保育の仕事でストレスに感じることは?
「ほいくis」のInstagramアンケートでは、「保育の仕事で、感情をコントロールしなきゃと思うことがある」という保育者さんが約95%!前回は「注意しても繰り返す子どもに、イラッとしてしまった!」「仕事をしない同僚にイラッとしてしまった!」という2つのシーンを取り上げました。 今回は「後輩指導でモヤモヤ」編として、引き続き幼稚園教諭の経験を持つアンガーマネジメントコンサルタント®︎・小尻美奈さんに教えてもらいます。
ケース③後輩の謎の自信にモヤッ!
【保育士さんからの声】後輩の先生の言葉遣いや態度が気になります。例えば言葉遣いなど「保育者として常識的な言葉を使って」と何度注意しても、謎の自信があるのか直してくれません。
おすすめ解決策「具体的なリクエスト」
新人保育士さんが入ってきたり、実習生が来たりすると、世代の違いを感じることも多いですよね…。‟困った後輩“指導に共通して使えるテクニックとしては、注意するときは「具体的なリクエスト」を心がけることです。
「ほめて伸ばす」ことも大事ですが、園全体の信頼や信用に関わるようなことに対しては、「見て見ぬ振り」をするのではなく、やめてほしいことを率直に伝えることは大事だと私は思います。

具体的にどうする?
例えば「保育者として常識的な言葉」を、相手に望む具体的なリクエストに置き換えてみます。例えば、「子どもと関わるときは、マジ、キモイいう言葉は使わないでください」のように使ってはいけない言葉を伝えたり、「マジ=本当に、キモイ=気持ちが悪いという言葉に置き換えて話してみて」など。
具体的なリクエストにすることで、相手の変化にも気がつきやすくなります。
「今日は子どもと話すときに、マジではなく「本当に」という表現を使っていて、よかったですよ! 保育者として信頼できる話し方に感じられました」など、相手が変わった変化を捉えて、フィードバックすることもできます。
子どもとできる「アンガーマネジメント」
最後に、日頃から子どもとできるアンガーマネジメントについてもご紹介します。子どもにアンガーマネジメントを教えるときは、「怒るときは3つのルールを守ろう」と伝えています。
3つのルールとは、「人を傷つけない」「自分を傷つけない」「物を壊さない」というルールを守って「怒る」と言うことです。
この3つのルールを守って上手に怒るためには、まずは衝動的な怒りを自分で鎮めることが大切!

1、落ち着く言葉を唱えよう
アンガーマネジメントでは、「コーピング・マントラ」という方法で、呪文(マントラ)を唱えることで、怒りに対処する(コーピング)という意味です。
「大丈夫・大丈夫」「イライラスッキリ・トントントン」など、気持ちがほっとするような言葉を自分に唱えることで、イライラを落ち着かせることができます。
クラスで共通の「落ち着く言葉」を決めておくことで、誰かがイライラした時には一緒に唱えることもできます。
2、深呼吸する
怒っている時は身体が戦闘モードになり、無意識のうちに血圧や心拍数が上昇して呼吸も荒く浅くなりがちです。
ですから「口から息をゆっくり6秒間吐き切って、鼻からゆっくり6秒間息を吸う」深呼吸を数回繰り返してみましょう。
呼吸を整えることで、凝り固まった心と身体が緩み、怒りをクールダウンさせることができます。
3、グーパー体操

手を動かすことに意識が向くため、衝動的な怒りを鎮める効果があります。

ぜひ毎日の保育に「アンガーマネジメント」を取り入れて、上手にストレス解消&コミュニケーションスキルのアップに繋げてみて下さいね。
教えてくれた人
小尻美奈さん(一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントコンサルタント®︎)

【プロフィール】 元幼稚園教諭。現在はアンガーマネジメントコンサルタントとして、保育・教育分野をはじめ企業や官公庁で研修を行う他、保護者向け講演会、子ども向け授業、オンラインによる1on1セッションなど、子どもから大人まで幅広い世代へアンガーマネジメントを伝え、問題解決のサポートを行なっている。また、2016年より日本アンガーマネジメント協会の本部主催登壇講師として指導者の育成にも従事し、認定資格者の指導人数は約1000名。 |
<アンケート調査について> 調査期間:2022年7月19日~20日 調査方法:「ほいくis」Instagram公式アカウントでアンケートを実施 調査対象:Instagramユーザー 有効回答数:【質問】保育の仕事で「感情をコントロールしなきゃ…」と感じることはありますか?/有効回答数3,408件、【質問】保育の仕事で「ついイラっとしてしまう」のはどんなシーンが一番多いですか?(4択)/有効回答数3,510件 |