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新しいクラス、環境で落ち着かない子どもへの対応|発達支援の現場から 

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児童発達支援管理責任者/保育士/発達支援専門士として自治体とともに現場の保育士さんと一緒に発達支援を考える井上さんによるコラムがスタートです。  

安心、安全を本人が感じ取れているか 

新しい環境にいる保育士と園児
4月は新入園、転園など様々な状況の子どもたちが一斉に新たな環境でスタートします。 

すぐに環境に適応できる子もいますが、発達に偏りをもっている子どもたちは、初めての場面や人に不安を感じ、集団適応に時間がかかる場面が多く見られる事でしょう。 

この時期に保育者がまず大切にしたい事は、“安全、安心”の提供です。 

安全、安心とは?

安全、安心、とは、どんな意味なのでしょうか 。

“安全”は、周囲の人も含めた環境のことを意味します。“安全な場所”や安全な環境など。それに対して安心とは、個人が感じる感覚です。つまり、園での生活が安全な場所や環境だと知ることで、安心を感じる事が出来るのです。 
 

安心を感じる事が出来る環境づくりとは

保育園で遊ぶ乳児
園生活では1日の生活の多くの時間をしめるのが”遊びの時間”です。まずは、子どもたちの「遊びの発達段階」に合わせた環境設定が行われているか、新しいクラスになった際に再度確認すると良いでしょう。 

遊びの発達段階とは

遊びの発達段階
 遊びの発達段階は以下のように分かれています。
  • 一人遊び 
  • 並行遊び 
  • 連合遊び 
  • 協同遊び 
 一人遊びは、玩具や空間を共有することは難しく、やり取りのコミュニケーションもまだ未獲得の状態です。誰かが使っている物という理解が未熟な為、使いたいものを今使うという段階です。 
 
並行遊びは、空間は共有できますが、それぞれが自分の遊びを行います。他児が近くにいる事も意識はしていますが、やり取りを行う事はまだできません。お友だちが遊んでいる様子を見て、同じような遊びを行う様子も見られます。誰かが使っている物という認識は育っていることから並行遊び同士でのトラブルは起きにくいです。 
 
連合遊びは、やりとりの交流は行われますが、ルールに沿って目的を共有する様子は見られません。お友だちの様子やコミュニケーションを楽しみながら、一緒に同じ遊びを楽しんでいる段階です。 
 
協同遊びは、一つの遊びに対して役割やルールを決めながら遊びが展開していく様子です。おままごとの役割を決めたり、お医者さんごっこで医師役と患者さん役が交代したりとイメージを共有させながら自分の意見を伝えたり、時には譲ったり出来るのがこの段階です。  

遊びの発達段階を把握しましょう 

遊びの発達段階にとび級はないと言われている為、一人遊びの子が突然、連合遊びが出来るようにはなりません。 
 
また、遊びの発達段階が違う子どもたちが一緒の空間で遊ぶことで、トラブルが起きやすい状況になります。やり取りのコミュニケーションが未熟な一人遊びの子どもが、協同遊びの場面にいると、誰かの物という認識がない為、使いたいものを使いたいときにという行動から玩具を取った、取られたのトラブルになります。 

発達段階が違う子の遊びの注意点 

発達段階が違う環境にいる事でトラブルが起きるようなら、意図的に保育士が「○○君、これで遊ぼうか?」と本人が魅力的に感じる遊びで誘導し、本人に合った環境へ誘導することも支援の一つです。 
 
大切なのは実年齢で考えずに、その子の遊びの発達段階がどの段階にあるのかを知り、それに合わせた、遊びの環境を整える事が、その子にとっての安全となり、安心して遊ぶ事が出来、結果充実した時間を過ごすことが出来るのです。 
 
〇才のクラスだから、〇才用の玩具と考えずに、一人一人の子どもに合わせて遊びや玩具を揃えていくことが大切です。  

遊びの充実が保育の充実に 

降園する園児と笑顔で見送る保育士

特に初めて保護者から離れて集団生活を経験する子どもにとっては、遊びが充実することでお迎えの時間までを長く感じないように配慮したいものです。

あの玩具が楽しかった、あの遊びが楽しかったから、明日もまた遊びたい、だからまた保育園(幼稚園)に行きたいと思える次につながる保育が出来ると良いですね。 
 
執筆者:井上綾乃さん/合同会社シャインキッズ代表
管理者兼児童発達支援管理責任者/保育士/発達支援専門士
現在は和光市でシャインキッズという発達支援施設を運営しながら、地域の保育者への保育ゼミの開催、市内保育園巡回相談支援を行う。
https://shine-kids.com/


井上綾乃(いのうえ あやの)

この記事を書いた人

井上綾乃(いのうえ あやの)

発達支援センターでの実践や短大非常勤講師の経験を積み、自ら法人を立ち上げ、児童発達支援管理責任者(保育士と)して療育の現場で活動中。子どもをプログラムに合わせるのではなく、子どもに合わせた療育プログラムを行いながら、「楽しい」と感じる事で発達する支援を実践。現在では自治体の保育園巡回相談、保育ゼミ講師、依頼を受けての保育園、幼稚園研修講師等人材育成も行っている。
<シャインキッズホームページ>
https://shine-kids.com/

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