クラスの子どもたちが夢中になった「恐竜ごっこ」
令和6年度担任していた3歳児クラスの隣のクラスは、もうひとつの3歳児クラス。1学年2クラス編成でした。子どもが違えば興味関心や夢中になる活動は自然と違ってきます。俺の担任クラスは、工作したり自然探索したりすることが好きでしたが、隣のクラスは模倣遊びが好き。動物になりきったり、警察になって追いかけっこしたり…。そして、恐竜に詳しい子どもがいたため、恐竜に詳しく、恐竜の真似をして遊んでいる子どもたちがいました。
読んでくださっている方は想像しながら読み進めているかもしれませんが、一番恐竜の形態模写が上手なのは女の子。イメージしていましたでしょうか?
劇のテーマは「恐竜」! 絵本との出会い
そのクラスが生活発表会の劇のテーマに選んだのは「恐竜」でした。クラス担任が絵本をテーマに取り組みたいと考えていたちょうどその時! 俺の手元にこの絵本がありました。
『きょうりゅうたんけんたい』
アレックス・ラティマー絵
聞かせ屋。けいたろう文
KADOKAWA 2024年
友だちの恐竜赤ちゃんの誕生日プレゼントを探すため、陸海空と色とりどりな恐竜たちが探検。それぞれの得意なフィールドを「まかせとけ」と大捜索。
合言葉は
「ぼくらはきょうりゅうたんけんたい どんどこどんどこ すすめやほい」
ラストはとってもステキ終わり方。
絵本との縁と、「聞かせ屋。けいたろう」氏とのつながり
なぜちょうどこの絵本が手元にあったのか!? それはこの本の文章を書いている「聞かせ屋。けいたろう」氏と俺の関係にあります。「聞かせ屋。けいたろう」氏は保育士であり、絵本読み聞かせのプロであり、絵本作家である絵本のスーパーマン。年齢が俺と同じこともあり仲良くさせていただいております。保育の話、絵本の話、幼いころからの趣味の話が盛り上がる盛り上がる。話していて楽しいのです。
「聞かせ屋。けいたろう」について >>詳細はこちら
「聞かせ屋。けいたろう」氏の新刊が出版されると必ず読ませていただいています。けいたろう氏の書く文章は、何よりも読み心地が良いので、声に出して読んでいて楽しくなります。
さすが数えきれない数の場所での本読みを積み重ねてきた男!そして、保育士の視点から物語の構成に、保育のエッセンスも入っているので、子どもたちを楽しく絵本の世界へ連れていってくれます。
劇の台本としてもぴったりな一冊
本書には『まいごのたまご』、『きょうりゅうかくれんぼ』とシリーズがあります。以前の2冊はアレックス・ラティマー氏の絵本をけいたろう氏が翻訳したもの。今作は文章をけいたろう氏が書き、南アフリカでアレックス氏に絵を描いてもらい。そして日本で出版という絵本では珍しい逆輸入絵本。絵本の構成が、劇の台本そのままに使用できそうなくらい、楽しい繰り返しの要素と明確な起承転結で、子どもたちは練習から本番まで恐竜になりきって楽しみました♪
生活発表会が終わっても続く“恐竜の世界”

今回のコラムではその後に起きた出来事を特にお伝えできたらと思います。生活発表会後も子どもたちの恐竜遊びは続きました。
劇に使用した洞窟はそのまま部屋に移転すると恐竜たちの住処になりました。出たり入ったり、宝物を隠したり、追いかけられて逃げ込んだりと大人気スポットでした。

劇で使用した背景には、子どもたちが描いた恐竜を含むオリジナルキャラたちが跋扈(ばっこ)する絵に日々変化していきました。

恐竜の赤ちゃん人形は、クラスみんなの赤ちゃんになり一緒に進級しました。
保育は“つながり”の連続
子どもの活動は単発ではありません。生活発表会がゴールでもありません。保育には流れがあり、日々繋がっていくのです。決まった形はなく、営みの中で何物にでも変わっていきます。洞窟を移転しなかったら… 背景の絵をそのまま片付けていたら… 全然違う今があったに違いありません。保育士は子どもたちの一番近くにいる人的環境として何ができるのか。子どもたちの興味関心に寄り添い、「楽しい」を見つけていきたいとあらためて感じました。
拝啓 聞かせ屋。けいたろう様
今回本コラムに取り組みの掲載を承諾してくださり感謝しております。これからも読み心地抜群の絵本を待っております!敬具
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