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保育士と幼稚園教諭の違いを解説~資格・免許・働き方・待遇など

女性の幼稚園教諭
「保育士」と「幼稚園教諭」。似たようなイメージを持たれがちな両者ですが、実は制度や資格・免許、働き方などさまざまな違いがあります。本記事では、その違いについて詳しく解説します。

保育士と幼稚園教諭の制度上の違い

認定こども園の園舎
まずは保育士と幼稚園教諭の管轄省庁や資格・免許、働ける場所など、制度の違いについて見ていきましょう。

保育士の管轄省庁がこども家庭庁に

保育士と幼稚園教諭の制度上の違いについて、次のとおり表にまとめました。
項目 保育士 幼稚園教諭
管轄省庁 こども家庭庁 文部科学省
資格・免許 保育士資格 幼稚園教諭免許
主な働き場所  保育園/認定こども園/乳児院/児童養護施設など 幼稚園/認定こども園
教育の指針・基準 保育所保育指針 幼稚園教育要領
目的 保育を必要とする乳幼児の養護と教育 幼児を保育し、適当な環境のもと心身の発達を助長する
対象年齢 0歳~小学校就学前 3歳~小学校就学前
保育時間 標準8時間 標準4時間
保育士が働く保育園は、こども家庭庁が管轄する福祉施設です。以前は厚生労働省の管轄でしたが、2023年(令和5年)4月1日のこども家庭庁発足に伴い移管されました。保育士は保育所保育指針に沿って保育計画を立て、子どもたちの教育や生活面のサポートをします。

幼稚園教諭が働く幼稚園は、文部科学省が管轄する教育施設です。幼稚園教諭は幼稚園教育要領に沿ってカリキュラムを組み、幼児教育を行います。

近年は幼保一元化の動きから、幼稚園と保育園の両方の機能を併せ持った「認定こども園」と呼ばれる施設が増えてきています。認定こども園の管轄はもともと内閣府でしたが、こども家庭庁の発足に伴い同庁に移管されました。ここでは、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を持った「保育教諭」が保育を行います。

働く環境の違い

ここからは保育士と幼稚園教諭の仕事内容や休日・休暇など働く環境の違いを詳しく見ていきましょう。

仕事内容

お絵描きをしている男の子と女の子
保育士は仕事や病気のため家で子どもを見ることができない保護者の代わりに保育を行います。具体的な仕事内容は、受け持つ年齢によって大きく異なります。0〜2歳の乳児クラスではミルクを作ったりオムツを替えたりと、生活のサポートがメイン。3歳~5歳の幼児クラスでは生活面よりも教育面での指導が多くなります。

幼稚園教諭の仕事は「遊び」を中心とした活動のなかで、一人ひとりの成長をサポートすることです。年齢や発達に合った適切な環境を用意し、就学に向けて心身の発達を促します。幼稚園は3〜5歳の幼児のみなので、担当クラスによる仕事内容の違いは保育士ほど大きくありません。

休日・休暇

保育園は8時間以上開園しているため、保育士の勤務形態はシフト制です。基本的には土日祝が休みの園が多いですが、土曜保育を行っている園では交代で土曜日に出勤し、平日に代休をとります。基本的に年末年始以外に長期休みがないため、夏期休暇や有給休暇など職員の休暇は交代で取得します。

幼稚園教諭は基本的に8時〜17時までの固定勤務で、休日は土日祝です。土曜日に行事を行う場合は月曜日が振替休日になります。夏休み・冬休み・春休みと、長期の休みがあり、職員の休暇は主に長期休み期間に取得します。

配置基準

保育室の片付けをしている保育士
保育園と幼稚園では職員の配置基準も異なります。それぞれの配置基準を次の表にまとめました。
保育園 幼稚園
0歳児:3人につき1人
1・2歳児:6人につき1人
3歳児:20人につき1人
4・5歳児:30人につき1人
1学級(35人以下)につき1人
保育園は年齢ごと、幼稚園は学級ごとに職員の配置基準が定められています。上記の基準は最低限の人数のため、園や自治体によってはこの人数よりも手厚い配置をしているところもあります。

