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ブラジルの「黒人意識の日」。人種問題を考える保育園の子どもたち

カノア保育園の子ども3人
ブラジル・カノア保育園の設立ストーリーと並行してお届けしている、ブラジルの文化や地元の生活を紹介するシリーズ。多民族国家であるブラジルでは、人種問題についてどのように子どもたちに伝えているのでしょうか。

11月20日は、ブラジルでは「Dia da Consciência Negra(黒人意識の日)」となっています。国内では、州や市町村によってこの日が祝日に制定されています。カノア保育園のあるセアラ州では、祝日に制定されていませんが、アラカチ市では、2017年に条例によって祝日となりました。

この日がブラジルで「黒人意識の日」として制定されたのは、2011年のことです。ブラジルが発見された当時、多くの奴隷がアフリカから連れてこられました。今でもブラジル北東部にあるバイーア州には、アフリカから伝えられた料理や文化が多く残っています。

ブラジルは多民族国家といわれますが、その文化の一つとして、アフリカ由来の文化を伝承していこうという動きが1980年代後半より活発となりました。そして2003年には、小中学校で「ブラジルにおけるアフリカ文化の歴史(História e Cultura Afro-brasileira)」というカリキュラムが、ブラジル史の中の一つの単元として制定されたのです。





そこでは、人種差別により苦しんできた人々の話が実体験をもとに語られています。多民族国家であるブラジルにとって、その社会を作り上げている基盤の一つに黒人文化がある。そのことを子どもたちにも知ってもらいたい。そんな願いがあるのです。
 
カノア保育園の子ども3人
11月に入ると、この日にちなんで、学校では人種差別問題について話し合われます。自分たちの住んでいる地域ではこうした問題が見られるのか。見られるとしたら、どんな場面であるのか。学校ではどうか。家庭ではどうだろうか…子どもたちは家族から聞き取り、観察し、それを発表するのです。実はこうした話し合いは、カノア保育園でも行われています。人種差別を問題提起した絵本を子どもたちに読み聞かせ、その率直な感想を聞くのです。

幼児期の子どもたちが果たして、人種問題について話し合うのだろうか?

そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、肌の色も違う、髪の色も違う、目の色も違う、そんな子どもたちが毎日一緒に過ごしている環境の中では、

「なんで違うのだろう?」

と疑問に思う子どもや、

「みんな違うのは当たり前だよね」

と思う子どもがいて、反応はさまざまなのです。そのため、絵本を読み聞かせると、素直に疑問を口にする子どももいれば、「わざわざそんなことを言う必要がどこにあるの」と、違って当たり前じゃないのかと話す子どももいるのです。

正解がどれだということではなく、子どもたちが何を感じ、どのように毎日を過ごしているのか。その気持ちを素直に話し合える場を作ることが、私たちには重要なのです。なぜなら、それが子どもたちの将来にとって大切なものになるだろうと考えているからです。
 
鈴木真由美

この記事を書いた人

鈴木真由美

保育士。ブラジル・カノア保育園 園長。2000年にブラジル北東部にある漁村カノアに渡り保育園の運営を始める。2006年にカノアでの支援を目的にした「光の子どもたちの会」を設立(2015年にNPO法人となる)。現地の地域力向上を目指して活動中。2児の母。
<光の子どもたちの会HP>
http://criancasdeluz.org/quem_somos_nos/quem_somos_jp.html

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