保育ドキュメンテーションとは?

そのような毎日を記録するために有効なのが、ドキュメンテーションです。ドキュメンテーションとは、子どもたちの会話や行動、その日の活動内容などを、写真や動画、コメントなどで記録し、みんなが目に見えるようにする(見える化)ものです。保育者と保護者間で、保育活動の共有ができることもあり、少しずつ実践を試みている園も増えています。
この取り組みは、イタリア発祥の幼児教育方法「レッジョ・エミリア・アプローチ」で行われているもので、近年日本の保育界でも注目を浴びています。
ドキュメンテーション作成のポイント
ドキュメンテーションはどうやって作成すれば良いでしょうか? 押さえておきたいポイントをご紹介します。ポイントを絞って素材を集める

【素材の例】
- 外遊びで見つけた虫に対する子どもたちの行動
- 季節の移り変わりに気づいた子どもたちの言葉
- 製作で見られた子どもの発想
テーマを決めておく

【ドキュメンテーションのテーマ事例】
- ドングリ・木の実拾い
- 園庭の外遊びあれこれ
- 色水作り活動
- 生活発表会の練習
- ダンゴムシの観察
重要なポイントを絞り込む
「この会話がおもしろかった!」とすべてを書き出してしまっては、長々とした日記のようなドキュメンテーションになってしまいます。その中でも特にポイントとなった会話を絞り込んでみましょう。「子どもはこんな風に感じているんだ」「そういう見方があるんだ」と感じるような、“大人にとっても新しい発見”となった部分を書き出すと、次の活動につなげやすいですよ。
ICT化も検討してみる

ドキュメンテーションのメリット
保育現場でドキュメンテーションを取り入れることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。実は、ドキュメンテーションを行うことで保育士だけでなく、子どもたちや保護者にとっても良い点があります。客観的に保育を振り返ることができる

また、後から保育士さん自身が自分の保育を客観的に振り返ることもできます。声かけのタイミングや内容を振り返り、子どもの主体性を尊重した保育になっていたか? というのが形として残ります。
保育の質の向上にも繋がり、子どもにとっても保育士さんにとっても良い点が多いですよ。
保護者や職員と活動の共有ができる
ドキュメンテーションを園内に掲示すれば、保護者と一日の活動を共有することができます。クラスだよりや連絡帳だけでは伝えきれない様子を、目に見える形で伝えられるのは大きなメリットですよね。もちろん園全体での共有にもなるので、他クラスの活動を知っておけるのも良い点です。子どもたちとのコミュニケーションツールになる
ドキュメンテーションは、保護者はもちろん子どもたちとのコミュニケーションにも役立ちます。子どもたちも一緒になって活動を振り返ることで、話し合いの機会や意見を出し合う場を作ることができます。ひとつの活動から、「次はどう広げていきたいか?」「どんなことをしてみたいか?」など、主体性を持って活動を広げていけそうですね。ドキュメンテーションは保育士が作らなければいけないものではないので、幼児クラスになったら子どもたちも一緒に作るのも面白いかもしれません。
子どもへの理解が深まる

作成時に注意すること
ドキュメンテーションを作るとき、注意しておきたいことをまとめました。取り掛かる前に確認しておきましょう。負担になるほど行わない

保育に支障が出ない範囲にする
「一生懸命写真を撮っていたらその間に子どもがケガをしていた」「子どもの会話をメモしていたら別の場所でケンカになっていた」など、ドキュメンテーションのための素材集めをしている間にトラブルが起きてしまっては元も子もありません。人手がないときや手一杯のときには無理をせず、保育優先で進めましょう。作ることに満足してしまわない
ドキュメンテーションは、「作ること」が目的ではありません。その後の活動に繋げたり、子どもへの理解を深めたり、作った先に大切なことがあります。作ったことに満足して終わらず、「なぜドキュメンテーションを作るのか」を常に頭の中に置いておきましょう。保育の質向上に繋げよう
一見難しそうに思えるドキュメンテーションですが、慣れてくると楽しみながら日々の保育を振り返ることができるようになります。うまく活用することで保育がさらに充実したものになり、質の向上にもつながるので、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。【関連記事】