連絡帳とは

連絡帳の主な役割は、次の3つです。
- 子どもの成長や変化を保護者と共有する
- 保護者の悩みや疑問を把握して支援を行う
- コミュニケーションを通じて保護者との信頼関係を深める
書き方のポイント
連絡帳を書く時には、伝えたいことがきちんと伝わるように書きたいですね。ここからは、連絡帳を書く上でのポイントを紹介します。文章の基本を踏まえる

中でも、文末の表現にも気を付けましょう。「〇〇してあげました」という書き方は、保育士と子どもの上下関係を表しますし、「〇〇してしまいました」という書き方は、子どもの行動を否定しているような印象を与えてしまいます。
また、子どもの姿を伝える時は、文章の基本である「5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)」を意識して書くことで、さまざまな情景が伝わり、園での様子をイメージしやすくなります。
書き終えたら必ず読み返し、誤字脱字が無いか確認することも忘れずに。
具体的に書く
連絡帳を書く上で、子どもの様子はなるべく具体的に記録しましょう。「砂で楽しく遊びました」ではなく、「砂の感触を味わうように何度も手を握り締めていました」というように具体的に書くことで、読み手も子どもの姿が想像しやすくなります。また、子どもの成長について感じたことや、気になる点・気付いた点を書く機会も作りましょう。保護者が「うちの子のこと、よく見てくれているんだな」と感じ、信頼関係の構築にも役立ちます。
注意する点

また、園や保育者側からの要望がある場合は、子どもの様子や気付いた点と合わせて丁寧に伝えることで、受け入れてもらいやすくなります。
保護者からの質問を受けるケースがありますが、それに対して返信をする際は、気持ちを汲んで丁寧に対応することが大切です。ネガティブな表現は避け、建設的な内容になるよう心がけましょう。
書く内容

生活の記録
0~2歳児クラスまでは、検温、排便、食事、睡眠など、生活の記録を書く欄がある連絡帳を使用している園が多いのではないでしょうか。検温や排便は、全員分を一カ所に記録しておいて、後から一人ひとりの連絡帳に転記する場合もあります。特に夕方の検温や排便は、連絡帳に記録することを忘れやすいので、気を付けたいですね。
家庭が記入する欄には、お迎え時間の変更などが書かれていることも。体調や状況把握のためにも、出来るだけ朝のうちに目を通しておきましょう。
子どもの様子

子どもが園で楽しく過ごしているかどうかは、保護者にとって気になるところです。連絡帳を楽しみにしている保護者も多いので、気持ちを込めて記入したいですね。
保護者への連絡・お願い

ただし、急ぎの連絡やケガなどに関する報告は、口頭で伝えるようにしましょう。
連絡帳の書き方のポイントはこちらもチェック!
ケース別の例文を解説
連絡帳は、園での様子を保護者に伝える時に使いますが、時には保護者からの質問やお願い、相談などが書かれているケースもあります。ここでは、さまざまなケース別の連絡帳の書き方について、例文を使って解説します。園での様子を報告

例文①
「今日は、公園まで歩いてお散歩に行きました。芝生の中できれいな花を見つけて興味津々の〇〇ちゃん。においをかいで『おいしそうなにおいがする!』とワクワクした様子でした。園に帰って一番にお花の図鑑を見て、『〇〇が見つけたのはこのお花かな』と一生懸命探していましたよ」例文②
「おままごとで遊んでいるとき、お友だちに『このやさいは、ミネラルがほうふなんだよ!』と言っていた△△くん。お母さんたちのお話しを聞いていたのでしょうか? まさかの知識に、保育士も思わずビックリでした!」例文③
「園庭で砂遊びをしていた〇〇ちゃん。砂を詰めたカップをひっくり返してケーキを作ろうとしましたが上手くいきません。近くで見ていた年長組のお友だちが『もっと、砂をぎゅうぎゅうに詰めるんだよ』と見本を見せてくれました。上手にできると嬉しそうに何度も作る〇〇ちゃんでした。」子どもの様子を伝えるときのポイントは、具体的なエピソードや子どもの発言を書くこと。思わずクスッとした子どもたちの面白い発言や行動などを覚えておくと、連絡帳がより充実したものになりますよ。
子どもの姿についての相談

