発達の特性を理解しよう
月案の作成を行うときや日常の保育の内容を考えるとき、子どもの発達段階を理解していることはとても重要です。保育園や幼稚園に通う年齢の子どもは、発達の個人差が大きく見られます。そのため保育所保育指針にも各年齢ごとの発達段階は書かれていますが、あくまで参考であるとされています。今回はそのことを踏まえたうえで、保育指針に書かれている8区分を参考に乳幼児期の発達の特性をまとめました。
おおむね6か月未満

- 首が座る(~生後4か月頃)
- 周囲の人や物を見つめたり見回す(3か月頃)
- 周りの物音や大人の声の方を見る(3か月頃)
- 目の前の物をつかもうとする、手を口に持っていく(5か月頃~)
- 手足の動きが活発になった後、寝返り、腹ばいなど全身の動きが活発になる
- 応答する特定の大人と情緒的な絆が形成される
- 身長や体重が増加する
- あやすと笑う
- 感情を訴えて泣く
- 大人と視線を合わせて喃語を発する
6か月~1歳3か月未満

- 座る、はう、立つ、つたい歩き、ひとり歩きと移行する
- 腕や手先を意図的に動かす
- 掌全体で握る→全ての指で握る→親指が他の指から独立して動く→物をつまむようになる
- 探索活動が活発になる
- あやしてもらうと喜ぶ
- 人見知りをする
- 自分の意思や欲求を身振りで伝えようとする
- 大人が子どもに向けた気持ち、簡単な言葉を理解する
- 離乳食から幼児食へ移行していく(なめらかにすりつぶしたもの→形のあるもの)
- 自分の欲求や気付いたことを伝えようと指さしをする
- 一語文を話す
1歳3か月~2歳未満

- ひとり歩きをする
- 歩く、押す、つまむ、めくるなど運動機能が発達する
- 玩具等を実物に見立てる
- 大人の言うことが分かるようになる
- 指さし、身振り、片言を盛んに使い、二語文を話す
- 絵本をめくる、クレヨンでなぐり描きをする
- 周囲の人への興味、関心が高まる
- 他の子どもの仕草や行動を真似たり、同じ玩具を欲しがる
- 玩具の取り合い、相手に対する拒否、簡単な言葉での不満の訴えが見られる
- 自分で食べ物に手を伸ばして食べる(1歳~1歳6か月頃)
おおむね2歳

- 歩く、走る、跳ぶなどの運動機能が発達する
- 食事、衣類の着脱など身の回りのことを自分でする
- 排せつの自立のための身体的機能が整う
- 語彙が増加し、意思や欲求を言葉で表出する
- 行動範囲が広がり、探索活動が盛んになる
- 自我の育ちの表れとして、「自分で」「いや」など強く自己主張をする
- 思い通りにいかないと泣いたり、かんしゃくを起こす
- 模倣をする
- ごっこ遊びを楽しむ
- ボールを蹴ったり投げたりする
- 紙をちぎったり、破いたり、貼ったり、なぐり描きをする
- 自分がやりたいことに集中する
- 身近な大人や子どもとのやり取りが増える
おおむね3歳

- 食事、排せつ、衣類の着脱などほぼ自立する
- 盛んに質問するなど、知的興味や関心が高まる
- 平行遊びが多い(同じ遊びを同じ場所でそれぞれに楽しんでいること)
- 大人の行動、日常生活の経験をごっこ遊びに取り入れる
- 遊びの内容に発展性が見られる
- 予想や意図、期待を持って行動する
- 歩く、走る、跳ぶ、押す、引っ張る、投げる、転がる、ぶら下がる、またぐ、蹴るなどの動作が一通りできるようになる
- 箸を使って食べようとする
- 「自分でできる」意識が育ち、大人の手助けを拒む
- 「おはよう」「ありがとう」など人と関わる挨拶の言葉を自分から使う
- 友だちと助け合ったり順番に使うなど、決まりを守ることを覚える
- 他の子どもとの関わりを深め、共通したイメージをもって遊ぶ
- 自分についての認識と共に、家族、友だち、先生などとの関係が分かり始める。
- 簡単なストーリーが分かるようになり、絵本の登場人物と自分を同化して考える
おおむね4歳

