ソーシャルスキルとは?

ソーシャルスキルとは、社会のなかで生活していく際にその子が関わる人々や集団のなかで周囲の状況をどのように捉え、どのようにふるまえばよいのかを理解し行動するスキルのことを言います。
例えば、おもちゃの貸し借り、手洗いで順番に並ぶ、うまくできないときに先生に手伝ってもらう、当番活動で役割を果たす、などがあります。このように、それぞれの役割を果たすということもソーシャルスキルの1つです。
乳幼児期には、初めての社会生活を通してソーシャルスキルの根っこ、つまり土台の部分を日々育んでいることになります。
乳幼児期だからこそ、大切にしたいこと
他者=安心できる存在という気づき
生まれてすぐに他者(子どもの親、保護者)との関係性(社会性)が始まります。困ったときには身近な存在である大人に助けを求めます。例えば、お腹がすいたとき、生まれたばかりの赤ちゃんは、泣いてそのことを伝えます。すると、近くにいる大人たちが「お腹が空いたのかな?」「おむつが濡れているのかな?」と気づいて近くに来てくれます。つまり、「助けを求めたことに応えてくれる」ことで、「人って安心できる存在なんだ」「ぼくにとってとても大切な存在なんだ」ということを理解できるわけです。
他者への興味が育ちにくいことも
しかし、社会性の発達に偏りがあると、もともと持っている脳の特性から他者との関わりを求めないことや他者への興味が育ちにくいことがあります。乳児のときにお腹が空いたという感覚的なことで泣くことはあっても、そこでミルクをあげに来てくれたりおむつを替えに来てくれたりしたときに「人との関係性」が積み重なっていかない。おもちゃではよく遊んでいるが周囲の大人には興味が向かない。周囲の大人と一緒に楽しいことを共感したり興味があるものを一緒に楽しんだりといった、「他者への興味が育ちにくい」ということがあります。
この発達の特性を持っていると…
- 社会のルールに気がつきにくい
- 自分本位のルールの理解
- 困りごとが起きても他者に助けを求められない
特性が見られる具体例:自分本位のルールの理解
例えば、水道で手を洗うのに「並んでいる子どもがいるから自分も並ぶ」ではなく、「水道があるからそこに行って手を洗う」というように、人との関わりではなく、モノと自分のルールになりやすいです。また、困りごとが起きても大人や友だちに助けを求められないために、怒りの感情がすごく湧いたときに、その気持ちをなかなか抑えられないことがあります。
怒ってばかりいると周囲の大人に注意されることが増えて、「どうしていつもあなたはお友だちとケンカばかりするの」、「どうしていつも並べないの」といったように、社会生活を送るうえでうまくいかない経験が積み重なり、自己肯定的な感情が育ちにくくなることもあります。
その結果、
「いつも注意される」
「僕ってどうしていつも注意されてばかりなんだ」
と、自信がどんどんなくなっていくことがあります。
SST(ソーシャルスキルトレーニング)とソーシャルスキルマネジメントの違い
SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは
療育機関や医療機関では、SST(ソーシャルスキルトレーニング)と言われるプログラムが行われています。発達の特性を持つ子どもがゲームのように体験しながら学んでいます。本人が理解しやすく汎化(応用)にもつながるよう個々に合わせて練られたプログラムになっているのが特徴です。厳密には、リハーサルがあり本番があり、そして振り返りがあり、手順に沿って行われます。
しかし、このソーシャルスキルトレーニングを人的・物的環境も異なる園生活で同様に行うことは難しいでしょう。
そのため、社会性のつまずき=ソーシャルスキルトレーニングが必要ととらえずに、『ソーシャルスキルマネジメント』として、ソーシャルスキルを園生活という日々、長時間過ごす温かな場所と人に囲まれた環境で周囲の大人がマネジメントしていくことを提案します。
ソーシャルスキルマネジメントとは?

ソーシャルスキルマネジメントとは、日々楽しく過ごす園生活のなかで一人ひとりが大人と関わり自然と学んでいける環境をつくることを目的としています。
つまり、子どもをプログラムに合わせるのではなく、日常の自然な関わりのなかで、周囲の大人がその子にとってどうしたらわかりやすく社会のルールを知ることができるか、体験できるかと考えて、周囲が環境を整える=マネジメントするという理解です。
ソーシャルスキルは誰もが無意識に使っているスキルです。発達の特性を持つ子どもたちが無理矢理に多数派に合わせることをゴールとせず、自分らしくありのままで安心して生活できることをゴールとします。
つまり、一人ひとりの完全オーダーメイドソーシャルスキルを構築する。そのために、保育者がマネジメントしていけるスキルを構築することを目指します。
ポイントは「一般的」を基準にしないこと。多様な発達の子一人ひとりのオーダーメイドとして考えることが大切です。
続きは動画で視聴可能
本編は5つのパートに分かれた構成となっています。今回は『PART.1|発達支援で大切にしたいオーダーメイドのソーシャルスキル』を文章化してお届けしました。この記事の続きは、ほいくisオンライン動画『保育現場で出来るソーシャルスキルマネジメント【PART2】自分らしさのままでソーシャルスキルを獲得』にてご覧いただけます。テキストは順次公開予定です。
セミナーの構成
【タイトル】 保育現場で出来るソーシャルスキルマネジメント※動画タイトルを選択すると動画視聴ページに遷移します。
●PART.1|発達支援で大切にしたいオーダーメイドのソーシャルスキル
●PART.2|自分らしさのままでソーシャルスキルを獲得
●PART.3|遊びで楽しくソーシャルスキル 集団生活スキル編
●PART.4|遊びで楽しくソーシャルスキル 他者とのやりとりスキル編
●PART.5|遊びで楽しくソーシャルスキル 自己理解スキル編
講師は、ほいくisでも発達支援のコラムを連載している、井上綾乃先生が登壇。
セミナー本編では、保育現場で実践できるソーシャルスキルの育み方について解説。園での生活や、友だちとのコミュニケーションなど、遊びを通した支援方法についてお話ししています。
※視聴には「ほいくisメンバー」または「園会員」へのログイン・会員登録が必要です。
>>『ほいくisオンライン研修』の詳しい使い方はこちら
井上さんに直接聞いてみたい発達支援のお悩み募集中
普段の保育で感じている発達支援のお悩み、井上さんに質問してみませんか? このコラムも実際に寄せられた質問にお答えしています。ほいくisでは、保育者のみなさんが抱える発達支援のお悩みを募集し、児童発達支援管理責任者/保育士/発達支援専門士として自治体とともに現場の保育士さんと一緒に発達支援を考える井上さんに回答いただく企画が好評です。あたたかい目線でいつも保育者に寄り添う井上さんのコラムは、現場の保育者の方からも非常に好評です。ぜひみなさんが感じていること、相談したいことがありましたら下のボタンをクリックして相談内容を教えてください。
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