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保育園の設立に必要なものとは【みんなで作るカノア保育園・その3】

ブラジルのカノア保育園
2000年、ブラジル北東部にある人口300人の小さな漁村“カノア・ケブラーダ”に保育園を作った鈴木真由美さんのストーリー。地元の市役所で、保育園を設立するための書類も申請も必要が無いことを知り、「どんな保育園を作るか?」について考え始めた鈴木さん。具体的に突き詰めていくにつれ、自分の中でどうしても引っ掛かる想いがありました。
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どんな保育園が必要か?

アラカチ市役所から保育園開園の了承を得られたので、「さて、この村にはどんな保育園が必要なのだろうか?」と考え始めました。

私たちが大切にしたいこと…
  • 誰でも通える保育園であること。(無償にする)
  • 朝ご飯&お昼ご飯を提供できるようにすること。(家庭で食事のままならない子どもがいるため)
  • 集団生活というものに慣れるようにする。(小学校に通えるように)
  • 室内での活動に参加できるようにすること。(小学校に通うことを見据えて)
  • 遊びを基本とし、そこから発達に応じた学びができるように工夫すること。
  • 子どもだけではなく、家族も対象とした受け入れができるようにすること。
そして、
  • 共に働く人は、この村の中で探すこと。
これは、ある意味人材育成の意味も込めたことでした。




進む設立準備。残す課題は?

一緒に保育園の設立に携わったエヴァさんはブラジル人だけども、家族はサンパウロに住んでいて、いつこの村を離れるか分かりません。そして私は日本人であるため、もともと3年という期限を設けてこの保育園設立に携わったので、いつまでもこの村で保育園の運営に関わることはできない状況でした。

初期投資としての資金は、日本のNGOを通じて、「カノア基金」というものを設立し、その寄付を使用することが決まりました。そのため、プロジェクトとして3年間という時間の中で保育園を立ち上げ、村の人に受け渡す必要があったのです。

観光地にあるレストランのオーナーが昼食を提供してくれることになり、保育園として使用する部屋も村の環境NGOが無償で貸してくれることになりました。

残すところは、子ども達にどのような保育をするのか?ということ。

目指すべき保育を見付けるために

日本での保育経験たった2年の私にはまだ引き出しは多くありませんでした。「好きな保育をしていいよ」と言われた時、「この村の子どもたちにとってどんな保育が良いのだろうか?」と考え始めると、その答えが全く出てこなかったのです。

基本的には、サンパウロのファヴェーラ(スラム街)の保育園の考え方を取り入れたいと思っていました。私自身がそこでの子どもの様子にいたく感動したからです。しかも、一緒に保育園を設立しようとしているエヴァさんは、15年近くそこの保育園で働いていた人です。ただ、そこでの保育を環境の全く異なるこの村で同じように実施するのは何か違うように感じている自分もいたのです。

その“違う”と感じたことが一体何なのか

それを知るためにも、もっとたくさんの幼稚園や保育園を見てみたい。そう考えるようになり、半年ほど日本に戻って、さまざまな保育園や幼稚園で実習させてもらうことになったのです。


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