企業内保育所とは
企業内保育所とは、企業が自社の社員向けとその子どもたちに向けて開設している保育所のことを言います。出産や育児、保育所不足による離職を防ぐため、全国の企業で導入が進んでいます。企業が設置する保育所には「事業所内保育所」と「企業主導型保育所」の2種類あります。保育士として働く際に知っておきたいポイントをまとめました。
事業所内保育所
「事業所内保育所」とは、自治体の認可を受けた認可保育事業です。そのため満たさなければならない認可基準があります。・子どもの対象年齢
・子どもの定員人数
・職人の配置人数
・必要資格
・施設の広さ
事業所内保育所として認定されるには、設備や人員などの厳しい設置条件があります。
企業主導型保育所
企業主導型保育所は、認可外保育所で、自治体の認可が必要なく、設置の自由度が増します。そのため、園の開園時間に自由が利いたり、預かる子どもの年齢も自由に設定できます。いずれのタイプも、地域枠といって、近隣住民の子どもの受け入れをすることができます。事業所内保育事業の場合は定員の4分の1程度が必須となっており、企業主導型保育事業では必須ではないものの定員の2分の1までの範囲で設定することができます。
事業所内保育所と企業主導型保育所の相違点
事業所内保育所 | 企業主導型保育所 | |
---|---|---|
分類 | 認可保育施設 | 認可外保育施設 |
助成金 | 【設置費】 大企業:1/3 中小企業:2/3 【運営費】 大企業:1/2 中小企業:2/3 |
【運営費・整備費】 認可保育所並みの助成が 受けられる |
対象年齢・人数 | 0~2歳児 20人以上もしくは19人以下*定員によって認可基準が異なる |
年齢や人数の制限はなし |
職員数(保育士配置基準) | 【定員20名以上】 0歳児:子ども3人に保育士1人 1・2歳児:子ども6人に保育士1人 【定員19名以下】 保育所の配置基準+1人 ※預かる人数が20名以上であれば必要数すべて保育士有資格者、19人以下であれば必要数の内1/2以上が保育士有資格者 |
保育所の配置基準に +1人以上の職員を加える ※保育従事者の半数以上が保育士資格を有すること |
設置数 | 8,683 (令和4年3月現在) |
4,446 (令和6年1月初日現在) |
参考:事業所内保育施設設置・運営等支援助成金 のご案内 >>詳細はこちら
参考:こども家庭庁 企業主導型保育事業等 >>詳細はこちら
参考:こども家庭庁 よくわかる「子ども・子育て支援新制度」 >>詳細はこちら
参考:こども家庭庁 地域型保育事業の概要 >>詳細はこちら
参考:こども家庭庁 令和3年度 認可外保育施設の現況取りまとめ >>詳細はこちら
参考:内閣府 企業主導型保育事業等の実施について >>詳細はこちら
参考:企業主導型保育施設一覧(定員充足状況含む)(令和6年1月初日現在)について >>詳細はこちら
いずれのタイプも、地域枠といって、近隣住民の子どもの受け入れをすることができます。事業所内保育事業の場合は定員の4分の1程度が必須となっており、企業主導型保育事業では必須ではないものの定員の2分の1までの範囲で設定することができます。
企業内保育園を設置している企業の例
企業内保育園を設置している企業の具体例をご紹介します。
トヨタ自動車株式会社の企業内保育所
基本情報
種別:事業所内託児施設預かり人数:320名
対象年齢:0歳(産後8週)~小学就学前まで
預かり時間:7:30~18:30
特色
- 従業員の多様な働き方を支援するため、早朝・宿泊保育が導入されている。
- 全工場からバスで子どもたちを送迎し、保護者の送迎の負担を軽減。
- 敷地内のトヨタ記念病院と連携し、病児保育(トヨタ記念病院病児保育施設 ぴーぽらんど)を新設。
参考:トヨタ自動車 事業所内託児施設「ぶぅぶフォレスト」 >>詳細はこちら
味の素株式会社の企業内保育所
基本情報
種別:事業所内保育所
預かり人数:19名
対象年齢:0歳(生後57日目以降)~5歳児(未就学児)
