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このナンセンスがちょうどいい|愛する絵本作家~高畠那生編(1)

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このナンセンスがちょうどいい|愛する絵本作家~高畠那生編
現代のナンセンス絵本を語るうえで欠かせないのが、高畠那生さん。今回は、読み聞かせでの手応えやイベントでご本人と接した印象も交えながら、高畠那生ワールドの魅力を絵本紹介とともに絵本専門士のうっちー先生がお伝えします。>>連載一覧はこちら

現在進行形のナンセンス ― 高畠那生という存在

このナンセンスがちょうどいい|愛する絵本作家~高畠那生編

絵本のジャンルはいろいろあれど、俺が一番好きなのは、ナンセンス絵本です。長新太氏がナンセンスの王様と思っていますが、現代においてナンセンスを輩出し続ける、高畠那生(たかばたけなお)氏の絵本を愛してやまないのです。

今年度、鳥取市にて一緒にイベントを開催いたしました。そのときに感じたことも含めて、えほんばなしに綴っていきたいと思います。以下、愛を込めて那生さんと呼ばせていただきます。

高畠那生・プロフィール

高畠那生 (たかばたけなお)
1978年岐阜県生まれ。父は絵本作家高畠純。
東京造形大学美術学科卒。
第25回講談社絵本新人賞佳作。『かえるのおでかけ』で第19回日本絵本賞受賞。『うしとざん』で第68回産経児童出版文化賞 ニッポン放送賞、第70回小学館児童出版文化賞受賞。『おきにいりのしろいドレスをきてレストランにいきました』で第29回日本絵本賞受賞。

いい塩梅のナンセンス

那生さんの絵本の魅力は、なんといっても「いい塩梅のナンセンス」です。いい塩梅っていうことの説明が難しいのですが…まぁいい塩梅なんです。

そこをあえて文章で表現するとなれば、「内容が、想像しうる現象からかけ離れすぎてないのだが、ぶっ飛びすぎでもない。視点や思考が直線的ではなく別視点の世界だったり、双方向からだったりしている。」といったところでしょうか。そこにオリジナリティ溢れるキャラクターと独特な色彩が加われば、そこにはもう高畠那生ワールドが展開されています。

でもやっぱり、こんな俺の拙文で那生さんの魅力を十分に文章で表現できているとは思えません。もしかしたら、絵本を紹介していくことで、伝えることができるかもしれません!
パーソナライズ_オープニングスタッフ

『バナナじけん』

絵本「バナナじけん」の書影
[バナナじけん]
高畠 那生
ビーエル出版/2012年

たくさんのバナナを運んでいる車。バナナが一本落ちることから始まる事件簿。サルがやってきて食べて皮を捨てる。次にウサギがやってきて皮で滑る。次にワニがやってきてその皮を…どうしたのでしょうか?

お決まりの展開から、いい塩梅の展開となり、どんどん物語へ引き込まれていきます。「そりゃそうなるよね」とわかっているから面白い。「そうなるの?」と面白い。最後は「フフンッ」と面白い。ナンセンスがいい塩梅です!!

「ワニも皮で豪快に滑る」「ワニがサルとウサギを皮ごとバクっと食べる」など想像したくなるけれどそんなものじゃない。そんな常人が考えつくようなことはゆうに飛び越えてきますが、でも着地点はそこにある。

ワニがやってきてどうなるのかという絵本の内容をお伝えしたいのですが、実際に絵本を読んでほしい気持ちがあるので、ここには書きません。確かに「いい塩梅のナンセンス」と感じていただけると思います。

出版している絵本には共著も多く、さまざまな作家さんが書いた文章に那生さんが絵を描いています。どれも大好きなのですが、一番読んでいる絵本を紹介します。

『おきにいりのしろいドレスをきてレストランにいきました』

おきにいりのドレスをきてレストランにいきました
[おきにいりのしろいドレスをきてレストランにいきました]
渡辺朋 作/高畠那生 絵
童心社/2023年

お気に入りの白いドレスを着てレストランに行く。そこで起こった悲劇が那生さんの絵によってドラマチックに展開していきます。この絵本はほぼ擬音で構成されています。

文章だけ抜き取って読んでみると何が書いてあるのか全く分かりません。絵本の内容を知っていてもわからないのです。出版社、作の渡辺氏、編集と共に作り上げているのですが、那生さんの絵、ページ割りと文字と絵の構成が素晴らしい!! この絵本を世界一読み込んでいる俺が言うのだから間違いありません。

因みにこの絵本は、童心社による第10回『絵本テキスト大賞』の大賞受賞作品です。この賞の面白いところは、絵は含まれないこと。

絵本のためのテキストをたくさんの作者さんが応募した中で、この「擬音だけのテキスト」が受賞したのだと思うとおもしろいなぁと思っていたのです。かつて那生さんのお父さんである高畠純さんと『うし』(内田麟太郎作/高畠純絵・アリス館/2017年)の出版でコンビを組んだ内田麟太郎氏が選考委員のひとりだったことを考えると、そうだよなと納得する」と言っていました。書く人も選ぶ人も、作る人も、描く人も一流だらけの絵本というわけです。

今回のコラムでは絵本紹介を通して、絵本作家高畠那生氏の魅力「いい塩梅のナンセンス」をお伝えしました。次回は、那生さんご本人の魅力も含めて綴っていきたいと思います。

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