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発語障害を持った子とのかかわり方がわからない|発達支援のお悩み相談室

発語障害を持った子とのかかわり方がわからない|発達支援のお悩み相談室
「発達支援の現場から」のコラムで好評の児童発達支援管理責任者/保育士/発達支援専門士である井上さんが、今回は発語障害を持った子とのかかわり方がわからない保育者からのお悩みに回答します。

今回のお悩み:発語障害を持った子とのかかわり方について

プリンちゃんさん(児童指導員    1ヶ月)からのご相談    

集団で療育を行っている場で、発語障害を持っている子のコミュニケーションのとり方が、何が良いのかイマイチわからないです。 

また、隙があれば直ぐにものを投げて(お家、保育園、療育の場全てで)、こちら側を試すような態度をとる子がいます。 その場合どんな対処をすれば良いかわからないです。 保護者さんも困っているようでなにをしてあげれば良いでしょうか。 



専門家からプリンちゃんさんへの回答 

子どもと会話する保育士

コミュニケーションの取り方をどのようにすればよいのか? 

子どもたちとコミュニケーションをとりたいと思ったとき、子どもから積極的に関わってきてくれる子もいれば、人への興味が薄くなかなかコミュニケーションをとりにくい子もいます。 

ご質問の内容からいくつかのご提案をさせていただきます。 

隙さえあれば、すぐに物を投げて大人を試しているとのことですが、このお子さんはなぜ投げるのでしょうか? 
ポイントは以下の4つです。
  • 好きな遊びはどれくらいもっていますか? 
  • 自ら遊びを探し出すことができますか? 
  • 遊びの開始後、遊びを展開させることはできますか? 
  • 大人とのコミュニケーション手段はどれくらいもっていますか? 
1つずつ見ていきましょう。

子どもの行動のなぜ?をよく観察してみましょう 

・好きな遊びは何なのか 
遊びが少ない場合には、遊びを拡げる必要があります。感覚的な遊びが好きなのか、始めと終わりがわかりやすい遊びなのか、その子の“好き”を評価し、遊びの設定を変化させる必要があります。 

・自ら遊びを探し出すことができない場合 
自分で遊びを探し出すことができない場合、レストランに行ってメニューがないと何を食べられるのかわからないように、何をして遊べばよいのかわからない状態になっていることが考えられます。

そんな時には、遊びのメニュー表を作ることをおすすめします。 どのような遊び(玩具)があるのか、メニューにすることで初めて「これで遊ぼう!!」と思えるのです。 

・遊びの開始後、遊びを展開することができない場合 
遊びがあっても、遊びを拡げることが難しければすぐに飽きてしまい、転々とすることで自由が不自由になり、不適応行動が出やすくなります。このような場合には、一人で集中して遊んでいるときには見守り、飽き始めた段階で展開部分だけを大人が手助けするとよいでしょう。 

・コミュニケーション手段 
このお子さんは、どれくらいコミュニケーション手段をもっているでしょうか? 言葉? サイン?カード? さまざまなものがあると思いますが、大切なのは、その子の発達段階に合わせたコミュニケーション手段を提案できているかということです。 

サインが身につきやすいのか、PECS(絵カード交換式コミュニケーションシステム)のような物があっているのか? 子どもに合っている物を探って見るとよいでしょう。 

この時大切なことは、その子の好きな物を要求する場面から始めることや、まずは場面を決めて、確実に本人の表出をキャッチしそれに応答できる大人の準備をしておくことが重要です。 

問題行動をフォーマルにアセスメントする 

問題行動の原因は一体何なのかを評価するものの一つにMAS(Motivation Assessment Scale)というものがあります。この様な評価スケールを何人かで付けてみて、行動の理由を分析し、理由に合わせたかかわり方を行っていくのもよいでしょう。 

井上さんからアドバイス 

今回のご相談は発達支援の現場ということでしたので、専門的な評価スケールや支援方法のご提案をさせていただきました。引き続き専門知識を学び続けていただき、子どもが出しているサインを正しく読み取り、子ども一人一人に合わせた支援が行われていくことを願っています。日々、療育を行う同じ立場として応援しています。 

井上さんに直接聞いてみたい発達支援のお悩み募集中

普段の保育で感じている発達支援のお悩み、井上さんに質問してみませんか? ほいくisでは、保育者のみなさんが抱える発達支援のお悩みを募集し、児童発達支援管理責任者/保育士/発達支援専門士として自治体とともに現場の保育士さんと一緒に発達支援を考える井上さんに回答いただく企画が好評です。

あたたかい目線でいつも保育者に寄り添う井上さんのコラムは、現場の保育者の方からも非常に好評です。ぜひみなさんが感じていること、相談したいことがありましたら以下のバナーをクリックして相談を教えてください。
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詳細については、相談応募フォームにてご確認ください。

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井上綾乃(いのうえ あやの)

この記事を書いた人

井上綾乃(いのうえ あやの)

発達支援センターでの実践や短大非常勤講師の経験を積み、自ら法人を立ち上げ、児童発達支援管理責任者(保育士と)して療育の現場で活動中。子どもをプログラムに合わせるのではなく、子どもに合わせた療育プログラムを行いながら、「楽しい」と感じる事で発達する支援を実践。現在では自治体の保育園巡回相談、保育ゼミ講師、依頼を受けての保育園、幼稚園研修講師等人材育成も行っている。
<シャインキッズホームページ>
https://shine-kids.com/

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