- バランスを取る能力が発達し、片足跳びやスキップができるようになる
- 全身を使って遊具や遊びに挑戦するなど、運動量が増す
- 想像力が豊かになり、目的を持って行動する
- 自分の行動や結果を予測して不安になるなど葛藤を経験する
- 決まりの大切さに気付き守ろうとする
- 感情が豊かになり、人の気持ちを察したり我慢ができるようになる
- 手先が器用になり、ひもを通す、結ぶ、はさみを扱うなどができるようになる
- 異なるふたつの行動を同時に行えるようになる
- 水、砂、土、草花、虫、樹木など自然に興味を持ち関わろうとする
- 自分の手足を見たり触れたりしながら、物や動植物の特性を知る
- 自然環境との関わりの中で、認識力や色彩感覚を育む
- 現実に体験したこと、絵本や想像の世界で見聞きしたことを重ね合わせる
- 人だけでなく、他の生き物や無生物にも心があると考える
- 大きな音や暗がり、お化け、夢、ひとり取り残されることに恐れの気持ちを経験する
- ごっこ遊びに没頭する
- 自分と他人の区別がつくことで、他人に見られる自分に気付き自意識を持つようになる
- 仲間とのつながりが深まる
- 自己主張をしながら、相手の主張を受け入れたりする経験を積む
- 他者と協調して生活していくことの大切さを学ぶ
おおむね5歳

- 基本的な生活習慣がつく
- 目的に向かって集団で行動する
- 遊びを発展させ楽しむために、自分たちで決まりを作る
- 自分で考えて判断をしたり批判する力が生まれる
- けんかを自分たちで解決しようとする
- 相手を許したり、異なる考えを認める
- 人の役に立つことをうれしく感じる
- 大人に指示されなくても1日の生活の流れを見通しながら行動する
- 共有物を大切にしたり、片付けをする
- 進んで大人の手伝いや、年下の子どもの世話をする
- 大人が行う動きのほとんどができるようになる
- 縄跳びやボール遊びなど複雑な運動をするようになる
- 心肺機能が高まり、鬼ごっこなど集団遊びで体を動かす
- 小さなものをつまむ、紐を結ぶ、雑巾を絞るなどできるようになる
- 話し合いをくり返しながら、自分の思いや考えを伝える力、聞く力を身に着ける
- 集団の中で、仲間の一人としての自覚が生まれる
おおむね6歳

- 全身運動が巧みになる
- 過去の体験から自信や予想・見通しを立てる力が育つ
- 意欲が旺盛になる
- 仲間の意思を大切にする
- 役割分担がある協同遊びやごっこ遊びを行う
- ごっこ遊びの中で、手の込んだ流れとさまざまな役割を考え出す
- 知識や経験を生かし、遊びを発展させる
- 自然現象や社会事象、文字などへの興味や関心が高まる
- ボールをつきながら走ったり、跳び箱を跳んだり、竹馬に乗るなどする
- 自分のイメージしたように描いたり、ダイナミックな表現をしたり、細やかな製作をする
- 友だちの主張に耳を傾け、共感したり意見を言い合う
- 自分の主張を譲って仲間を協調する
- 周囲の大人の言動をよく観察し意見を述べる
- 自分とは異なる人の存在や、それぞれの人の特性に気付く
- 自立心が高まり、就学への意欲や期待にワクワクする
発達の理解は子どもの理解へ
保育所保育指針に書かれている発達段階はあくまで参考ですが、各年齢ごとの特性を理解しておくことは、目の前の子どもをより理解することへも繋がります。月案作成や日常の活動の際のヒントにもなるので、ぜひ確認しておいてくださいね。参考:保育所保育指針解説書/厚生労働省
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