キャリアアップ研修を活用する園長先生にインタビューしました
キャリアアップ研修を活用する現場の声を伺うため、前回に続き明日葉保育園 保塚園(東京都足立区)にご協力いただきました。今回はキャリアアップ研修の活用に力を入れている園長の曽我 純也さんにお話を伺います。曽我先生は、どのような思いでスタッフのみなさんにキャリアアップ研修の受講を勧めているのでしょうか。詳しくお話を伺っていきます。職種や経験年数に関わらずキャリアアップ研修を導入
こちらの保育園では、いつ頃からキャリアアップ研修を導入されているのですか?
保塚園は2023年で設立3年目になる保育園です。設立当初はまだ子どもの数も多くありませんでした。キャリアアップ研修を導入したのは2021年からです。入社して間もない保育士に受講を勧めました。ずっと別の業種で仕事をしてきた人で、保育園での勤務は初めてでした。言葉遣いや保護者対応がとてもよかったので、得意分野をさらに深めてもらうため保護者支援の研修を受けてもらいました。
先日取材させていただいた鈴木先生もキャリアアップ研修を受ける前に、園長先生に相談されたそうですね。
鈴木先生は、第三者評価に来られた方も注目するくらい乳児との関わり方に優れている保育士です。まずは得意なところを深めてもらいたいと思い、乳児保育の分野の中でおすすめの講座を紹介しました。
保育士が得意とする分野以外の研修を勧めることもありますか?
リーダーや主任になってほしい人にマネジメントの分野をおすすめすることがあります。また、栄養士も保護者と面談することがあるので、保護者支援やアレルギー、保健衛生の分野など、その人に必要だと感じた内容をおすすめしています。
保育士以外の方も研修を活用しているのですね。他にも研修を受けてほしいと思う職員はいますか?
基本的には職種や経験年数に関わらず、全員受けてほしいです。職員会議のときに、「保育士は国家資格で保育の専門家だよね。保育の専門家ってどういうことだと思う?」と質問したことがあります。そのとき、「保育の専門家として必要なものが網羅されているのがキャリアアップ研修だよ」と伝えました。業務に役立つ内容なので、保育に関わるスタッフにはできる限り受講してほしいと思っています。
職員から相談を受けたときの対応は?
実施期間やエリアで調べると、さまざまな講師の方がキャリアアップ研修の講座を行っていますね。受講する講座について相談されることも多いのではないですか?
キャリアアップ研修は自分のスキルの証明書になるものなので、まずは自分で受講する講座を調べるよう促します。調べたけど分からないという場合には、こちらからおすすめの先生の講座を教えることもありますね。その場合は、「マネジメントはこの先生」「乳児保育はこの先生」など、できるだけ同じ先生をおすすめするようにしています。スタッフの中に同じ先生の講座を受けている人が多いと、「あの先生はこう言っていたね」と同じ方向を向いて話をすることができるので。
キャリアアップ研修の導入で保育の実践にも変化が
受講を終えたスタッフの方に声をかけることはありますか?
「どうだった? 気づきはあった?」と声をかけています。あまり気乗りしない様子だった先生も、受講を終えると「すごく良い話が聞けた」と話してくれますね。「園の中で生かせそうなことはあった?」と聞くと自分の考えを話してくれて、保育に対する意識の変化を感じます。
キャリアアップ研修を活用するようになって、保育の実践に変化を感じますか?
主任の先生にマネジメント研修を受けてもらったのですが、研修を受けてから仕事のとりまとめがとても上手になりました。自分でまとめること、人にお願いすることなど、各人の役割を意識しながら仕事を進めてくれて、本当にありがたいです。先日も区の監査と運動会が重なった時期があったのですが、忙しい中でも自分でまとめる書類はしっかりまとめていて、すごく成長したなと感じました。キャリアアップ研修の効果を感じました。
施設の運営者や園長先生におすすめしたいこと
これからキャリアアップ研修を導入しようと思っている施設の運営者や園長先生に向けてアドバイスしたいことはありますか?
良い研修を見つけたときには、園のスタッフに「この先生面白いよ、話を聞いてみたら?」とおすすめしてみてはいかがでしょうか。研修を通してスタッフみんなが同じような意識をもって仕事ができるようになると、園の運営がしやすくなります。スタッフ同士のコミュニケーションもスムーズになるのでおすすめしたいです。
こちらの園は保護者の方も保育方針を理解されているくらいまとまりがある保育園だと伺いました。スタッフのみなさんの意識を合わせるのに、キャリアアップ研修が一役買っているのですね。最後に、今後のキャリアアップ研修について、期待することがあったら教えてください。
最近はオンデマンドの研修が増えているようですが、オンラインでも個人ワークやグループワークを実施しているのは良い取り組みだと思いますね。他の保育士の意見を聞きながら、自分ならどうするかという意見を持ち帰るのはとても大切なことなので。
また、保育の質を高めるため、専門家として知識を深めることは大切なことだと思います。私も現役の時にこのような勉強がしたかったです。現在は処遇改善の一環として研修が行われていますが、もし、そのような取り組みがないとしても、キャリアアップ研修は続けてほしいと思います。
スタッフのみなさんに保育の専門家として知識を深めてほしいという思いや、より良い園にしていきたいという思いが、キャリアアップ研修の活用につながっているのですね。本日はありがとうございました。
●取材協力:家庭ラボ https://katei.labo.jp/