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<前編>保育の仕事で「モヤモヤ」「イライラ」してしまうことは?【ストレス解消&コミュニケーション術】

アンガーマネジメント講座のサムネイル画像
保育の仕事のなかで「ちょっとイラッとしてしまう」「モヤモヤする」そんなときに使える、ちょっとしたストレス解消術をご紹介します。 

【アンケート結果】仕事でストレスに感じることは? 

今回はユーザーの皆さんへのアンケート企画! 

保育の仕事のなかで「ついイラッとしてしまう」「モヤモヤを抱えている」そんなストレスのあるシーンを聞いてみました。 
【質問】保育の仕事で「感情をコントロールしなきゃ」と感じることはある? 
95%の方から「ある」と回答をいただきました。 
 仕事柄、「子どもに対して」が多く挙がりましたが、「先輩&後輩に対して」と職場のコミュニケーションに関する声も多数! 
 
そこで今回は、ストレスを上手に解消するコツ・気持ちを上手に伝えるコツをコミュニケーションのプロに聞いてみます。 

「アンガーマネジメント」って知ってる?

アンガーマネジメント記事内写真①
今回のキーワードは「アンガーマネジメント」。耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか? 今回は、幼稚園教諭の経験を持つアンガーマネジメントコンサルタント®︎・小尻美奈さんに教えてもらいます。 
 
「対人援助職である保育士さんは、子ども・保護者・同僚の先生など、毎日たくさんの人と関わるお仕事。きっと、いつもは気持ちに寄り添うことを心掛けていることと思います。忙しいときや余裕がないとき、今回のアイデアを参考にしていただけたら嬉しいです」と、小尻さん。 
 
それでは、皆さんからのアンケートで挙がった「イラッと&モヤッする」3つのシーンをもとに、対処法を教えてもらいます! 

ケース①子どもにイラッとしてしまった! 

【保育士さんからの声】 
保育室で走り回る子。試し行動だと思うのですが、何度注意してもやめてくれない時に、ついイラッとしてしまいます。 
アンガーマネジメント記事内写真③

おすすめ解決策「ブレイクパターン」

保育士さんのお悩み、あるあるですよね。とても共感できます。 
 
ベテラン保育士さんだと上手なコツやパターンを持っている方もいると思いますが、特に新人保育士さんは対処が難しいのではないでしょうか。 
 
「何度注意してもやめてくれない子ども」に対してのイライラ、このような状況におすすめなのが、イライラのパターンを自ら壊す(ブレイク)「ブレイクパターン」という、アンガーマネジメントテクニックです。 
 

具体的にどうするの? 

「何度注意しても状況が変わらない」=その注意の仕方が目の前の子どもには合っていないのかも…と、考えを切り替えてみましょう。 
 
イライラに繋がるパターンを崩すために、これまでのやり方から何か一つだけ変えてみるということにチャレンジしてみましょう! 
 
例えば、
・注意の声の大きさやトーンを変えてみる(大声→囁くなど)
・いつもとは違うセリフで伝えてみる(ダメ!→~しようね/否定語→肯定語)
・注意するときの場所を変えてみる(保育室→廊下など)
こんな風に、何か一つだけ変えてみるというのがポイントです。 
 
「これまで大きな声で注意していたけれど、子どもの耳元で小さな声で囁くように伝えたら、走り回るのをやめてくれた」

そんなエピソードも。 何か一つだけ変えるだけで、イライラの悪循環が断ち切れることがあります。保育者側が「自分ができる言動」にフォーカスして、何か一つ変えてみることにチャレンジしてみてくださいね! 

ケース②同僚にイラッとしてしまった! 

【保育士さんからの声】
一緒に組んでいる先生が、きちんと仕事をしてくれずイラッとしてしまいます。他の先生が行事の制作物を作っているのにも関わらず、理由をつけて早く帰ってしまいます。 
アンガーマネジメント記事内写真②

おすすめ解決策「三重丸」で思考のコントロール 

これも、あるあるですよね…。気が利く・率先して動けるなどは個人差が大きいこともあり「私だけ多くやっているのに」と感じてモヤモヤしてしまうこともあるのではないでしょうか。 
 
この場合、同僚として「どこまで許容できる範囲か」「どこからが許容できない範囲か」怒る基準を決めておく、というのが「三重丸」を使った思考のコントロールです。 

具体的にどうするの? 

怒る基準を持っていないと、「怒る必要があるか」「怒らなくていいか」が無意識のうちに判断できずモヤモヤしたり、自分の機嫌によって怒る基準がブレてしまったり、怒りに振り回されてしまうことに…。 
 
「同僚として守ってもらいたいこと」として、下の「三重丸」を使って整理してみます。 

①理想の状態
②理想ではないがまぁ許容できる範囲
③許容できない範囲


この3つを考えてみましょう。 
アンガーマネジメント記事内写真③のグラフ
 
具体的に考えてみると…(一例) 
1、理想の状態 
制作物は指示されなくても、自主的に作る状態。 
2、まぁ許容できる範囲 
早く帰らなければいけない理由がある時は、他の日に作る、自宅に持ち帰って作るなど、何かしら作る姿勢、行動が見られる状態。 
3、許容できない範囲 
制作物には全く関わろうとしない。何も作ろうとしない状態。 
このように整理をしてみたら、①と②のときは「怒らない」、③の時のみ「怒る」を選択するという怒る基準ができます。 
 
立場によって言いづらいこともあるかもしれません。そんなときは主任の先生などと伝え方を相談しながら、 
「早く帰宅しなければいけない時は、せめて他の日に制作物を作るようにしてくださいね。全く制作物に携わらないということは許容できません」と、 
"困った先生“に、日頃から怒る基準について言葉で伝えておくようにしてみてくださいね。    
 
 
次回は「ケース③後輩の謎の自信にモヤッ!」後輩指導でのイライラに注目してみます。 併せて“衝動的な怒り“を鎮めるための上手なリラックス方法も伝授します。
    今回の講師
小尻美奈さん 
(一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントコンサルタント®︎)
一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントコンサルタント小尻美奈さん
【プロフィール】
元幼稚園教諭。現在はアンガーマネジメントコンサルタントとして、保育・教育分野をはじめ企業や官公庁で研修を行う他、保護者向け講演会、子ども向け授業、オンラインによる1on1セッションなど、子どもから大人まで幅広い世代へアンガーマネジメントを伝え、問題解決のサポートを行なっている。また、2016年より日本アンガーマネジメント協会の本部主催登壇講師として指導者の育成にも従事し、認定資格者の指導人数は約1000名。 
情報提供=日本アンガーマネジメント協会 
 
<アンケート調査について>
調査期間:2022年7月19日~20日
調査方法:「ほいくis」Instagram公式アカウントでアンケートを実施
調査対象:Instagramユーザー
有効回答数:【質問】保育の仕事で「感情をコントロールしなきゃ…」と感じることはありますか?/有効回答数3,408件、【質問】保育の仕事で「ついイラっとしてしまう」のはどんなシーンが一番多いですか?(4択)/有効回答数3,510件

 

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