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柴田愛子先生が考える「子どもの心に添う保育」って?【インタビュー】

柴田愛子先生のメイン写真
「子どもたちに寄り添って保育がしたい」「でも、実際にそれってどういうこと?」。日々の保育の中で悩んでいる保育者も多いのではないでしょうか。そこで今回は、『子どもの心に添う保育って?』というテーマでWebセミナーに登壇いただいた、りんごの木代表・柴田愛子先生にお話を伺いました。

「子どもの心に添う保育」って?

「子どもの気持ちを尊重して」「一人ひとりに寄り添って」ということは、どの保育者も一度は先輩に言われたり、保育を学ぶ中で耳にしたりしているのではないでしょうか。しかし実際に現場に立つと、「たくさんの子どもたちがいる中で、どうやって一人ひとりに寄り添えば良いのか…」「子どもの気持ちを尊重したいけれど、危険なことは叱らなければ…」と、どうすれば良いのか分からなくなることも多いですよね。

今回のWebセミナーのテーマは『子どもの心に添う保育って?』。“子どもに関わるトータルな仕事をする場”として創設された「りんごの木」代表の柴田愛子先生にご登壇いただきました。

保育人生50年を迎える柴田先生の経験の中で起きた実際のエピソードや教訓を織り交ぜながら、先生が考える「子どもの心に添う保育」についてお話しいただきました。明日からの保育に繋げられる、学びと気付きがたくさん詰まったおすすめの内容です。
※ほいくisでしか見られないWebセミナーは、メンバーもしくは園会員の登録(無料)をするだけで視聴することができます。もちろん視聴も無料。ぜひこの機会にメンバー登録をして、皆さんの学びにお役立てください。

「寄り添うこと」は「保障すること」ではない

Webセミナーの公開に合わせて、収録後の柴田先生にインタビューをさせていただきました。今回のセミナーテーマ『子どもの心に添う保育』に関して、保育者さんが現場で抱える悩みについて質問してみました。

子どもたち一人ひとりに寄り添いたいという想いは、どの保育者も持っていると思いますが、実際は集団生活の中でそれをするのは難しいこともあります。どうしたら良いでしょうか?


寄り添うということは、「一人ひとりを分かってあげる」とか「子どものやりたいことを保障してあげること」ではないんです。

以前、保育現場でこんなことがありました。お父さんが単身赴任していてなかなか会えない男の子が、月曜日にお父さんが送ってくると別れ際に泣くんです。そのとき、その子の隣にそっとお友だちが座っていました。そして男の子は泣くだけ泣くと、隣にいたお友だちと一緒に遊びに行きました。
柴田愛子先生のインタビュー写真
柴田 愛子(しばたあいこ)
1948年東京都生まれ。保育者。りんごの木代表。幼稚園教諭や自主保育グルー プの保育者、保育雑誌の編集などを経て、1982年「子どもの心に添う」を基本姿勢 とした「りんごの木」を発足。子どものドラマを描いた絵本『けんかのきもち』(伊藤秀男/絵)が、2001年日本絵本大賞を受賞。講演・執筆・絵本作りと様々な子どもの分野で活動中。子どもたちが 生み出すさまざまなドラマをおとなに伝えながら、子どもとおとなの気持ちのいい関係づくりをめざしている。
りんごの木ホームページはこちら
後で隣に座っていたお友だちに「あのとき、どんな気持ちで隣にいたの?」と聞いたら、「頑張ってるなあって思った」と答えました。これが、本当の「寄り添う」なんです。なんとなくそばにいること、ひとりぼっちにされていないという安心感、気にかけてくれる人がいるということ。

子どもたち一人ひとり違うのに、全員を理解するのは難しいですよ。その中で、“いま気になる子”に寄り添ってそばにいるだけで良いんです。「どうしたの?」と聞くのは、乱入しすぎかもしれませんね。


「寄り添うこと」は、子どもの気持ちを受け止めて理解することだと思っていたので、「何もしなくて良い」という視点は、私自身新たな気付きでした。自分の味方をしてくれる人がいるという安心感は、子どもも大人も同じ気持ちなんですね。

ケガをどれだけ「心の栄養」にするか

「危険なことも経験して学んでほしい」という一方で、保護者の目が気になったり、ケガをさせられないという気持ちが強かったり…安全と挑戦の両立はどうすれば良いですか?

子どもの群れの中で、無傷で成長することはまずありません。子どもが何かにチャレンジしていて、真剣な眼差しで立ち向かっているときは見守りたいですよね。それでたまたまケガに繋がってしまったとしても、ケガをする状況にあった子どもの気持ちを伝えられれば、保護者を説得できるはずです。

子どもの「やってみたい」という前向きな気持ちが結果的にケガに繋がったと分かれば、「やらせないでください」という保護者は少ないのではないでしょうか? 「ケガがあってこそ育つことがある」と伝えるのは保育者の役目。
柴田愛子先生のインタビュー写真
保護者を無視して保育はできませんが、子どもを無視しての保育はもっとできません。「どのくらいのケガが起こるかな」という予測を立てることと、「このチャレンジは子どもにとってした方が良いか」という判断をすることです。

ケガをしないに越したことはないけれど、そのために子どもの育ちを阻止するのは違いますよね。子どもなりに根拠があって負ってしまったケガなのであれば、そのケガを子どもにとってどれだけ有効にできるかが大切です。だから私は、保護者に「ケガをしてしまったら、必ず子どもの心の栄養にしてみせます」と伝えていますよ。


ケガが起こるかもしれない状況と、その場合のケガの度合いを予測しつつも、子どもにとって必要なチャレンジであればその機会を奪わず見守ること。これもまた、「子どもの心に添う」ことのひとつなのではないかと感じました。

子どもが求めるのは「気持ちを分かってくれる人」

柴田愛子先生とライターのインタビュー写真

子どもの心に添うためには、まず信頼関係を築くことも大切ですよね。子どもにとって「信頼できる大人」とはどのような人でしょうか?

「自分の気持ちを分かってくれる人」「気持ちを感じ取ってくれる人」「嫌なことがあったときに寄り添ってくれる人」「説教をしない人」ではないでしょうか。

その場で評価をしないというのはキーポイント。子ども同士で何かあったときは、どちらか一方を悪者にするのではなく、両方を肯定的に捉えることも大切ですね。

子どもも保育者も十人十色。さまざまな保育がある中で、自分を見失わないで楽しみながら保育をして欲しいなと思います。

保育者に役立つ内容が盛りだくさん!

柴田先生のお話を聞いて、「寄り添うこと」の意味について、これまでより広い視野で考えるきっかけをいただきました。「ケガを心の栄養にする」という柴田先生の考えも、安全と子どもの気持ちの両立で悩む保育者さんにとって新しい発見になったのではないでしょうか。

柴田先生によるWebセミナーは、ほいくisでしか聴講できない特別な講座。この機会にぜひメンバー・園会員登録をしてチェックしてくださいね。

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ほいくis(ほいくいず)編集部

この記事を書いた人

ほいくis(ほいくいず)編集部

保育・幼児教育のプロフェッショナルで構成された編集部のライティングチームが、質の高い保育を日々提供していくために必要な知識・ノウハウを発信。専門知識から保育ネタ、保育士試験関連情報、保育学生さん向けの情報まで、あらゆる分野を網羅していきます。

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