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映画『モンテッソーリ子どもの家』公開!保育士がおすすめする必見ポイントは

お仕事をする園児
2021年2月19日、北フランスにある最古のモンテッソーリ学校の幼稚園クラスに密着したドキュメンタリー映画『モンテッソーリ子どもの家』が公開されました。2年3ヶ月に渡り追ってきた子どもたちの姿から学んだ「子どもが持つ本当の力」とは? 今回は、保育士の視点から、ぜひ皆さんに見て欲しいおすすめポイントをご紹介します。

映画『モンテッソーリ子どもの家』公開!

教室で話す男の子と女の子
2021年2月19日に公開されたドキュメンタリー映画『モンテッソーリ子どもの家』。アレクサンドル・ムロ監督は、自身の娘と接する中で関わり方に疑問を抱き、モンテッソーリ教育に興味を持ちます。

そこから幼稚園のクラスに密着し、子どもたちの様子を撮影。活動を邪魔しないように、でも成長の瞬間を逃さないように2年3ヶ月の時間をかけて、子どもたちのありのままの姿を映像に収めました。

映画では、毎日の様子がそのままに映し出されていて、子どもが本来持つ力には驚きと感動が隠せません。

モンテッソーリ教育とは

ピンクタワーでお仕事をする男の子
「モンテッソーリ教育」とは、保育者であれば一度は耳にしたことがある教育方法ですよね。将棋の藤井聡太二冠を始め、Google(ラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリン)、Amazon(ジェフ・ベゾス)、マイクロソフト(ビル・ゲイツ)といった名だたる企業の創業者など、さまざま人材を排出したということで話題になることも多くあります。

しかし実際どのような教育をするのか、そのメソッドについてはあまり深く理解していない方も多いのではないでしょうか。まずは、近年注目を集めるモンテッソーリ教育のメソッドについて説明します。

自己教育力に注目した教育法

モンテッソーリ教育とは、イタリア出身の医師・教育家であったマリア・モンテッソーリが考案した教育方法です。子どもが生まれながらにして持っている「自己教育力」に注目していて、自分で考え自発的に行動すること繰り返す中で成長していくと考えられています。クラスは2歳半~6歳の異年齢の子どもたちで構成されているのも特徴のひとつです。

異年齢集団の「子ども」、子どものニーズに合った「整えられた環境」、発達段階を熟知し観察する「準備された大人」。この3つがすべてそろって、初めてモンテッソーリクラスと言えます。

5つの教育とお仕事

モンテッソーリ教育では、「日常生活の練習」「感覚教育」「言語教育」「算数教育」「文化教育」の5つの教育に分けられていて、この中で行う活動のことを「お仕事」と呼んでいます。このお仕事を通して、日常生活に必要な能力を身につけたり、感覚を豊かにしたり、数や言語を習得したりと、生きる力を育てていきます。

<教具の一例>
  • ピンクタワー(大きさを見分ける)
  • 色棒ビーズ
  • ぬいさし
  • 着衣枠
  • 砂文字板

モンテッソーリ教育で気付く子どもの本質

今回は実際に映画を見て、「子どもが持つ力」に着目してみました。また子どもたちを取り囲む環境は、どのようになっているのでしょうか? そこには驚きの発見が多くありました。

教室には「本物」だけ

小さなポットをのぞき込む男の子
まず最初に映画を見て驚いたことは、子どもたちが過ごす部屋には「本物しかない」ということ。保育園では、プラスチック製の玩具や食器など、子どもたちが万が一落としても壊れない物を使っているところが多いですよね。

また「ハサミは3歳から」「火は危ないから使わない」など、安全を守るためのルールを作っている園も多いはず。

しかし映画の中で見られたのは、花の茎を切るペンチ、ガラス製の食器、包丁、熱いアイロン、マッチにろうそく…すべてが大人が使うものと同じ「本物」ばかり。

その中でも、コップに入った水がこぼれないように空いた手で支えたり、何度も力を入れて食材を切ったりと、子どもたちは試行錯誤して使い方を身に着け、成功まで繋げていました

「割ったらどうしよう?」「ケガしてしまうのでは」と感じてしまいますが、3歳の子どもでも私たちが心配するようなことはまったく見られませんでした。本物を扱うからこそ、その物の本質を知り、自分で使い方を学んでいくのですね。

