ザ・キャビンカンパニーのアトリエへ
大注目の絵本作家ザ・キャビンカンパニー氏についてのコラムは2回目になりました。前回のお話はこちら。 ほぼすべての絵本を持っています。こんな面白い絵本を描くのはどんな人だろうかと思い、トークショーや講演会、サイン会に行ってみました。すると、ザ・キャビンカンパニーの阿部氏、吉岡氏、共に大分生まれ大分育ち大分在住という生粋の大分人ということがわかりました。生粋の鳥取人としては親近感がわきます。大分ってどんな感じなんだろ。この夏に北部九州インターハイがあり、息子の学校のバレーボール観戦に行ったので大分県に行ってきました!
ご本人たちに許可をいただき、廃校舎を利用したアトリエへ。俺はめちゃ田舎育ち。自身の小学校も木造で小規模なのですが、ザ・キャビンカンパニーのアトリエはもっと小さかった!!

でも造りは立派でこぢんまりとしていてもどっしりとした雰囲気もある。命が宿っているようでした。地域の方と一緒に作り上げてきた校舎二回目の人生がそう感じさせたのだろうなと思いました。

大分県は想像よりも結構広く、いろいろな文化があるところでした。薄暗い時間帯に別府インターの近くを走っていると、街中至る所から湯気が上がっていました。なにかこの世から異世界に迷い込んでしまったかのよう。
山肌が異様に禿げているような場所もありました。原尻の滝にも行ってきました。ここは日本なのか!? 写真だけ見てたらインディジョーンズの歌が聞こえてくる。

こんな大自然が繰り広げられているかと思えば、大分市や別府市はめちゃ都会。驚きました。大分県は自然が豊か、温泉日本一で観光業も豊か。産業も盛ん。この地で育ったザ・キャビンカンパニーのバラエティー豊かな絵本のジャンルや作風は必然なのかもしれません。
too ambitious の精神
ザ・キャビンカンパニー氏のお話を聞かせていただいていてめちゃ共感できる言葉がありました。too ambitious
「be ambitious」は「大志を抱け」とするならば、「too ambitious」は「大志を抱きすぎ」といったところでしょうか。「私たちは想定以上に作りすぎてしまうことがある」と言っておられました。
わかる!! めっちゃわかる!! 取り組み始めたら楽しくなっちゃって、更にはいつの間にか楽しくなりすぎちゃって気がついたら想定以上に時間も手間もかかってる! ってことがよくあります。
以前、『しんごうきピコリ』を生活発表会の劇にした時に、手作りの大型絵本を作ろうとして、絵の質感を出すための画材探しから始まり、構図もしっかり書いて、劇の台本に合わせるためにオリジナルの色も入れたりして…

この後の製本作業も本の作り方をちゃんと考えたのできちんとしたものができて、5年たった現在でも子どもたちが楽しそうに大型絵本をめくっています。
ご本人たちに見てもらったら「私たちが描いたのかとおもった!」とお世辞にしてもうれしいお言葉をいただきました。振り返ると「よくやったなぁ」と思いますが、取り組んでいる最中は「too ambitious」でした。
現在巡回中の「ザ・キャビンカンパニー大絵本美術展〈童堂賛歌〉」の存分に大志を抱きすぎた展示を見ることが出来るのでお近くで開催されているならば、ぜひ見に行ってほしいです! 圧巻です。
ザ・キャビンカンパニー大絵本美術展『童堂賛歌』開催中 >>詳細はこちら
園で楽しむザ・キャビンカンパニー作品を紹介
さて、保育園・幼稚園ではザ・キャビンカンパニー絵本はどのように読まれているのでしょうか。子どもたちの身の回りの出来事が絵本のテーマになっているものが多く、『しんごうきピコリ』では交通安全、『オフロケット』(白泉社/2019年)では入浴タイム、『くつしたしろくん』(鈴木出版/2016年)は靴下。『ポケモンのしま』(小学館/2020年)はポケモン。『しりたガエルのけけちゃま しればトモダチ』(講談社/2023年)はNHKおかあさんといっしょ。『はみがきあわこちゃん』

ザ・キャビンカンパニー
鈴木出版/2015年
あわこちゃんが新しいはみがき粉で歯磨きしたら、どんどんどんどん泡があふれてきて街中が泡だらけになっちゃって、街だけでは留まらず…というものすごいスケールの話。
『あわこちゃんのはみがきマーチ』
この絵本を読んであわこちゃんと友だちになってから、この歌と一緒に歯磨きをしたら、ちょうど3分間しっかりと歯磨きができるというもの。俺のクラスの子どもたちは毎日この歌で歯磨きしています。再生回数の数パーセントは俺なんじゃないだろうかと思っています。
前半で描きましたが、大分で育った豊かな感性のザ・キャビンカンパニー氏は作風もテーマも多岐にわたっています。
『ゆうやけにとけていく』

ザ・キャビンカンパニー
小学館/2023年
ノスタルジックな雰囲気が絵本全体を包み込んでいます。ページめくりと共に時間が経過していき、夕焼けが夜になる。「とろとろとけていく」という表現は子どもたちも感じるようです。じっくりゆったり読んでいるとじーっとどこともなく絵本全体を見ています。
俺は、森山直太朗の『生きとし生ける物へ』を聞きながら自分ひとりで読んで涙しました。この絵本ができるきっかけとなったエピソードを知るともっとこの絵本が好きになます。
ナンセンス、ファンタジー、昔話。神秘的、叙情的。さまざまな絵本を描き続けるのは、豊かな感性を育んだ大分の地と読書を始めとする探求心、大志を抱きすぎるくらいの情熱があるから。 これからもザ・キャビンカンパニー氏の活躍を楽しみにしています!!
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