改訂されたナショナルカリキュラム
今回は、2019年7月に改訂になったナショナルカリキュラムの中で、ホットな話題に触れたいと思います。話題となっているテーマとは、デジタル能力の育成がプレスクールの中で義務化されたことです。テクノロジーの進歩が目覚ましい現代において、デジタル機器と日常生活とは切っても切れない関係にあります。しかし私たち大人は、幼児期の子どもたちにはデジタル機器から距離を置いて過ごして欲しい、と願いがちです。
ところがスウェーデンの幼児教育界では、日常生活にはなくてはならないさまざまなデジタル機器を、プレスクールの学びから遮断するのではなく「子どもたちにも使用する権利がある」と考えます。子どもの権利をベースに成り立つスウェーデンのカリキュラムならではの考え方といえます。
「ホットな話題」としましたが、これは真新しいトピックではなく、プレスクールではすでにさまざまなデジタル機器が使用されています。何がホットなのかというと「義務化」されたことです。そのことで、どのプレスクールでも何かしらのデジタル能力を育成するための活動を行わなければなりません。機材としてはあったけど、それをどうやって学びに使うのか? そういった観点でさまざまな議論がなされています。
プレスクールで設定された「デジタル能力」とは
職場では今年度の重点項目にこの「デジタル能力」が設定されました。この能力とは何なのか? リーダーであるプレスクール教師が以下のようにまとめています。- 現代社会におけるデジタル化の影響を理解すること
- デジタル機器やさまざまなメディアを使用し、さらにそれらを理解すること
- これらのツールに対して批判的な視点を持ちながら責任のある使い方をすること
- これらのツールを使用して、問題・課題を解決し、アイディアを実行に移すことができること
チームで取り組んでいるプログラミング思考
私はチームで、1~2歳の子どもたちとプログラミング思考を学んでいます。といっても、パソコンやタブレットの前に座ってアプリで遊ぶという類いのものではなく、プログラミング用ロボットを使ったり、「矢印」を使って方向やそれの示す意味を学んでいます。最初はポカンとしていた子どもたちも、9月~12月までの3カ月間で繰り返し触れることでその意味を理解し始めています。「まだ早い」「まだ分からない」と決めつけるのではなく、やっていく中で子どもの発達の過程を確認しながら進める、それがスウェーデンの流だと感じます。
次回は、プレスクールの先生の働き方についてお伝えします。
▼関連記事