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保育ドキュメンテーションの書き方・作り方|具体的な文例もご紹介

子どもたちのスナップ写真を選んでいるところ
子どもたちの活動の様子を写真や動画、コメントなどで記録していく「保育ドキュメンテーション」。上手に活用することでより良い保育に繋がることが知られてきたこともあり、最近は実施している保育園や幼稚園、認定こども園も増えています。今回は、書き方や作り方、サンプル写真を使った文例を紹介します。

保育ドキュメンテーションとは?

白の用紙とカラーペン、色鉛筆
日々保育をしていると、子どもたちの動きや発言に「おもしろい!」と思わず笑ってしまったり、大人とは違った視点の発見に「すごい!」と感動したり… そんな場面が多くあるのではないでしょうか。

そのような毎日を記録するために有効なのが、ドキュメンテーションです。ドキュメンテーションとは、子どもたちの会話や行動、その日の活動内容などを、写真や動画、コメントなどで記録し、みんなが目に見えるようにする(見える化)ものです。保育者と保護者間で、保育活動の共有ができることもあり、少しずつ実践を試みている園も増えています。

この取り組みは、イタリア発祥の幼児教育方法「レッジョ・エミリア・アプローチ」で行われているもので、近年日本の保育界でも注目を浴びています。 ほいくisオンライン研修では、保育ドキュメンテーションの作り方や、子どもたちの生き生きとした姿を捉える写真の撮り方を解説したセミナーを配信しています。こちらもあわせてチェックしてみてください。

「情報共有」が繋がりを太くする 

子どもたちがどんなことに感動しどんなことを学んだのかを、写真や動画、コメントなどで見える化すると、保護者や他クラスの保育士、子どもたちにまで情報が共有されます。 

プロの保育士として子どもたちをどのように保育しているのかが保育ドキュメンテーションから伝わるので、保護者からのは信頼が厚くなり、他のクラスの保育士たちも刺激を受けて、お互いにより良い保育を目指せます。 

子どもたちも写真やコメントから友だちがどんなことをしているのかがわかり、「ぼくも今度◯◯ちゃんの遊びに入れてもらおう」「わたしもこの遊びをやってみよう」などと友だち関係や遊びの発展にも繋がるでしょう。 

保育ドキュメンテーションとして「子どもの遊び・育ち・学び」を見える化すると、子どもに関わるすべての人の繋がりが太くなると言えます。 

ポートフォリオとの違い 

保育ドキュメンテーションと似ているのがポートフォリオ。その違いを簡単にまとめると以下の通りです。 

  特徴
保育ドキュメンテーション ・子どものエピソードや保育士の気づきを記録 
・個人よりもグループに焦点を当てる場合が多い 
ポートフォリオ  ・個々の子どもの成長記録 
・評価ではなく事実のみを記録する 

保育園や幼稚園は集団の場所なので、子ども数名が一緒になって遊んでいる中からエピソードが生まれることが多いです。1つの出来事から、そこに参加している子どもたちがどのように感じ、どんなことを学んでいるかを見える化するのが保育ドキュメンテーションです。 



ドキュメンテーション作成のポイント

ドキュメンテーションはどうやって作成すれば良いでしょうか? 押さえておきたいポイントをご紹介します。

ポイントを絞って素材を集める

デジタル一眼レフカメラを構える女性
ドキュメンテーション作成の第一歩は、使用する素材集めから。写真、動画、実際のモノなど活動の様子が伝わりやすい素材が必要です。このとき、子どもたちが興味を示していたもの、子どもならではのおもしろい視点など、伝えるポイントを絞って素材を集めると作成しやすくなりますよ。あまり広い視点で見すぎていると、何をまとめれば良いか分からなくなってしまうので注意しましょう。

【素材の例】
  • 外遊びで見つけた虫に対する子どもたちの行動
  • 季節の移り変わりに気づいた子どもたちの言葉
  • 製作で見られた子どもの発想

テーマを決めておく

木の実拾いをする女の子
毎日すべての活動をドキュメンテーションにしていると、収拾がつかなくなり大変です。作成にも時間がかかって手間が増えてしまうので、まずはテーマ決めをしてから取り組むことがおすすめ。ひとつのテーマの中から見えてくる子どもたちの発見や気付きに着目することで、より良い保育に繋がるポイントが見えやすくなってきます。

【ドキュメンテーションのテーマ事例】
  • ドングリ・木の実拾い
  • 園庭の外遊びあれこれ
  • 色水作り活動
  • 生活発表会の練習
  • ダンゴムシの観察

重要なポイントを絞り込む

「この会話がおもしろかった!」とすべてを書き出してしまっては、長々とした日記のようなドキュメンテーションになってしまいます。その中でも特にポイントとなった会話を絞り込んでみましょう。

「子どもはこんな風に感じているんだ」「そういう見方があるんだ」と感じるような、“大人にとっても新しい発見”となった部分を書き出すと、次の活動につなげやすいですよ。

ICT化も検討してみる

タブレットを操作する保育士
近年は保育のICT化が進み、事務作業の手間が省けるようになってきました。タブレット端末などを使ってドキュメンテーションを作成し、保護者に共有できるような機能もあります。「ドキュメンテーションを作りたいけれど、紙で作るのは大変…」という園は、他の業務の簡易化にもつながるので、これを機にICT化を検討してみるのも良いかもしれません。
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保育ドキュメンテーションの具体的な文章例

