2021/11/23
保育ドキュメンテーションのメリットは?作るときのポイントや注意点

ドキュメンテーションとは?

そのような毎日を記録するために有効なのが、ドキュメンテーションです。ドキュメンテーションとは、子どもたちの会話や行動、その日の活動内容などを、写真や動画、コメントなどで記録し、みんなが目に見えるようにするものです。保育者と保護者間で、保育活動の共有ができることもあり、少しずつ実践を試みている園も増えています。
この取り組みは、イタリア発祥の幼児教育方法「レッジョ・エミリア・アプローチ」で行われているもので、近年日本の保育界でも注目を浴びています。
ドキュメンテーションのメリット
保育現場でドキュメンテーションを取り入れることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。実は、ドキュメンテーションを行うことで保育士だけでなく、子どもたちや保護者にとっても良い点があります。客観的に保育を振り返ることができる

活動の共有ができる
ドキュメンテーションを園内の掲示板などに貼り出せば、保護者と一日の活動を共有することができます。クラスだよりや連絡帳だけでは伝えきれない様子を、目に見える形で伝えられるのは大きなメリットですよね。もちろん園全体での共有にもなるので、他クラスの活動を知っておけるのも良い点です。コミュニケーションツールになる
ドキュメンテーションは、保護者はもちろん子どもたちとのコミュニケーションにも役立ちます。子どもたちも一緒になって活動を振り返ることで、話し合いの機会や意見を出し合う場を作ることができます。ひとつの活動から、「次はどう広げていきたいか?」「どんなことをしてみたいか?」など、主体性を持って活動を広げていけそうですね。子どもへの理解が深まる
ドキュメンテーションを作成するためには、その日の活動を改めて振り返ることになります。そのため、「どうしてこのような行動をしたのだろう」「この言葉にはどんな気持ちがあったのだろう」と、普段だったら何気なく受け止めている子どもの言動をじっくり考えることができますよね。それが結果的に、子どもへの理解へと繋がっていきます。作成のポイント
ドキュメンテーションを作るときには、いくつか注目したいポイントがあります。しっかり抑えて有効に活用しましょう。ポイントを絞って素材集めをする

テーマを決めておく
毎回すべての活動をドキュメンテーションにしていると、収拾がつかなくなり大変です。まずは、テーマ決めをしてから取り組むことがおすすめ。ひとつのテーマの中から見えてくる子どもたちの発見や気付きに着目することで、より良い保育に繋がるポイントが見えやすくなってきます。【ドキュメンテーションのテーマ事例】
- ドングリ・木の実拾い
- 園庭の外遊びあれこれ
- 色水作り活動
- 生活発表会の練習
- ダンゴムシの観察
重要なところを絞り込む
「この会話がおもしろかった!」とすべてを書き出してしまっては、長々とした日記のようなドキュメンテーションになってしまいます。その中でも特にポイントとなった会話を絞り込んでみましょう。「子どもはこんな風に感じているんだ」「そういう見方があるんだ」と感じるような、“大人にとっても新しい発見”となった部分を書き出すと、次の活動につなげやすいですよ。
作成時に注意すること
ドキュメンテーションを作るとき、注意しておきたいことをまとめました。取り掛かる前に確認しておきましょう。負担になるほど行わない

保育に支障が出ない範囲にする
「一生懸命写真を撮っていたらその間に子どもがケガをしていた」「子どもの会話をメモしていたら別の場所でケンカになっていた」など、ドキュメンテーションのための素材集めをしている間にトラブルが起きてしまっては元も子もありません。人手がないときや手一杯のときには無理をせず、保育優先で進めましょう。作ることに満足しない
ドキュメンテーションは、「作ること」が目的ではありません。その後の活動に繋げたり、子どもへの理解を深めたり、作った先に大切なことがあります。作ったことに満足して終わらず、「なぜドキュメンテーションを作るのか」を常に頭の中に置いておきましょう。ドキュメンテーションで保育の質向上へ
一見難しそうに思えるドキュメンテーションですが、慣れてくると楽しみながら日々の保育を振り返ることができるようになります。うまく活用することで保育がさらに充実したものになり、質の向上にもつながるので、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。【関連記事】