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公立保育士を解説|仕事内容・採用試験・私立との違い

公立の積み木文字イメージと電卓、ペン、スマホ
公立保育園で働く「公立保育士」。雇用が安定している地方公務員として働けるため、目指している方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、公立保育士の仕事内容や採用試験の内容、メリット・デメリット、私立との違いを解説します。

公立保育士とは

PUBLIC(公立)の積み木文字イメージ
「公立保育士」とは、地方自治体が運営する公立保育園で働く保育士のことです。地方自治体の公務員試験に合格した地方公務員でもあるので、「公務員保育士」とも呼ばれます。

公立保育士は公立保育園以外にも、放課後児童クラブや児童養護施設など自治体が設置しているさまざまな保育施設で勤務します。

公立保育士になるには

公立保育士になるには、各地方自治体が実施している公務員採用試験に合格する必要があります。

受験資格は自治体によって異なりますが、保育士資格と幼稚園教諭免許を持っていること、30〜35歳以下であること、経験者枠では正社員経験が2〜3年あることなどが条件として定められています。

採用試験は春〜秋ごろに実施する自治体が多く、一次試験が筆記、二次試験が実技・面接、三次試験が面接といった構成が一般的です。なお、採用試験は欠員がある年にしか実施されないので、全ての自治体で毎年行われる訳ではありません。

ここからは公立保育士の採用試験の内容を紹介します。

筆記試験

マークシート形式の試験を受ける受験生
公立保育士の筆記試験では、一般教養と保育に関する専門知識が出題されます。一般教養は短大卒程度の内容、専門知識は保育士試験に近い内容です。近年は一般教養試験としてSPI(※)を導入している自治体もあります。
※SPI
リクルートマネジメントソリューションズが提供している適性検査で、正式名称は「Synthetic Personality Inventory(総合適性検査)」。企業の採用試験の一つとして広く導入されています。

実技試験

筆記試験に合格すれば実技試験に進みます。実技試験の内容は、ピアノの弾き歌いや絵画、絵本の読み聞かせ、体力テストなど。ピアノは事前に課題曲を教えてもらえることが多いので練習する時間がありますが、絵画や読み聞かせは試験当日まで課題が分からないことも多く臨機応変に対応する必要があります。また、実技試験と同時にグループディスカッションや小論文を実施する自治体もあります。

面接

リクルートスーツ姿で面接試験を受ける女性
面接は複数回行われることが一般的です。保育士を志望した理由や、応募している自治体を選んだ理由、保育の一場面が提示されて「あなたならどうするか?」に答えるなど、さまざまな角度から質問をされます。

公立保育士のメリット・デメリット

ここからは公立保育士として働くメリット・デメリットについて紹介します。

公立保育士のメリット・デメリット

公立と私立の積み木文字とメリット・デメリットのチェックシート
公立保育士として働くメリット・デメリットをまとめました。
公立保育士のメリット ・給与が安定している
・福利厚生が充実している
・ベテランが多いのでたくさん学べる
公立保育士のデメリット ・採用試験の倍率が高い
・2~4年で異動がある
・選挙事務など公務員としての仕事がある
公立保育士として働く最大のメリットは、給与や福利厚生が安定していることです。立場は地方公務員なので、毎年安定した昇給が見込めます。また、身分が保障されているためローンの審査も通りやすいでしょう。充実した産休・育休など働きやすい環境が整っているのでベテラン保育士も多く、新人にとっては保育についてさまざまなことを学べる環境になっています。

一方、公立保育士は人気があるため、試験の倍率が高いというデメリットがあります。働き方としては、数年ごとに異動があるので、0歳で入園してきた子どもを卒園まで見届けることが難しいという点も。また地方公務員のため選挙の際は事務仕事を担当するなど、保育士としてだけでなく公務員としての務めを果たす必要もあります。

私立保育士との違い

ここからは公立保育士と私立保育士の違いについて、待遇面、仕事内容、働く環境、異動に着目して見ていきましょう。

待遇面での違い

電卓を持っている保育士
公立保育士は上述したように公務員としての身分なので、待遇面が安定しています。地方公務員の給料表に沿った定期的な昇給が期待できますし、ボーナスや退職金も保障されているでしょう。一方私立保育士は、勤務する法人や企業によって給与や昇給制度、福利厚生が異なります。

公立と私立の給与額の違いの参考として、「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の 経営実態調査集計結果」のデータを紹介します。
立場 公立 私立
施設長 632,982円 565,895円
主任保育士 561,725円 422,966円
保育士 303,113円 301,823円
※常勤職員の給与月額(賞与込み)

一般保育士の給与額の差はあまりありませんが、主任や施設長など役職がつくと公立のほうが高くなる傾向にあるようです。

出典:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果|子ども家庭庁

仕事内容の違い

絵本の読み聞かせをする保育士
公立と私立では「0歳〜就学前までの子どもの保育を行う」という基本的な仕事内容は同じですが、保育の基本となる考え方やねらいを定めている保育指針の傾向は少し異なります。

公立保育園では、自治体が設定した保育方針に沿って保育を行います。内容としてはどこか一点に力を入れた特色あるものではなく、全体的にバランスの取れた方針になる傾向が多いようです。

一方の私立保育園は、もちろん保育所保育指針が基本になってはいますが、園を運営している法人や企業が保育方針で独自のカラーを打ち出しているケースも多くあります。英語教育が盛ん、リトミックに力を入れているなど、特徴的な取り組みが多いのが私立園の傾向です。

働く環境の違い

シフト勤務のメモ書きが書かれたカレンダー
勤務形態は公立も私立も8時間勤務のシフト制が一般的です。

公立園ではパートや臨時職員を雇って早朝や夕方、夏期休暇期間は正規職員がなるべく出勤しなくて良いように工夫しているところもあります。

私立園でも労働環境を改善している園が増えてはきてはいますが、中には人手不足で休憩が取れなかったり残業が多かったりといったところもまだまだあるようです。

ただし公立園でもサービス残業や休日出勤が慢性化している園は存在します。自治体や園によっても労働環境は異なるので、公立と私立のどちらの環境が良いかは一概には言えません。公立・私立の区別に関わらず、働きたい園の職場環境についてはしっかりと確認することをおすすめします。

異動制度の違い

人事異動の内示を伝える書類
公立保育士はだいたい2〜4年ごとに異動があります。異動先は自治体内の公立保育園を初めとした保育施設です。上述したように、同じ自治体内の公立園であれば保育方針は変わらないので、異動後も保育内容が大きく変わることはないでしょう。

私立保育士も、法人や企業によっては同じ系列の園に異動することもあります。ただし公立ほど定期的に異動はないため、一つの園でじっくりと働くことができるでしょう。

自分に合う職場を選ぶきっかけに

公立保育士は地方公務員のため、給与や福利厚生が安定しています。一方で、試験の倍率が高かったり、定期的な異動があったりといったデメリットも存在します。公立保育士の働き方や私立保育士との違いを知って、自分に合う職場を選ぶきっかけにしてくださいね。
 

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