MENU

加配の必要な子のために保育が止まってしまう、どうしたらいい?|発達支援のお悩み相談室

8
加配の必要な子のために保育が止まってしまう、どうしたらいい?
「発達支援の現場から」のコラムで好評の児童発達支援管理責任者/保育士/発達支援専門士である井上さんが、皆さんの悩みにお答えします。今回は、小規模園で加配の必要な子の対応で他の子を待たせてしまっていると感じる保育士さんからのご相談です。

今回のお悩み:加配の必要な子の対応で保育を止めてしまっている

ぺーぺーさん(一般保育士/10年目)からの質問

小規模の保育園のため、職員の人数も少ないです。

加配の必要な子も担任が見ているため、保育を中断しなければならなかったり、他の子を待たせてしまうことも多いです。保育の流れを出来るだけ止めずに対応するには、どうしたら良いでしょうか。

来年の年少はもっと加配が必要な子が多く、子どもの人数は少なくても加配が多くて不安です。



専門家からペーペーさんへの回答

ご質問をいただきありがとうございます。園によって職員の人数は最低限の基準のみの人数で保育を行っている園もあれば職員が潤沢になっている園もあり方針はさまざまですね。また、保育業界は現在人材不足で採用したくても保育士さんを採用できない場合もあるでしょう。

そのような状況の中で、発達に特性を持つ子どもを含めたクラス運営に日々取り組まれている先生のご苦労は、よく伝わってきます。
article_13

「ヒューマンエラー」ではなく、「システムエラー」としてとらえる

以前、困りごとが起きた際には“人”を原因に考えずに“環境”に目を向ける、“ヒューマンエラーで考えず、システムエラーで考える”という内容を書かせていただきました。今回のご質問もこの考えを軸としてお答えさせていただきます。 加配が必要な子がどれくらいの発達の状態なのかは、この文章から詳細に知ることは出来ませんが、少なくとも「みんなと一緒の流れで生活することは難しい」状況であることが分かります。

先生はその子の対応にあたりながら、他の子どもたちを“待たせてしまっている”ことに罪悪感を感じておられるかもしれません。

先生のご質問の文章の中に“保育の流れを止めずに”という一文がありましたので、この「保育の流れを止めない対応」という観点でいくつかの方法をお答えさせていただきます。

① 待ち時間の充実が“待たせている”を“充実した時間”に変える

例えば、朝のあつまりなど、一斉活動の際に支援の必要な子の切り替えに時間がかかり先生が対応せざるを得ない場合があるとします。すでに切り替えて着席している子どもたちは、それぞれ絵本を見る時間、シール貼りをする時間、粘土をする時間、お絵かきをする時間など、すき間時間を充実したあつまりへの準備時間として過ごすのも良いでしょう。

このような過ごし方だと、先生にとっては「待たせている」と感じているかもしれませんが、子どもたちはそれぞれある程度の枠の中で好きなことを選択して、充実した時間を過ごすことができ、「待たされている」ということにはならないと思います。

②支援が必要な子には“別活動”を準備し、同じタイミングで集団活動へ

切り替えに時間がかかる子は、次の活動内容に興味が持てなかったり、今の楽しいことから離れられなかったりすることがあります。

そのような場合には、切り替えが得意な周囲の子よりも先に声かけをして、個別に切り替えを促します。その後、切り替えられそうなタイミングを見計らって周囲の子どもたちへの声かけを行います。

このときに大事なことは、次の活動がどうであれ支援の必要な子が切り替えられる物で切り替えるということです。

例えば、朝の会のような興味のもてないものが次の活動だった場合、支援の必要な子には「お部屋の中でスライムをする」など先生の手をとられずに一人でじっくりと遊べるようなものを設定します。そして実際のスライムを本人に見せて切り替えやすい状態を作ります。

