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保育士の借り上げ社宅とは?制度や対象者、よくある疑問を解説

保育士の借り上げ社宅とは?制度や対象者、よくある疑問を解説
保育園が用意してくれた社宅に住むと毎月「82,000円」の家賃補助がもらえる。そんな話を耳にしたことがあるかもしれません。今回は保育士の借り上げ社宅制度の対象や物件について、そして「同棲や結婚しても補助がもらえるのか?」などについてご紹介します。保育士への就職・転職を考えているならぜひ知っておいた方がいい情報ですよ。

【借り上げ社宅とは?】保育士の家賃を補助する制度 

「借り上げ社宅」とは保育事業者が社宅として物件を借りて、その保育施設で働く職員に家賃補助を行うなどして安く貸し出す取り組みです。 

これは「保育士宿舎借り上げ支援事業」という国の事業に基づいており、保育士人材の「確保・定着・離職防止」を目的として2015年4月から始まった制度。保育士の住居費用を国や自治体、保育事業者が補助するものです。 

自治体によって補助額の上限は異なりますが、最大で月額82,000円の家賃補助が基本となり、国が1/2(41,000円)を、区市町村と保育事業者がそれぞれ1/4ずつ(20,500円)を補助する仕組みになっています。 

「保育士宿舎借り上げ支援事業」の3つの内容 

月額82,000円という家賃補助は魅力的ですよね。そんな「保育士宿舎借り上げ支援事業」の対象者や期間、物件などについてご紹介します。 

①対象者と期間 

対象:採用から6年以内の常勤の保育士 
期間:採用から6年間まで 


国が定める対象や補助期間は段階的に短くなっており、令和6年は「採用から7年」が「採用から6年」に見直されています。自治体ごとでもこの期間は異なり、横浜市では10年まで、川崎市では7年までとバラつきが見られます。 

また、有効求人倍率が基準以下になれば「5年以内」になり、待機児童数が基準以上になれば「8年以内」になるという国の規定もあるので、就職や転職を考えている人は自治体や保育事業者に事前に確認した方が良いでしょう。 

参考:令和6年度保育関係予算概算要求の概要8P>>詳細はこちら 
参考:横浜市・保育士宿舎借り上げ支援事業>>詳細はこちら 
参考:川崎市・保育士宿舎借り上げ支援事業>>詳細はこちら 

②物件や場所 

国が定めたルールでは借り上げ社宅の対象は「保育事業者が法人として借りた物件社宅」となっています。 
  • 物件の値段や広さ 
  • 物件は自分で探せるのか 
  • 物件は勤務する自治体の外でも良いのか 
などは自治体や保育事業者が決めているので、就職を考えている保育園に事前に確認したほうが良いです。 

③手続き 

保育園に就職や転職が決まった時点で、必要な書類を園に提出して手続きや引っ越しを進めていきます。提出書類は保育事業者によって異なる場合がありますが、住民票や保育士証のコピーなどが必要になります。 

【これはOK?】保育士の借り上げ社宅のよくある3つの疑問 

最初は1人で暮らしていても、時間の経過とともに同棲や結婚、子育て、転職などライフステージの変化があるかもしれません。そうなったときに家賃補助をもらえるかは気になるところです。 

結論から言えば、家賃補助の細かい条件は自治体や保育園が決めているので、求職時に確認が必要です。  

その上で、さいたま市が用意している「よくある質問をまとめたQ&A」を元に、具体的な事例を以下にまとめてみました。

①結婚・同棲・親族の同居はできるのか 

「単身者」は要件ではありませんが、家賃補助を受ける人が「住民登録上の世帯主であること」「世帯収入の半分以上を占める方」という条件を満たさなくてはいけません。 子どもの出産や離婚、同棲の解消などで居住者の数が変わっても上記が基準となります。 

②産休・育休・休職の場合はどうなるのか 

雇用が継続されている限り家賃補助の対象になります。 

③転職したらどうなるのか 

他の保育園に転職した場合は家賃補助の対象外です。住まいも保育園事業者が法人として借りているので、基本的には引っ越しする必要があります。 

参考:さいたま市・保育士宿舎借り上げ支援事業を実施していますQ&A >>詳細はこちら 

こちらはあくまでさいたま市の一例となります。実際の自分のケースで該当するものがある場合、疑問がある場合は、雇用主や自治体に確認しましょう。 

保育士の借り上げ社宅の2つの具体例 

自治体によって条件などは違いますが、2つの借り上げ社宅の事例をご紹介します。 

①東京都世田谷区 の場合

東京都世田谷区の例を見てみましょう。
家賃補助の上限額  82,000円
補助の範囲 賃借料、共益費(管理費)、礼金、更新料など 
対象施設 
私立認可保育園、認定こども園、認証保育所、小規模保育事業、家庭的保育事業 
居宅訪問型保育事業、事業所内保育事業、保育室、保育ママ、病児・病後児保育施設、一時保育専用施設  

対象職員 
施設長、保育士、保育補助者、栄養士、調理員、保健師又は看護師で以下の条件を満たした人 
<条件>
・常勤(1日6時間以上かつ月20日以上勤務)であり、当該保育施設等において保育の業務に従事していること 
・当該保育施設等を経営する法人の役員等でないこと 
・平成27年3月以降に、運営事業者が借上げた宿舎に居住していること 
・雇用主の宿舎を正当な理由なく転居したことがないこと 
・本人及び同居者が住宅手当等の支給を受けていないこと 
・区が開講する保育の質の向上に関する研修を受講すること  

参考:世田谷区保育士等宿舎借上げ支援事業について >>詳細はこちら 

②埼玉県さいたま市 の場合

次に埼玉県さいたま市の例を見てみましょう。 
家賃補助の上限額  72,000円
補助の範囲 賃借料、共益費(管理費) 
対象施設 
さいたま市内の民間認可保育所・認定こども園・地域型保育事業 

対象職員 
・対象施設に勤務する常勤保育士で、対象施設に採用されてから7年以内の人 
 →「常勤保育士」とは1日6時間以上かつ月20日以上勤務の雇用契約の人 
・住居手当を支給している職員や施設長は対象外 

参考:さいたま市・保育士宿舎借り上げ支援事業を実施しています >>詳細はこちら 

就職や転職前には保育士の借り上げ社宅制度を確認しよう 

就職や転職で保育園を選ぶ際には保育の特徴も大切ですが、保育士として勤務し続けるためには、金銭的な面も含めて働きやすい環境が不可欠です。就職や転職の際など常勤の職員になる前に、借り上げ社宅制度の有無や詳細を自治体や保育園に確認しましょう。 
 

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織部 悟

この記事を書いた人

織部 悟

保育士歴16年のライター。都内の公立保育園に15年勤務して主任を務め、0歳~5歳児のクラス担任からフリーまで、全てのポジションを経験。1男1女の父でもあり、保育・子ども・遊び・子育てなど、豊富な経験を元にした記事をお届けします。

執筆歴・経歴等はこちら
https://gonta-web.com/

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