今回のお悩み:言葉や発達に遅れの見られる4歳児の対応
まるにゃんさん(一般保育士/28年目)からの質問
声の音量調節が難しく、急に大声で話しだす事も多く、周りの子に「うるさい」と言われてしまいます。
全体的に発達もゆっくりで、発音も不明瞭な所があるお子さんなのですが、どのような関わりをすると、ちょうど良い声で会話が出来るようになるのでしょうか。
クラスでは、いいなと思った音量の時に、今の聞きやすい声だね等と声掛けたりするようにしています。
また、周りの友だちが本児とは関係のない事で笑ったりするだけでも「笑わないで」「こっち見ないで」と、相手の子に叫ぶように怒鳴るため、トラブルも多いです。友だちとの関わりは好きで、自分から関わりを求めます。自分も同じ事をするけど、相手がすると許せないという感じで、支援方法に悩んでいます。
専門家からまるにゃんさんへの回答
ご質問いただきありがとうございます。このようなタイプのお子さんは私も今までたくさん出会ってきました。まず、考えていただきたいのは、大きな声を出す理由です。いただいたご質問から想像するには、何かの不安から拒否や苦しさの表現として大きな声をだしているというのではなく、「何か話したいという気持ちが高まった際に、つい声が大きくなってしまう」という状況ではないでしょうか。
支援には、「環境を調整することで今すぐに変化が現れるケース」と、「人の関わりを含めた周囲の環境を調整したとしても時間をかけてその子の発達を待ちながら変化していくケース」があります。今回のご質問の場合には後者の「時間をかけて発達を待つケース」になるでしょう。
先生が行っているように、ちょうど良い声量の場合には、ほめて肯定的に関わることで、どのくらいの声の大きさかを知るという支援はとても良い支援だと思います。
「声が大きい」理由の切り分け
しかし、このお子さんの声が大きくなる理由は「話したい」という気持ちの強さや「これを早く伝えたい!!」という衝動性が覚醒レベルを上げ、結果として声が大きくなってしまっていると予測されます。そのため、相手を困らせたくてやっているわけでもなく、話したいという想いがわいた瞬間に起きるもので、現時点では、自ら話す前にコントロールすることは難しいでしょう。
そこで、このお子さんに対して行うことは本人を変えようとするのではなく、周囲の人たちの関わり方を変化させるという方法です。
この子との関わり方
注意ではなく「ジェスチャーサイン」を
例えば、突然大きな声で話し出してきた際には「声が大きい」と注意されるのではなく、ジェスチャー等で「大きい」から「小さい」に変化できるサインを送ると、すぐに気がつくことが出来るでしょう。言葉で注意されると否定されているという自己否定感を抱きやすいためそういった感覚がないようにしたいですね。
遊びを通して「感覚の調整力」を育む
次は時間をかけながら本人の発達を支援する方法です。声の大きさの調整は感覚の調整と大きな関係性があるため、遊びを通してそれを経験していきましょう。例えば、伝言ゲームで、あえて小さな声で伝える遊びをする。椅子取りゲームやストップ&ゴーのゲームのように体を思い切り動かしてから合図で動きを止める等、動と静を繰り返しながら、内的な感覚の調整に自ら気づけるような遊びをたくさん行っていくと良いでしょう。
相手の立場や気持ちを想像する力を養う
そして、これは次のもう一つの質問にも関わってくるもので、このお子さんが何歳児か分かりませんが、まだ「相手の気持ちが自分とは違うかもしれない」という他者の立場や視点に立つことは難しい発達の状態であることが分かります。他者視点の育ちの未熟さが、やりとりのときの声の大きさの調整が進まない一因となっているかもしれません。
普段の生活の中で、一方的な関わりだけでなく先生の手伝いをする役割や当番活動、誰かと一緒に協力する経験などを取り入れてみてください。他者から感謝されることで、誰かの役に立つことの達成感を感じることでしょう。
すると、再度誰かの役に立ちたいと感じ相手に視点を持ちながら、相手が何を感じ、何をして欲しいかということを考えられるようになるかもしれません。
時間のかかることにはなりますが、人との関わりは温かいものであるという人間関係の育ちに大切な時間となるでしょう。
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