入室後にはひとりでじっくりとスライムを行っている間に、周囲のお子さんたちは朝の活動を行うのです。こうすることで保育の流れが大きく乱れることはなくなるでしょう。

③ クラス活動の“中身”そのものを再検討してみる

②の対応をした際に、活動が成立せず大多数の子どもたちが個別対応をしたスライム遊びに興味が移ってしまうのであれば、それはその時間は朝の会はやめてクラス全体でスライムを行うことをおすすめします。

今のクラスの子どもたちの実年齢ではなく発達年齢を考慮し、目の前にいる子どもたちにとって何をすることが大切なのかを考え直すということです。

つまり、形式的に“やるべき”朝の会よりも、スライムという感覚を堪能し遊びが充実することや、色の違い、混ぜ合わせることで変化する色、道具を使用する指先の微細な運動、道具を貸し借りすることの社会性などなど、朝の会をやらなくても子どもたちにとって学べる環境は多様にあります。

井上さんよりアドバイス

柔軟な視点が、子どもと保育を変える

今回は朝の会という活動からスライムという感触遊びに変更する例をあげましたが、その他柔軟な思考力でアイデアを出し合えば、システムを変容させることで多様な発達の子どもたちを一緒に保育することは可能になるでしょう。

 「○○しなければならない」という固い思考概念を取り払うことが、柔軟な保育につながり、結果子どもたちも柔軟な思考をもった人として成長できるでしょう。

日々の保育は大変だとは思いますが、こちらに質問をしてくださるということは、それだけ子どもたちのことを真剣に考えている証拠だと感じます。私には応援することしか出来ませんが、先生にとって保育が楽しいと感じ続けることができるような学びの手助けになればと思います。頑張ってくださいね。

井上先生監修のほいくisオリジナル絵カードは無料でダウンロードできます

コラムの執筆者である井上先生監修の絵カードは、ほいくisで無料で配布中です。ダウンロードしてご利用ください。

無料で使える”ほいくisオリジナル” 園生活の絵カードなど他の絵カードも見る

 

井上さんに直接聞いてみたい発達支援のお悩み募集中

普段の保育で感じている発達支援のお悩み、井上さんに質問してみませんか? このコラムも実際に寄せられた質問にお答えしています。ほいくisでは、保育者のみなさんが抱える発達支援のお悩みを募集し、児童発達支援管理責任者/保育士/発達支援専門士として自治体とともに現場の保育士さんと一緒に発達支援を考える井上さんに回答いただく企画が好評です。

あたたかい目線でいつも保育者に寄り添う井上さんのコラムは、現場の保育者の方からも非常に好評です。ぜひみなさんが感じていること、相談したいことがありましたら下のボタンをクリックして相談内容を教えてください。

ご相談にほいくisでお答えします 発達支援のお悩み、井上さんに相談する

詳細については、相談応募フォームにてご確認ください。

◆関連記事
8
パーソナライズ_オープニングスタッフ
井上 綾乃(いのうえ あやの)

この記事を書いた人

井上 綾乃(いのうえ あやの)

一般社団法人プライムシャイン代表理事
管理者兼児童発達支援管理責任者/保育士/発達支援専門士

発達支援センターでの実践や短大非常勤講師の経験を積み、自ら法人を立ち上げ、児童発達支援管理責任者(保育士と)して療育の現場で活動中。子どもをプログラムに合わせるのではなく、子どもに合わせた療育プログラムを行いながら、「楽しい」と感じる事で発達する支援を実践。現在では自治体の保育園巡回相談、保育ゼミ講師、依頼を受けての保育園、幼稚園研修講師等人材育成も行っている。

<シャインキッズホームページ>
https://shine-kids.com/
<遊んで発達 シャインキッズ井上チャンネル>
http://www.youtube.com/@user-nt6dp8ji5c/

「ほいくisオンライン研修」で公開中!
「社会性の発達支援」セミナー動画はこちら

発達支援のお悩み相談室関連記事
ほいくisメンバーに登録(無料)