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子どもに「はやく!」を言いたくなったら?思い出したい「子どもの心が自由である保育」

自然遊びをする子ども
自然の中での保育を専門にしている野村直子さんによる「子ども」と「自然」をテーマにした連載をお届けします。>>連載の記事一覧はこちら

こんな時、どんな声かけをしますか?

公園で子どもが遊びに没頭していて、なかなか帰ろうとしない時…みなさんはどうしますか?

「早く行くよ!」
「みんな行っちゃったよ」
「もう行かないとご飯(給食)なくなっちゃうよ」
「もう遊びに連れてこないよ!」


などなど…ついついこんな言葉を言ってしまう…。

このような経験がある人は多いのではないでしょうか?

先日、子育てサークルでの講演会で「子どもの心に恐れがないことが大切です」という話をしました。

上記のような「恐れや脅しで子どもを動かそうとすることなく、子どもの心が自由であることを大切にしたいですね…」と話しながら、

自分自身を振り返って、
「理想はそうだけど、でもそうも行かないことってたくさんありますよね!」

と、思わず言葉を付け加えている私がいました。

公園のお散歩でのエピソード

草の上でしゃがんでいる子ども
公園にお散歩へ行った帰り道のことです。

3歳児のAくんが「Bくんとつなぎたかった…」と、しゃがみ込んでしまいました。

手を繋ぎたかったBくんが先に行ってしまったことで、拗ねてしゃがみ込んで動かなったのでした。

給食の時間が迫っていたこともあり、他の子どもたちはもう進み出していました。

その時、私の口をついて出てきたのは、
「もう行っちゃうよ。給食食べちゃうよ〜」


自分の言葉にハッとなりました。その時の私は、子どもを早く前に進めさせたくて”脅し”とまでは行かなくても、それに近いような言葉をかけていました。

Aくんは、自分をわかって欲しくてしばらく拗ねていました。

子どもが折り合いをつけるタイミング

また別の日です。今度はCくんが冬眠していたカエルに夢中で、他の子は移動しているのになかなか動かないという場面がありました。

私は上記の体験を生かして見守りながら、

「Cくん、ゆっくり先に進んでるからね。カエルさんにバイバイしたら来てね」と、
「行っちゃうよ」の代わりに肯定的な言葉に変えて、その場をゆっくり離れました。
冬眠したカエルを持つ子ども
私の経験上、子どもは「帰りたくない」という気持ちに折り合いをつけることに時間がかかるものです。

その時、すぐ側に大人がいると「まだ遊んでいても大丈夫だ」と思って、子どもの遊びが終わらないことが多いように思います。

こういう時は、いくら言葉で動かそうとしても、その言葉は子どもに届いていないことが多いのです。

もしかすると、ほとんどの人はこういう時「もう終わりにしなさい」と叱って、その場から離れさせるのではないでしょうか?

「理想的な関わり方」とは?

自然遊びをする子ども
Cくんと私の距離は10mくらい離れていました。

Cくんは時々こちらを見て「もう行かなくちゃ。でもまだ遊びたい」という葛藤があるような様子でした。

しばらく離れて見守っていると、スクッと立ち上がり、自分の荷物を持って、こちらへ走ってきました。

後から追いついてきたCくんは、少しはにかみながらも満足そうな顔でした。

その姿を見て、私はCくんが気持ちに折り合いをつけることができると信じ、無理に動かすような言葉を掛けずに待った甲斐があったと思いました。

いつも理想的な関わりやあり方でいたい…けれど、実際にはうまく行かないことも多々あります。

でも、理想に近づくように、関わり方を試行錯誤する私たち大人がいることが大切なのだと思っています。

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野村直子(のむら なおこ)

この記事を書いた人

野村直子(のむら なおこ)

「子ども」と「自然」をキーワードに国内外での保育と自然体験活動などの経験を重ね、 “森のようちえん”という自然保育の活動に関わる。小規模保育室園長を経て、現在は新しい視点で子育ての質を伝えて行くため『new education LittleTree』代表として研修事業をメインに活動中。
<ホームページ>
https://www.new-edulittletree.com/

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