画し、前に立って進行することが多い保育園に勤めている方にとっては、役割に大きなギャップを感じるかもしれません。
モンテッソーリ園での働き方
モンテッソーリ園では、多くの園が午前中に「お仕事」の時間を設けています。保育者は、子ども一人ひとりの様子を観察し、必要に応じて提示を行います。「お仕事」を基本としているので、一斉ではなく、個別に子どもと関わることが多くなります。基本的には、子どもたちの主体的な活動を見守る形式の保育となります。
モンテッソーリ園では、3〜6歳の縦割りクラスにしているところも多いです。一般的な園でも異年齢で行っている園はありますが、学年別で編成している園に勤めている方にとっては、難しさを感じる場面もあるかもしれません。
モンテッソーリ園で働くメリット・注意点
ここからは、モンテッソーリ園で働くメリットと注意点を見ていきましょう。モンテッソーリ園で働く3つのメリット
一人ひとりの発達を捉えられる
モンテッソーリ園では、「観察」「提示」が業務の核です。子どもがそれぞれ自分の興味関心に応じた活動を行っているため、保育者は子どもの様子をじっくり観察し、一人ひとりとゆったり関わることができます。保育の軸が決まっているので迷わない
モンテッソーリ教育では、5つの領域と教具について体系的にまとめられており、教具などの環境も既に準備されています。そのため、「今日は何をしようかな」「どんな環境を準備したらいいかな」と迷うことが少なくなります。キャリアとして活きる
モンテッソーリ教師の資格と実務経験は、転職する上で強みとなります。国際資格を取得すれば、海外の園で働く道もあります。ほいくis姉妹サイト「ほいくisお仕事探し」で モンテッソーリの保育士求人情報をみる
知っておきたい注意点
園によって実践に差がある
モンテッソーリ園は、施設種別も実践している内容も、園によって異なります。見学に行く際には、次の点に注目してみましょう。- 教具が準備されているか
- お仕事の時間が確保されているか
- 有資格者が何人いるか
役割の切り替えが難しい
一斉保育の経験が長い保育士は、「見守る」ことが難しく感じられるかもしれません。つい手伝いたくなる気持ちを抑えて、子どもの動きを待つ姿勢が大切です。資格取得にコストがかかる
モンテッソーリ教師の資格取得を目指すと、時間もお金もかかります。ましてや働きながら資格を取得するとなると、体力や根気も必要となってきます。働くために「資格」は必要?
モンテッソーリ教師の資格は民間資格・国際資格であり、必須ではありません。ただし、保育園なら保育士資格、幼稚園なら幼稚園教諭免許が必要です。ここからは、モンテッソーリ教師資格の取得方法を見ていきましょう。(2026年8月時点)
日本モンテッソーリ協会 認定教員養成コース
東京・福岡・広島・京都・長崎の5機関で開講しています。長崎純心大学では、卒業と同時にモンテッソーリ教員免許を取得できます。出典:協会(学会)認定モンテッソーリ教師養成コース/日本モンテッソーリ協会
https://japan-montessori.org/course1.html
日本モンテッソーリ教育綜合研究所
国際資格取得コース(AMS/MACTE、2歳半〜6歳)と通信教育講座(0〜3歳/2歳半〜6歳)があります。通信教育講座は講義動画の視聴と8月上旬のスクーリング、レポートで学ぶことができるため、働きながらでも取り組みやすいでしょう。出典:教師養成センター/日本モンテッソーリ教育綜合研究所
https://sainou.or.jp/montessori/training-center/index.html
国際モンテッソーリ協会(AMI)公認コース
国際モンテッソーリ協会のガイドラインに従った、3〜6歳クラスの教師養成コースがあります。資格試験に合格すると、世界中で通用するディプロマ(証明書)が授与されます。受講期間1年の昼間部と2年の夜間部があります。出典:3-6ディプロマコース概要/東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター
https://www.montessori-training-japan.org/%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6
出典:入学案内・学費/東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター
https://www.montessori-training-japan.org/%E5%85%A5%E5%AD%A6%E6%A1%88%E5%86%85-%E5%AD%A6%E8%B2%BB
転職を考えているときは園見学をしよう
モンテッソーリ園では、子どもの敏感期に注目し、教具を用いたお仕事を実践しています。保育者の役割も、これまで働いてきた一般的な保育園と大きく異なる可能性があります。転職を考えているときには、見学へ行って実際に自分の目で確かめてきましょう。転職はしなくても、「子どもをよく観察すること」と「子どもが自分で選べる環境を整えること」は保育所保育指針にも書かれていることなので、今働いている園でも取り組んでいけそうですね。
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