『きみとかに』プロジェクトへの想い

『きみとかに』プロジェクトは、災害時に迷わず行動できる子どもと大人を増やすことを目的として立ち上げました。この合言葉は、全国の保育現場で行われてきた避難訓練の中から生まれた疑問や課題意識を基に、保育士の声を集めながら検討を重ねて形作られたものです。
『きみとかに』は、“新しい防災の合言葉”であると同時に、保育士が自分たち自身の言葉で、不安を抱えることなく、自由に、防災を伝えていけるようになるためのきっかけとなる合言葉でもあります。
「子どもを守りたい」という想いは、どの現場も同じ。その想いに寄り添い、保育士さんの笑顔を増やすこと、それがこのプロジェクトを始めた一番の理由です。
防災の新しい合言葉『きみとかに』とは
従来、子どもたちに伝える防災標語・合言葉として「おかしも」「おかしもち」「おはしも」がありました(※)。しかしこれらは、否定表現が中心で、状況によっては適切な行動判断に繋がらない可能性が指摘されていました。こうした背景を受け、より行動のイメージが持ちやすく、子どもにも大人にも伝わりやすい新しい合言葉として開発したのが『きみとかに』という合言葉です。
- 「き」:聞く(必要な情報を耳で受け取る)
- 「み」:見る(周囲を観察し、安全を確認する)
- 「と」:止まる(まず立ち止まり、落ち着く)
- 「か」:考える(自分で判断する)
- 「に」:逃げる(命を守る行動をとる)
そして何より、子どもたち自身が“自分で考えて動ける”ことを大切にしているところが従来の合言葉と根本的に異なるところです。防災は、専門家だけが扱う難しい分野ではありません。『きみとかに』は、自分自身で考えて行動するための“やさしい入口”としての役割もあるのです。
2025年、この合言葉を必要とする現場に確実に届けるための啓発イベントを開催すべく、クラウドファンディングを実施しました。保育現場の笑顔と子どもたちの命を守りたいという想いに、多くの方々が賛同してくださり、イベント開催を実現できました。今回は、その様子をお伝えします。
| ※「おかしも」「おかしもち」「おはしも」は、子どもたちに災害時の避難の対応を分かりやすく伝えるために作られた防災標語。子どもたちに覚えてほしい災害時の対応である、「お(押さない)」「か(駆けない/走らない)」「し(しゃべらない)」「も(戻らない)」「ち(近寄らない)」の頭文字を繋げて覚えやすくしたものです。もともとは、1995年(平成7年)1月17日に発生した阪神淡路大震災を機に消防庁が考案した避難訓練用の標語、「おはし(押さない・走らない・しゃべらない)」が元になっています。現在では全国に広まり、保育施設での避難訓練や指導で使われています。 |
キックオフイベントの様子

まずは「1月31日 こどもを守る保育防災の日」というタイトルに込めた想いを共有し、“防災は難しいものではなく、みんなで考えればもっと身近になる”というメッセージを伝えるお話からスタート。その後は手遊び・体操のほか、小グループでのカードゲーム・防災クイズなど、体験しながら学べるプログラムを2時間にわたって行いました。

実際には、多くのコーナーが“ほとんどぶっつけ本番”。それでも、チームのメンバーたちはその場その場で状況を見て動き、臨機応変に対応していく姿がとても印象的でした。この柔軟さは、まさに防災にもつながる力。想定外のことが起きても、周りを見て、考えて、行動できる…その“保育者の底力”に気付かせてくれた機会にもなりました。
参加者の声から見えた、学びとつながりの広がり

- 「参加型だったので、楽しくて2時間があっという間でした」
- 「全国から保育士の方が集まっていて驚きました。ぬまじろう先生の実験が特に面白かった」
- 「手遊びや体操は子どもたちに覚えやすくてとても良い」
- 「グループに分かれたことで、他園の保育士さんと話せたのが嬉しかった」
- 「和気あいあいとした雰囲気でよかった。お土産も園で役立つものばかり」
- 「スタッフも参加者も、こんなに保育防災に関心を持っていることにパワーをもらえた」
イベントは、知識を教える場ではなく、保育者同士が繋がり、互いの工夫や悩みを共有しながら、“自分たちで防災を育てていく”ということを体感できる時間になりました。
『きみとかに』が目指す未来が、そのまま会場で垣間見えた一日でした。

今後のプロジェクトの目標
『きみとかに』プロジェクトがこれから目指していくのは、防災のハードルを下げることです。防災と言うと、特別な知識や訓練が必要な“専門分野”のように思われがちですが、実は日々の保育ととても近いところにあります。例えば、先生たちがいつもしている子どもへの声掛け、事故を防ぐためのちょっとした配慮、その場の状況を見て動く臨機応変さ…これらは、災害時にもそのまま役に立つ大切な力です。
- 遊びや制作を考える時に、ほんの少し防災の視点を入れてみる。
- 避難訓練は怖いものではなく、“楽しくできる工夫”を取り入れてみる。
「防災って、やってはいけないことが多い」と思われがちですが、実はその“壁”は最初からなかったのかもしれません。保育者が普段から大切にしていることを、そのまま防災にも活かせばいい。
そして何より、みんなが安心して保育に向き合える環境を作ることが、『きみとかに』プロジェクトの大きな目標です。
これからも、子どもたちが楽しみながら学べる防災教育、保育者が無理なく取り入れられるアイデアを広げていきます。
ホームページをチェック!
『きみとかにプロジェクト』のホームページでは、今回のイベントで使用した教材をすべて無料でダウンロードできます。<きみとかにプロジェクトホームページ>
https://kimitokani.hoikubousai.com/
<ダウンロードできる素材>
- 紙芝居
- カードゲーム
- ペープサート
- 掲示物やワークシート
どれも、子どもたちが楽しみながら防災に触れられるように工夫した教材ばかりです。「まずはここからやってみよう」という小さな一歩として、ぜひ活用していただけたら嬉しいです。
このホームページは、教材を配るだけの場所ではありません。今後は、全国の保育者が繋がり合えるコミュニティの場として育てていく予定です。
例えば──
- 「自分の園でこんな避難訓練をしてみました」
- 「子どもたちがこんな反応をしてくれました」
- 「防災対策でこんなことに悩んでいます」
ぜひ、ホームページをチェックしてみてくださいね。
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