選択できて、繰り返せるか

ハンカチをたたむ女の子2人
映画の中では、「子どもは言葉の世界では気が散りやすくても、手を動かすと集中できる」という言葉があります。集中できる環境さえあれば、子どもは自分の興味のあることにとことん取り組みます。

これは、大人も同じですよね。ただ聞いているだけでは眠くなってしまう、けれど自分で手を動かしたり考えたりすることには、集中して取り組めます。物の使い方や遊び方は、子どもが納得するまで最初に教えるだけで良いのです。

では、この集中できる環境はどのように用意すれば良いのでしょうか?

これについて作中では、「活動を自由に選べること」そして「好きなだけ繰り返せること」が大切だと語られていました。大人が活動を指示するのではなく、子どもが興味のままに自発的に選択できるからこそ、集中してお仕事に取り組み繰り返せるのです。そしてそれが結果、身に着いて成長の過程となっていきます。

モンテッソーリメソッドで学ぶ「大人の関わり方」

モンテッソーリ幼稚園の先生と子どもたち
モンテッソーリ教育に限らず、保育をしていると誰もが悩む子どもとの関わり方。もちろん正解はありませんが、モンテッソーリメソッドでの大人の関わり方にもおもしろい魅力がありました。

大人も謙虚であること

大人は無意識のうちに、子どもに対して「大人が上の存在だ」「指導しなければならない」と思ってしまうものですよね。しかし、モンテッソーリメソッドでは、「子どもに対して上からものを言わず、謙虚であることが大切」とされています。

皆さんは、ある子どもの活動を手伝っているときに別の子どもから声をかけられたら、どのように答えるでしょうか?

元の子どもとの活動を中断したり、2人一緒に対応したり…ということもありますよね。もちろんこの対応も間違いではないかもしれません。たくさんの子どもたちと接しているので、なかなかひとりずつとの密な時間というのは取れないものです。

しかし映画の中で、このような状況のときにモンテッソーリ教師から出た言葉はこうでした。

『今は〇〇のお仕事にすべての心を捧げている。このあとなら。』

ただ「手伝ってあげている」「遊んであげている」のではなく、目の前の一人ひとりの子どもと対等に、そして真摯に向き合っている心が感じられます。たくさんの子どもたちと過ごすと忙しさについ忘れてしまいそうですが、できる限り一人ひとりとの時間を大切に過ごしたいと思える言葉ですね。

大人は「見守る」そして「観察する」

モンテッソーリ教師は、最初は教具の使い方をゆっくり時間をかけて、丁寧に子どもに教えます。しかしそのあとは介入せず、子どもに任せて離れた場所で見守るのです。そして一人ひとりを静かに観察します。

そうすると、「今あの子はこれを学びたがっている」「今がこれを学ぶタイミングだ」など、その子に合った成長のチャンスが感じられるのだそう。そのチャンスを逃さなければ、子どもの能力はしっかりと伸びます。

マリア・モンテッソーリは、「まるで自分がいないようだと思えること」が、教育者の成功だと考えていたそうです。大人はつい子どものやっていることに介入してしまいがちですが、子どもを信じることで「見守る」ことができるようになるのかもしれません。

子どもの自主的な行動こそが成長に

文字をなぞる女の子
このように、モンテッソーリ教育は子どもが自主的に学び、挑戦することで能力を身に着けていくことを大切にしていることが分かりました。映画『モンテッソーリ子どもの家』は、リアルな日々を撮っているからこそ、環境設定のコツや子どもの本質、大人の関わり方など、さまざまな視点を学ぶことができます。

モンテッソーリ教師を目指す方だけでなく、保育方法に迷う方や新しい視点を取り入れたい方など、すべての保育者さんにぜひ見ていただきたい映画です!

映画情報はこちら

映画『モンテッソーリ子どもの家』の広告画像
『モンテッソーリ子どもの家』
キャスト:先生 クリスティアン・マレシャル
日本語吹替:マリア・モンテッソーリ 本上まなみ/アレクサンドル・ムロ監督 向井理
公開日:2021年2月19日(金)
新宿ピカデリー、イオンシネマほか全国公開!


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>>劇場情報

予告編



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