”わざと”問題行動をとる子ども
園を訪問した際に、よくでるお子さんの困りごとの一つに、「やってはいけないことだと理解していながらわざとお友だちを叩く」という行動に対してどのように関わればいいのかというものがあります。こういった行動はよく「問題行動」と言われますが、問題と感じているのは周囲の大人であって、子ども自身は問題だと感じている訳ではないかもしれません。
私がいつもお伝えしているように、なぜこのような行動を子ども自身が示さなければならないのか、本人にとってはきちんとした理由があり、それを周囲の大人に対して問題を提起している「問題提起行動」と捉えます。
問題提起行動とは?
わかりやすいようにいくつか例を挙げてみます。例えば、私たちが言葉の通じない国に旅行に行くとします。日本人は一人しかいません。日本語も通じないツアーに入り美術館を見学していました。突然トイレに行きたくなってしまい周囲の人に身振りで伝えようとしますが伝わらず、もう間に合わないとなったとき、さてあなたはどのような行動をとるでしょうか?
「きっとまだ美術館を見学しているから今のうちにさっとトイレを済ませて合流しよう」と考えるのではないでしょうか?
これがまさに、ツアー側の人間からすれば、ツアー客が突然いなくなる“問題行動”です。しかし、本人にとっては“コミュニケーションが伝わらない”伝える手段がないから起こした問題提起行動かもしれません。
このように問題提起行動とは、その行動を起こさせた環境側に問題があるということを提起しています。
子どもが起こす問題提起行動とは

子どもの例を挙げるとすると、欲しいおもちゃが手に入らないと、お友だちを叩くという行動は「貸して」というコミュニケショーン手段をもっていないために直接行動を取るという問題提起行動が理由の一つにあるのかもしれません。
毎回給食の終盤になると、嫌いな食材を床に落とすという行動は、残したいときにどうしたらよいのかわからないという問題提起行動なのかもしれません。
大人が問題だと感じている行動は、子ども自身が何かに困っているというサインでありその理由が隠されているということを理解することが大切です。
ケース別問題提起行動とその対応
子どもがやってはいけないことだと分かっていながら、大人の反応をみてわざとやるという行動。これは、いつ、どのような時に起きているのかを良く観察してみましょう。自由な遊びの時間で起きた場合
遊びは充実しているか確認しましょう。チェックするポイントをあげます。- 大人の存在を忘れてしまうほど、お友だちと楽しく遊べているか
- お友だちと遊ぶことが難しくても、本人が大好きなおもちゃで充実した遊びの時間が過ごせているか
- 短時間なら遊ぶことが出来ていても、長時間になると遊びに飽きてしまうことはないか
- 次の遊びに発展させることや新たな遊びを選択することは出来ているか
対応
本人の発達に合わせた遊びの環境をつくる他者とのやりとりのシーンで起きた場合
適切なコミュニケーション手段はもっているか確認しましょう。先生と一緒に遊びたいという気持ちを、直接言葉やその他のコミュニケーション手段で伝えることはできているでしょうか。対応
その子自身の発達に合わせた伝えたいことを伝えられるコミュニケーション支援を行う待つことが必要なシーンで起きた場合
先生と遊びたいとコミュニケーションがとれたとしても、先生が今すぐに対応出来ないとき、「待っててね」と伝えられて、待つことができるか確認しましょう。対応
待つことが難しければ、どのくらい待てば希望が叶うのかの見通しが分かるような支援をする、または待つこと自体が難しいのであれば待つかわりに遊びで時間をすごしてもらうその他にも保育のさまざまな場面で起きていることでしょう。いつどの場面で起きているのかをよく観察することで、子どもが出している問題提起に対してアンサーを提案することがよいでしょう。
問題行動には観察が必要
最近では、子どもの行動の観察を飛び越して「問題行動には計画的無視」という支援の方策だけが先走りしているように思います。100人いれば100通りの支援があるように、子どもの行動をよく観察し、支援の方略に何を選択するかはよく考えることが大切です。それは発達支援の学びを深め、さまざまな知識を習得することでかなえられます。
保育園、幼稚園という乳幼児期には特に先生と子どもの関係性を大切に考え、子どもに負荷のかからないあたたかな支援から始めていきましょう。
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