認定こども園とは
就学前の子どもが利用できる施設としては、長きにわたり保育園と幼稚園がその役割を分担してきました。その後、時代の変化とともに幼児教育施設の在り方が議論され、新たに創設されたのが認定こども園です。概要
認定こども園とは、保育園と幼稚園の機能を併せ持つ施設です。以前は内閣府の管轄でしたが、2023年(令和5年)4月1日のこども家庭庁発足に伴い移管されました。1号認定(幼稚園枠)と2号認定(保育園3歳以上児枠)、3号認定(保育園3歳未満児枠)の子どもを預かります。保育と教育を一体的に提供する施設として、2006年(平成18年)より運営が開始されています。2022年(令和4年)4月1日時点の認定こども園の数は9,220園となっています。これは同年5月1日時点の幼稚園数9,111園を上回っています。
認定こども園では就労の有無や居住地に関わらず、子どもを預かることが可能です。保育園の場合、保護者の退職や引越しにより退園せざるを得ない状況でしたが、認定こども園では2号認定から1号認定に移ることで転園を避けることができます。
また、認定こども園は地域の子育て支援の拠点としての機能も期待されています。地域の親子が集ったり、相談したりできる場を設けることで、子育て世帯をサポートする役割を担っています。
出典:令和4年度学校基本調査(確定値)について/文部科学省
創設の背景
認定こども園の制度化の背景には、以下のような時代の変化が影響しています。- 少子化
- 女性の社会進出
- 子育て世帯の孤立化
その結果、保育園の利用者が増える一方で幼稚園の利用者は減少。加えて、子どもの数が今後も減少していくことを踏まえて、今ある施設を活用した認定こども園の制度がスタートしました。
また、核家族化の進行により、子育て世帯の孤立が問題にもなりました。子育ての悩みを抱え込んだ結果、事件や虐待に繋がることも。人の繋がりが希薄化した今、子育てをサポートする機関が身近にあることの重要性が叫ばれてきました。こうして、地域の幼児施設である認定こども園に、子育て支援の拠点としての役割が求められるようになったのです。
4つのタイプ
認定こども園には、地域の実情や保護者のニーズに応じて選択が可能となるよう4つのタイプが設定されています。それぞれのタイプについて解説します。幼保連携型(6,475園)
保育園と幼稚園の機能を併せ持つ単一の施設。「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」に基づいた保育・教育を行う。保育園型(1,354園)
認可保育園が1号認定の子どもも受け入れ、認定こども園としての機能をもつ施設。「保育所保育指針」に基づいた保育・教育を行う。幼稚園型(1,307園)
認可幼稚園が2・3号認定の子どもも受け入れ、認定こども園としての機能をもつ施設。「幼稚園教育要領」に基づいた保育・教育を行う。地域裁量型(84園)
認可外の幼稚園・保育園が、認定こども園としての機能を持つ施設。地域の実情に応じて保育・教育を行う。※カッコ内は、令和4年4月1日現在の園数
出典:認定こども園概要/子ども家庭庁
出典:認定こども園に関する状況について/内閣府
保育園・幼稚園との違い
認定こども園の中でも、最も施設数の多い「幼保連携型認定こども園」について、保育園や幼稚園との違いを見てみましょう。幼保連携型認定こども園は、保育園や幼稚園に比べるとまだ認知度が高くありません。保護者からの質問を受けたときに説明できるよう、その違いを理解しておきましょう。以下に特徴をまとめました。項目 | 幼保連携型認定こども園 | 保育園 | 幼稚園 |
---|---|---|---|
管轄 | こども家庭庁 | こども家庭庁 | 文部科学省 |
法的性格 | 学校かつ児童福祉施設 | 児童福祉施設 | 学校 |
法令 | 幼保連携型認定こども園教育・保育要領 | 保育所保育指針 | 幼稚園教育要領 |
対象年齢 | 0歳〜就学前 | 0歳〜就学前 | 満3歳〜就学前 |
預かりの認定区分 | 1号・2号・3号 | 2号・3号 | 1号 |
預かり時間 | 4〜11時間 | 8時間〜11時間 | 4時間 |
入園条件 | 1号認定/特になし 2・3号認定/保育の必要性の認定 |
保育の必要性の認定 | 特になし |
職員の要件 | 保育教諭 | 保育士 | 幼稚園教諭 |
働くために必要な資格・免許
幼保連携型認定こども園では原則、保育教諭を置くこととされています。保育教諭とは、幼稚園教諭免許と保育士資格を併有している人を指します。「保育教諭」という名の資格・免許はありません。これまで保育園や幼稚園で働いてきた方でも、その園が幼保連携型認定こども園へ移行した場合は、資格・免許の両方を保有していないと働けなくなってしまいます。令和6年度末までは、どちらか一方の資格・免許でも働ける特例措置がとられていますので、確認してみてくださいね。今後認定こども園で働く予定のある方は、保育士資格と幼稚園免許の両方を取得する方法を確認しておいた方が良いでしょう。
出典:幼保連携型認定こども園の保育教諭の資格要件等について緩和する特例の延長(概要)/内閣府
仕事内容
認定こども園は働いている保護者も利用しているので、保育園と同様の時間帯で開園しています。そのため、一日を通して保育を行う必要があります。園の規定にもよりますが、1号認定の子どもはお昼過ぎに降園します。そのため、2号認定の子どもの保育を行いながら、降園する1号認定の子どもの対応を行わなくてはなりません。複数人の保育教諭で連携を図りながら、安全かつ丁寧な対応を行っていきます。
1号認定の子どもが多い園では、午後に異年齢の合同保育を行うことで、事務時間や環境整備の時間を確保することができます。逆に2・3号認定の子どもが多い園では、ほとんどの保育教諭が午後も保育を行う必要があるでしょう。
幼保連携型でも、1号認定の子どもと2・3号認定の子どもの割合はさまざまです。園の状況によって働き方が保育園に近かったり、幼稚園に近かったりと異なります。 就職・転職活動の際には、その点も踏まえて話を聞いたり見学をしたりしましょう。自分に合った働き方ができる園を見つけられると良いですね。
ますます増える認定こども園
いかがでしたか? 認定こども園は時代のニーズに合わせて、今後もますます増えてくると予想されます。現在働いている園が認定こども園へ移行する可能性もあるので、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を取得しておくと安心ですね。これからも幼児教育に携わっていこうと考えている方は参考にしてみてくださいね。【関連記事】