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パート保育士が悩む「年収の壁」を解説~扶養・社会保険と年収の仕組み

給料袋と計算機を持って困惑している保育士
扶養から外れたり、社会保険への加入が必要になったりする「年収の壁」。配偶者の扶養内で働いているパートの保育士さんは、働き損をしないためにもしっかりと理解しておくことが大切です。今回は、知っておきたい年収の壁の仕組みを紹介します。

パート保育士が知っておくべき「年収の壁」とは

給料袋を抱えている保育士に襲い掛かる年収の壁のイメージ
「年収の壁」とは、扶養内でパート勤務をしている方の年収が一定額を超えると扶養から外れ、税金や社会保険料の支払い義務が生じて手取り額が減ってしまう状況のことです。

扶養内パートで働いている保育士さんは、税金や社会保険料が免除されていたり、配偶者控除があることで扶養者の給与から天引きされる税金が低くなっていたりとさまざまなメリットがあります。しかし一旦年収の壁を超えてしまうと、そのようなメリットが受けられなくなってしまいます。そのため、扶養内で働きたいと考えているパート保育士さんは、年収の壁の仕組みについて知っておくことが大切です。

まずは押さえておきたい、主要な年収の壁を表にまとめました。
壁の種類 扶養基準 影響する税金や社会保険料
103万円の壁 全ての人が税制上の扶養から外れる 所得税がかかる
106万円の壁 一部の企業で働く人が社会保険上の扶養から外れる 一部の企業で働く人が厚生年金・社会保険への加入が必要になる
130万円の壁 全ての人が社会保険上の扶養から外れる 国民年金・国民健康保険への加入が必要になる
150万円の壁 - 配偶者特別控除額が段階的に減り始める
上記の中でも「106万の壁」は2016年10月にできた新しい壁で、適用条件に当てはまる一部の企業で働く方のみが対象になっています。適用条件は数年ごとに変更されているので、扶養内パートで働きたい保育士さんは、その動向に注意が必要です。

パート保育士さんにも大きな関わりがある106万円の壁について、もう少し詳しく見ていきましょう。

「106万円の壁」とは

扶養控除申告書
106万円の壁とは、下記の条件に全て当てはまると扶養から外れて社会保険に加入する義務が生じ、手取り額が減ってしまう年収ラインのことです。
  • 学生ではない
  • 所定労働時間が20時間以上
  • 雇用期間の見込みが2ヶ月以上
  • 事業所の従業員数が101人以上(2024年10月以降は51人以上)
  • 賃金が月額8.8万円以上(年収106万円以上)
※賃金には交通費や残業代、ボーナスなどは含めない

上記の条件は数年ごとに変更されており、2024年10月からは従業員51人以上の企業で働く方にも適用されます。

つまり今は扶養内で働いているパート保育士さんも、勤務している園の職員数によっては2024年10月以降、年収106万を超えると扶養から外れ、社会保険へ加入しないといけなくなる可能性があります。

106万の壁を超えるメリット・デメリット

メリットとデメリットを比較するイメージ
106万の壁を超えることには悪い面だけでなく良い面もあります。ここでは106万の壁を超えるメリット・デメリットを紹介します。

106万の壁を超えるメリット

106万円の壁を超えて社会保険に加入することで、将来もらえる年金の額が増えます。また、病気で働けなくなった時には傷病手当が支給されるのもメリット。万が一亡くなってしまった場合、残された家族は遺族年金を受け取ることも可能です。年金・保険面を考えると、106万円の壁を超えることにも良い面があることが分かります。

106万の壁を超えるデメリット

社会保険料の内訳が書かれた給与明細のイメージ
106万円の壁を超えるデメリットは、手取り額が減ってしまう可能性があるという点です。社会保険に加入すると、今まで免除されていた厚生年金保険料や健康保険料を支払う義務が生じます。せっかく働く時間を増やして年収を上げても、結果的に手取りが減ってしまうと働き損になってしまうと感じるかもしれません。

パート保育士が106万の壁を超えずに働くには

メリット・デメリットを考慮した上で、やはり「106万円を超えたくない」というパート保育士さんが、壁を超えないように働くためのポイントを紹介します。

勤務先に相談する

勤務のシフトが書かれたカレンダー
求人に応募する際には、予め「106万円の壁を超えずに扶養内で働きたい」という意思をきちんと勤務先に伝えておきましょう。履歴書に「配偶者の扶養内での勤務希望」と書いたり、面接時に伝えておいたりすることでシフトの調整もスムーズにいきます。

融通が利く職場で働く

もともと「扶養内パート」で募集をしている園や、学童や託児所など比較的シフトの融通が利きやすいところで働くことを検討しても良いでしょう。学童は小学生の下校時間〜夕方までなので、短時間勤務に向いています。託児所は24時間営業しているところもありますが、シフトの融通が効くケースが多いので年収の調整もしやすいと言えるでしょう。

ダブルワークをする

ピースサインをしている女性
社会保険加入の対象になるのは1つの企業で年収106万円を超える場合です。そのため保育士と他の仕事を掛け持ちすることで、手取り額を減らさずに働くことができます。ただしダブルワークの合計年収が130万円を超えると扶養から外れてしまうので注意しましょう。

政府が発表した「106万の壁」助成策とは

助成金のイメージ
2024年10月から106万円の壁の適用条件が変更されます。これまで「従業員数が101人以上の企業」だった条件が「従業員51人以上の企業」まで拡大されるため、106万の壁を超えて社会保険への加入が必要になる方が増えるでしょう。

そこで政府は、これまで扶養内で働いてきた方の手取り額がいきなり減少してしまうことを防ぐため、適用条件の変更から数年間、新たな助成金制度を導入することを発表しました。運用が適正に始まれば、2024年10月から社会保険に加入しなければならなくなるパート保育士さんの手取り額が一気に減ってしまう心配はひとまずなさそうです。

しかしあくまで助成金制度は期間限定のものなので、2024年以降の働き方をどうすれば良いのか、詳しい内容は勤務先に確認しておきましょう。

参考:経済対策についての会見(2023年9月25日)/首相官邸

「年収の壁」を知って働き方を考えよう

扶養内で働くために知っておきたい年収の壁について紹介してきました。106万円の壁は2024年10月から適用条件が変更されるため、現在扶養内で働いている保育士さんも必ずチェックしておきましょう。扶養を外れることは悪い面ばかりではないので、家族と相談しながら自分に合う働き方を考えてみてくださいね。
 

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