今回のお悩み:言葉や発達に遅れの見られる4歳児の対応
にゃんさん(保育教諭/6年目)からの質問
4歳児クラスの中に言葉や成長発達に遅れが見られるお子さんがいます。
2語分が出てくるようになり意思表示も嫌なことには即座に「しない」や「ない」と言ったり、「うん」「はい」などハッキリとはしませんが簡単な言葉でのやり取りはできます。ですが、長い言葉でのやり取りは難しいです。
友だちにも気持ちが伝わらず手が出やすく多動な傾向もあり、気持ちの切り替えも難しく、こだわりも強くやりたい気持ちが最後まで通らないと強く癇癪を起こしやすいです。
絵カードも活用したことはありますが、上手く響かず丸めて遊んでしまったりする姿がありました。
数字の認識や色と名前の認識も一致していない様子で、およそ1歳児〜2歳児ぐらいの発達です。
午睡中はお気に入りのタオルを持っています。無くても寝ることが出来たり一日を過ごせている事を保護者へも伝えていますが、毎日保護者が持たせていることが多く、保護者もそのタオルに執着しているようにも思います。
現在はトラブル時には仲介に入って言葉とジェスチャーを入れ、どうするのがいいのか話したり、成功経験を増やしていけるような対応はしています。
補助に入ってくださる先生(毎日変わります)には試し行動のような行動もするようになり気持ちや行動が落ち着かず、担任が対応をしないと上手くクラスが回らないことが多いです。
保護者は困っている様子もみられず、なんでもやってあげてしまうような姿もあり、お子さんの姿を受け入れたくない様子も見られ専門家へも繋げにくく、伝え方にも悩んでいます。
私の経験不足もありますが、そのお子さんや保護者対応にも現在難しく悩んでいます。
専門家からにゃんさんへの回答
ご質問ありがとうございます。4歳児という実際の年齢に対して、言葉の理解と表出、感覚、気持ちの切り替え、情動の調整の未熟さ、認知、社会性等の特性をもっているお子さんだということが、先生の丁寧な文章の中から読みとることが出来ます。先生が、その子自身に悩まれていることは何でしょうか? いつも、答えは子どもの中にあるという言葉から一つずつ紐解いていってみましょう。
絵カードの使用は発達に合わせて
このお子さんは、まだ色の名前がわからないという発達段階のようですが、絵カードの内容は読み取れているでしょうか。例えば、手洗いのカードを見せた時に水道の方向へいきますか? または水道の方向に視線を向けていますか?
もし、カードの内容を見て理解できていないようであれば、このお子さんにとって絵カードを使用することはまだ難しいでしょう。つまり、現物(実物)で伝える段階です。先ほどの手洗いの場面であればそのシンボルは、ハンドソープ等の具体物が良いかもしれません。
また、そのお子さんは大人が伝えることに注意を向けることは出来ますか? 相手の意図に合わせてみようかな? この先生は私に何を伝えようとしているのかな? という興味を向け、関心をもつことは出来ていますか?
たとえカードの中身を理解していたといしても、相手の意図に沿うかどうかは本人次第。絵カードは子どもを思い通りに動かす道具ではありません。発達のゆっくりさや、特性をもっているのであればなおさら絵カードは、やりとりが伝わることの楽しさを知る手段として使用することや、この世界が安心出来るものという理解の手助けとして使用することが大切なことだと思います。
お子さんがカードを丸めているという行動の様子からも、使用の場面と内容または使用そのものを再度考えて見るとよいでしょう。
その他の場面でも、先生方はこのお子さんにどのように関わって良いのか日々考えていらっしゃるかと思いますが、大切なことはクラスの皆に合わせることではなく、本人の発達に合わせた物的環境、人的環境の中で安心して生活出来るようにすることを心がけるとよいでしょう。
安心出来る環境が、子ども自身がわかりやすいと感じる環境であり、自然にその子らしく発達していくことができます。これぞ「答えは子どもの中にある!!」です。
今回のご質問の文章からは詳細な支援方法をお伝えすることはありませんが、「安心できる環境は何だろう」と感じたら、発達支援の学びを深めるとよいでしょう。先生方の意欲と共に知識は必須です。是非ほいくisのオンライン研修などで学んでいただければと思います。
保護者への対応
保護者の方が困っていないということは、家庭の中では子ども自身にとって困るような出来事が起きないために、癇癪等が起きないのではないでしょうか。つまり、子ども自身の発達がゆっくりであっても、保護者の方がそれに合わせた関わりをすることで安心してその子の発達のペースで過ごすことができているのではないでしょうか?先生方は、それは家庭だからできることと思うかもしれません。しかし、家庭で出来ることを家庭でやれることは素晴らしいことです。ありのままの自分を受け入れられている安心感は子どもの育ちには必要不可欠です。
これらの情報から、このお子さんは社会という集団との相性の悪さがあることが予測されます。その、相性の悪さは本人が悪いわけではありません。
その子らしく育っていくためには、保育園という場面では、どのようなことが出来て、どのようなことは苦手で、どのような配慮をすることで苦手と上手く付き合いながら生活をしているのかというプラスな情報の間にマイナスな情報を挟んで伝えるサンドイッチ法で保護者の方に伝えると良いと思います。
まずは、保護者に対して本人の得意なこと、好きなこと、頑張っていることをたくさん伝えることで、先生が我が子のことをよく見てくれ理解してくれる存在だということを保護者の方に伝わるように心がけると良いでしょう。その中に、少しずつサンドイッチ法で園での様子を伝えていくと良いでしょう。
子どもの発達が多様なように、保護者の考え方も多様で家族のありかたも多様です。そのご家族がどのような生き方をしていきたいのか? それを考えながら、自分の価値観でなく、ご家族の価値観に合わせて支援していくとよいでしょう。
井上さんよりアドバイス
実践の場では多くの子どもの中の一人に配慮することは容易ではありません。しかし、こうしたご質問を寄せられたこと自体が、そのお子さんへの深い関心を示しているといえます。私がご協力できるのはその想いの方向性をお手伝いするにすぎないのかもしれません。先生のお力に少しでも役立てばと応援しています。
井上さんに直接聞いてみたい発達支援のお悩み募集中
普段の保育で感じている発達支援のお悩み、井上さんに質問してみませんか? このコラムも実際に寄せられた質問にお答えしています。ほいくisでは、保育者のみなさんが抱える発達支援のお悩みを募集し、児童発達支援管理責任者/保育士/発達支援専門士として自治体とともに現場の保育士さんと一緒に発達支援を考える井上さんに回答いただく企画が好評です。あたたかい目線でいつも保育者に寄り添う井上さんのコラムは、現場の保育者の方からも非常に好評です。ぜひみなさんが感じていること、相談したいことがありましたら下のボタンをクリックして相談内容を教えてください。
ご相談にほいくisでお答えします 発達支援のお悩み、井上さんに相談する
◆関連記事