預かり時間:7:30〜18:30(11時間)
特色
- “食”と“健康”がコンセプトの保育園。
- 小規模園ながらフルスペックのキッチンがあるので、栄養士が昼食とおやつを自園で作っている。
- 保育室に調理室内が見える大きな窓があり、子どもたちが調理風景を見て食や健康に興味が持てるようにしている。
参考:企業主導型保育事業※1を活用した事業所内保育所 - 味の素 >>詳細はこちら
企業内保育所の保育士の業務
どちらのタイプの企業内保育所も企業内や近隣にあり規模が小さく、特に事業所内保育所は3歳までの子どもを預かるため、年齢の高い子どもは少ない傾向にあります。仕事内容は子どもを預かり、食事やお昼寝、遊びなど通常の保育園と大きな差異はありません。
大切なのは日々の遊びや生活の中で子どもたちの心身の成長を支え、どの子も多様な経験ができるように保育を行うことです。
戸外遊びや室内遊びが充実するように環境を整え、身体を十分に動かし好奇心や想像力を育み、友だち同士の関係が深まるように働きかけます。
その他にも保護者の育児支援を行い、日々のやりとりから信頼関係を築き、保護者と協力して子どもを育てていける環境を作ることが保育士には求められます。
企業内保育所の特徴
企業内保育所の特徴をもとに、転職した際に自分に合う環境なのかを確認してみましょう。小規模でイベントが少ない
企業内保育所では、自社社員の子どものみを預かっているケースが多く、小規模で行事やイベント自体がないというところも少なくありません。そのため保育者の残業や持ち帰り仕事が発生しにくく、ほかの園と比較すると楽に感じる人も多いです。スケジュールが変動しやすい
企業内保育所は、企業の勤務時間に合わせて開園している園も多く、24時間体制の工場などの保育所だと、勤務時間に合わせてシフト勤務することが多いです。反対に土日や年末年始が必ず休みになる園もありますので、必ず転職する前に条件を確認しましょう。保護者と連携が取りやすい
企業内保育所は会社と同じ建物や近隣に設置されることが多いので、保護者が近くで働いています。子どもの急な発熱時にもすぐに連絡ができますし、退社後も短時間でお迎えに来てもらうことができます。企業内保育所の給与や待遇
気になる企業内保育所の給与や待遇ですが、基本的には母体となる企業規模が大きくなるほど給与や待遇は良くなる傾向にあります。転職サイトからいくつかの企業内保育所の給与・待遇情報をまとめましたので、参考にしてください。(2024年6月執筆時時点での情報)
給与
月給:173,800円~290,000円ほど年収:278万〜400万ほど
賞与 年2回(1ヶ月〜4ヶ月ほど)
待遇
- 家賃手当などの各種手当
- 1分単位で残業代支給
- 祝日休み
- 年間休日123日
- リフレッシュ休暇 など
参考:ほいくisお仕事探し 企業内保育園求人特集 >>詳細はこちら
保育士が企業内保育所で働くメリット
保育士が企業内保育所に勤務するとどのようなメリットがあるでしょうか?土日休み
企業内保育所を運営している企業の勤務形態が土日休みならば、保育園もお休みになることが多いです。 特に大企業ならば土日祝日や年始年末、お盆休みなどが確保されていることが多いので、大企業が運営する企業内保育所で働くとカレンダー通りに休めるようになります。残業が少ない
企業内保育所は少人数保育になることが多いので、大きな行事が少ない傾向にあります。通常の保育園に比べて行事の準備などが少ないので、残業も発生しにくくなっています。ゆとりを持った保育
企業内保育所の施設は小規模であることが多いので子どもの数が少なく、ゆったりとした保育を行いやすい環境です。それぞれの子どもとじっくり向き合い、丁寧な保育をしたいと思っている人には大きなメリットです。- 残業少なめ、休みもばっちり!プライベートも充実させたい
- ゆったりとした保育を行いたい
- いまよりも給与アップを目指したい
企業内保育所に興味を持ったら…
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