給与の違い

保育士と幼稚園教諭は給与面でも違いがあるのでしょうか。厚生労働省が発表している「令和4年賃金構造基本統計調査」を元に比較してみました。
職種 月額給与 年間賞与 年収(※)
保育士 266,800円 712,100円 3,913,700円
幼稚園教諭 267,400円 785,900円 3,994,700円
※年収は「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与・その他特別給与額」で算出

わずかに幼稚園教諭のほうが高くなっていますが、その差は大きくありません。

給与については、「保育士か幼稚園教諭か」というよりも勤める園や役職によって異なります。例えば公立の保育園や幼稚園では公務員の給与基準が適用されるため、勤続年数が増えるにつれ給与額も高くなる傾向があります。また主任や園長などの役職者には手当が付くので、年収もアップします。

出典:令和4年賃金構造基本統計調査/厚生労働省 

保育士と幼稚園教諭のメリット・デメリット

これまで紹介してきた保育士と幼稚園教諭の違いを踏まえ、両者のメリット・デメリットを見ていきましょう。

保育士のメリット・デメリット

お迎えで保護者の対応をする保育士
まずは保育士として働くメリット・デメリットです。
メリット ・赤ちゃんと触れ合える
・0歳~就学前まで子どもの成長を長く見守れる
・長い時間を共に過ごすため、子どもと深い関係を築きやすい
デメリット ・保育時間が長く、事務作業や保育準備に当てる時間が取りにくい
・長期休みがないため、まとまった休暇をとることが難しい
保育士は0歳~就学前までの子どもたちと関わることができるので、幅広い年齢や発達に合わせた保育、関わり方を学べます。一年を通して子どもたちと長い時間を共に過ごすため、家族のように成長を見守ることができるといった大きなやりがいを感じられるのもメリットです。

しかし1日の保育時間が長いため、保育以外の業務をする時間が取りにくいといったデメリットも。園によっては、夕方の保育はパート職員を配置して事務作業の時間を確保するといった工夫をしているところもあります。

幼稚園教諭のメリット・デメリット

園舎の外で物を運んでいる幼稚園教諭
次に幼稚園教諭として働くメリット・デメリットです。
メリット ・教育的な指導を通じて子どもの成長をサポートできる
・教材研究に時間をかけ、じっくりと幼児教育に取り組むことができる
・長期休みがあるためまとまった休暇を取得しやすい
デメリット ・基本的に一人担任のため負担が大きい
・幼稚園教諭の求人は保育士求人に比べて少ない
幼稚園は保育園に比べて保育時間が短いため、準備や教材研究にしっかりと時間をとることができます。生活面のお世話に関する業務は少なく、子どもの主体性や自立心、社会性などを育む幼児教育にじっくり取り組むことが可能な点はメリットと言えるでしょう。また、定期的に長期の休み期間があるため、まとまった休暇が取りやすいこともメリットの一つです。

一方で幼稚園教諭のデメリットとしては、基本的に一人担任のため、複数担任が基本の保育士に比べて負担が大きくなることが挙げられます。また、近年は共働き世帯の増加に伴い幼稚園の数が減少し、求人自体が少なくなっています。就職先の選択肢を広げるためにも、幼稚園教諭免許だけでなく保育士資格も取得しておくと安心でしょう。現状では、幼稚園教諭のうち保育士の資格も持っている方の割合(併有率)は86.6%と非常に高くなっています。

参考:令和3年度 幼児教育実態調査/文部科学省

違いを理解して仕事を選ぼう

保育士と幼稚園教諭は、「小学校就学前の子どもに関わる仕事」という点では共通しているものの、制度や資格・免許、仕事内容は異なります。仕事を選ぶ際は、幅広い年齢の子どもの保育をしたいのか? 幼児教育に集中したいのか? など、自分のやりたいことと照らし合わせて考えると良いでしょう。また、資格取得を考えている方は、両方の資格・免許を持っておくと保育者としての活躍の場が広がるという点も押さえておきましょう。

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あいな

この記事を書いた人

あいな

子どもが好きで、大学卒業後は公立保育園で保育士をしていました。結婚出産を経て、現在は育児をしながらライターとして活動中。自身の知識や経験を元に、日々の保育をお手伝いできる分かりやすい記事を執筆します。

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