保育ドキュメンテーションの文例

例えばこの写真でドキュメンテーションを書くとしたら、みなさんはどうしますか? 正解があるわけではありませんが、具体例を挙げます。 
 
【どんぐりむしに会いたい!】 
 
他の子たちが広場で鬼ごっこをしている中、◯◯くんは林の中にしゃがみ込み、どんぐりを拾っては真剣な表情で見つめたり、耳にどんぐりを当てたりしています。 
 
「何してるの?」と声をかけると「どんぐりむしを探してるんだ」と◯◯くん。クラスの本棚にあった『どんぐりむし』という本を見て、「自分もどんぐりむしに会いたい」と思いをふくらませているようです。 
 
そんな◯◯くんの姿に気づいた▢▢ちゃんもどんぐりむし探しに加わり、2人でいくつかのどんぐりを持ち帰り、クラスにあったビンにどんぐりを入れておくことになりました。 
 
他の子たちもそのビンを見て「いつ出てくるかな?」「おひるねの間に出てきたら困るなぁ」「じゃあ、いなくならないようにフタをしなくちゃ」などと会話が広がっています。 
 
子どもたちはどんぐり虫と出会えるのでしょうか? 今後もこの物語を追っていきたいと思います。
 
POINT
  • 子どもたちの主体的な行動をエピソードと共に記載。
  • 子どもの会話を入れることで、その場の雰囲気を伝える。 
  • 継続して情報発信することで、子どもの姿や成長が見えるようにする。 


ドキュメンテーションのメリット

保育現場でドキュメンテーションを取り入れることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。実は、ドキュメンテーションを行うことで保育士だけでなく、子どもたちや保護者にとっても良い点があります。

客観的に保育を振り返ることができる

砂場で遊ぶ子どもたち
その日の活動の様子を写真や言葉でなどで記録することにより、子どもたちの興味関心が見える化されて次の活動に繋がるヒントが見つけやすくなります。これを繰り返すことで、子どもたちの日々の成長も明確に分かりやすくなりますね。

また、後から保育士さん自身が自分の保育を客観的に振り返ることもできます。声かけのタイミングや内容を振り返り、子どもの主体性を尊重した保育になっていたか? というのが形として残ります。

保育の質の向上にも繋がり、子どもにとっても保育士さんにとっても良い点が多いですよ。

保護者や職員と活動の共有ができる

ドキュメンテーションを園内に掲示すれば、保護者と一日の活動を共有することができます。クラスだよりや連絡帳だけでは伝えきれない様子を、目に見える形で伝えられるのは大きなメリットですよね。もちろん園全体での共有にもなるので、他クラスの活動を知っておけるのも良い点です。

子どもたちとのコミュニケーションツールになる

ドキュメンテーションは、保護者はもちろん子どもたちとのコミュニケーションにも役立ちます。子どもたちも一緒になって活動を振り返ることで、話し合いの機会や意見を出し合う場を作ることができます。ひとつの活動から、「次はどう広げていきたいか?」「どんなことをしてみたいか?」など、主体性を持って活動を広げていけそうですね。

ドキュメンテーションは保育士が作らなければいけないものではないので、幼児クラスになったら子どもたちも一緒に作るのも面白いかもしれません。

子どもへの理解が深まる

保育園で積み木遊びをする子どもと保育士
ドキュメンテーションを作成するためには、その日の活動を改めて振り返ることになります。そのため、「どうしてこのような行動をしたのだろう」「この言葉にはどんな気持ちがあったのだろう」と、普段だったら何気なく受け止めている子どもの言動をじっくり考えることができますよね。それが結果的に、子どもへの理解へと繋がっていきます。

作成時に注意すること

ドキュメンテーションを作るとき、注意しておきたいことをまとめました。取り掛かる前に確認しておきましょう。

負担になるほど行わない

ノートパソコンの前で悩んでいる保育士
ドキュメンテーションは、作成するのにそれなりに時間がかかります。ノンコンタクトタイムがある園や、勤務時間内で作れる場合は良いですが、毎日残業したり、家に持ち帰ってまで作成するのは良くありません。まずは写真に一言添えるだけでも十分です。負担にならない範囲で取り掛かりましょう。

保育に支障が出ない範囲にする

「一生懸命写真を撮っていたらその間に子どもがケガをしていた」「子どもの会話をメモしていたら別の場所でケンカになっていた」など、ドキュメンテーションのための素材集めをしている間にトラブルが起きてしまっては元も子もありません。人手がないときや手一杯のときには無理をせず、保育優先で進めましょう。

作ることに満足してしまわない

ドキュメンテーションは、「作ること」が目的ではありません。その後の活動に繋げたり、子どもへの理解を深めたり、作った先に大切なことがあります。作ったことに満足して終わらず、「なぜドキュメンテーションを作るのか」を常に頭の中に置いておきましょう。

保育の質向上に繋げよう

一見難しそうに思えるドキュメンテーションですが、慣れてくると楽しみながら日々の保育を振り返ることができるようになります。うまく活用することで保育がさらに充実したものになり、質の向上にもつながるので、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

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ほいくis(ほいくいず)編集部

この記事を書いた人

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