例文①
- 保護者:「家でピーマンをなかなか食べません…。好き嫌いがはっきりしてきたようです」
- 保育士:「夏からクラスのみんなでピーマン栽培を始めました。〇〇くんも、毎日『いつ大きくなるかな?』と楽しみにしていますよ♪ 園では、お友だちにつられて頑張って一口ずつ食べられるようになっています。ゆっくり一緒に見守っていきましょう!」
「そうですね、食べられませんよね」というようなマイナスな返事はNGです。園での様子を知らせたり、頑張っている姿を伝えられたりすると良いですね。
例文②
- 保護者:「イヤイヤ期なのか、なんでも『イヤ!』で困っています。園でもそうですか?」
- 保育士:「この時期は、『自分でやりたい』という気持ちが強く表れてきますよね。園では、お着替えの服を自分で選んでもらったり、『まだ遊びたいよね』などと声かけを行いながら、ゆっくりと関わりを持つようにしています。難しい場面もあるかもしれませんが、迷ったときは△△ちゃんの気持ちを代弁したり、選択肢を与えるなどして気持ちが落ち着くのを待ってみるのもいいかもしれません。何か不安なことがあればいつでもご相談くださいね」
この時に注意したいのは、「そのやり方ではだめですよ」「△△ちゃん大変ですよね」「園でも困っています」など否定をするような言葉をかけること。また、園でのやり方を押し付けるのもNGです。あくまでアドバイスにとどめておきましょう。
例文③
- 保護者:「最近、『保育園に行きたくない』と言うことがあります。園でお友だちと仲良く遊べていますか?」
- 保育士:「それは心配でしたね。お友だちとはこれまで通り仲良く遊んでいますよ。今日は、一緒に鬼ごっこやブロックをして、楽しそうに笑い合う姿も見られました。ただ、遊びの中で主張がぶつかり合うこともあるので、それが思い出されるのかもしれません。双方の気持ちを受け止めながら、楽しく園生活が送れるように支援していきますね。」
保護者の心配を受け止めた上で、子どもの姿を伝えるようにします。すぐに解決する問題ではないこともあるため、連絡帳でやりとりした後も、こまめに家庭での様子を聞き取っていくことが大切です。
園の対応について質問

例文①
- 保護者:「先日〇〇先生から、日焼け止めはNGと聞きました。本当ですか?」
- 保育士:「園にはたくさんのお子さまがおり、汗をかいたりプールに入った際に日焼け止めが流れ落ちることを考慮して、使用を禁止させていただくことになっています。帽子や羽織物などで対応いたしますことをご了承ください」
例文②
- 保護者:「フードのある服は着て行ってはいけないのですか?」
- 保育士:「保育園では、思わぬ場面でフードが引っかかったり引っ張られたりすることで危険につながる可能性があると考え、着用をお断りさせていただいております。お子さまたちの安全確保のため、ご協力いただきますようお願いいたします。」
例文③
- 保護者:「連日、噛みつかれていて心配です。今後の対応について教えてください。」
- 保育士:「噛みつきを防ぐことができずに申し訳ありません。お母様の心配もごもっともです。今後の対応も含めまして、直接お話させていただけたらと考えています。ご都合の良い日時を教えていただけますでしょうか。」
園でのルールなどに関する問い合わせに対しては、理由や対応などをしっかりと伝えましょう。また、トラブルに発展しそうな内容に関しては、口頭で話をする必要があります。連絡帳だけで返答しようとせず、上司に相談した上で、面談に繋げましょう。
保護者との信頼関係を深めよう
連絡帳を通じて子どもの姿を共有したり、保護者の感じていることに寄り添ったりすることで、信頼関係が深まっていきます。子どもを中心としたより良い関係性を育んでいくためにも、連絡帳を上手に活用していきたいですね。連絡帳の書き方に難しさを感じている方は、参考にしてみてください。
【関連記事】
