保育ウェブとは
「ウェブ」とは、思考整理法の一つです。中心に書いたテーマから関連する言葉を放射状に広げていく構造が、クモの巣(Web)に似ていることが由来と言われています。ビジネスの分野では広く使われていて、「マインドマップ」という呼び方で知られています。保育現場で使われるウェブは、特に「保育ウェブ」と呼ばれています。活動や環境、子どもの姿などを書き、言葉同士を線で結び付けていくことにより、保育の展開や関連性を見出すといった使い方を始め、さまざまな場面で役立てられています。
保育ウェブを導入する目的・メリット
ウェブを保育に導入するメリットについては、次のような点が挙げられます。保育の可視化
ウェブを使用することで、保育の展開や保育士の思考が視覚的に見えるようになります。そのため、保育について一人で考えているときや、みんなで話し合っているときに、全体像を見失うことなく、詳細にも注目することができます。保育の質の向上
保育ウェブに記録するためには、子どもの姿や遊びを注意深く観察する必要があります。子どもの思いや成長に添った活動の展開は、保育の質の向上に繋がります。また、保育ウェブを作ることで、一つの言葉から新しいアイデアが生まれ、保育の幅が広がっていくことも期待できます。
保育の共有
視覚的に捉えられる保育ウェブは、他の保育者とイメージを共有する際に役立ちます。複数人でウェブを作成すれば、双方のアイデアをもとに保育の展開を考えることもできます。また、保護者と情報共有する際にも、ウェブを見ながら話をすることで、子どもの姿や保育の意図を分かりやすく伝えられるでしょう。
保育ウェブの作り方・事例
ここからは、保育ウェブの作り方を、事例を挙げながらご紹介します。ウェブの作り方
【用意するもの】- 紙(大きめのもの/ホワイトボードでも可)
- ペン
- 起点となるテーマを設定し、中央に記入する
- テーマに関連する言葉を書き出し、線で繋げる
- さらにアイデアなども追加していき、関連がある言葉同士を線で繋げる
事例「水族館」
それでは、事例と作成のポイントを見てみましょう。 この保育ウェブのテーマは「水族館」です。子どもたちが遠足で行った水族館での体験を、日常の保育でどう活かすことができるのか、ということを考えながら作成しています。テーマである「水族館」を中心に書き、その周りに園で行なっている保育活動を繋げています。さらに、「運動会」や「食育」などで取り入れることができそうな、水族館に関連した活動アイデアを書いていきます。
作成中に、日常の保育で行う「踊り」が、「発表会」に繋がるという関連性が見えてきました。また、「魚釣り遊び」を「運動会」と結び付けることもできそうです。
このように、ウェブを書いていくことで、アイデアが広がるだけでなく、活動と活動の繋がりを見出していくことも可能になります。
保育ウェブの活用法
保育ウェブの活用法は一つとは限りません。保育士の発想次第で、さまざまな使い方ができます。ここからは、保育に役立てることができるウェブの活用法を3つ紹介します。
指導計画の立案
上記で事例をご紹介した「水族館」のウェブは、指導案を作成する際に用いることができます。遠足に行った後に、「どのような活動を取り入れていくと、水族館での体験が活きてくるのか」ということを考える場合、作成したウェブをもとに計画を立てることができます。また、遠足などの特別な行事だけでなく、日常的な活動もウェブを作成することで指導案に活かすことができます。
子どもの興味・関心の可視化
日常的な活動の中で、子どもの興味・関心を可視化するためにウェブを用いることもあります。次のウェブの事例は、「園庭遊び」をテーマにしたものです。 園庭で遊んでいる子どもの様子や物、発言などを一枚の紙に書き出していきます。その結果、「今日は園庭で子どもがどんなことに興味を持って遊んでいたのか」といったことが一目で分かるようになります。
保護者や職員との情報共有
子どもの遊びや発達の様子が分かる保育ウェブは、園内に掲示しておくことで、保護者や他の職員と共有することができます。定期的に更新されるウェブを見ることで、子どもの変化や成長を可視化できます。また、懇談会や職員会議などの場で、ウェブを用いた保育の紹介をすることもできるでしょう。
保育ウェブを活用しよう
保育ウェブは、保育士の子どもを見る目を養い、チームの連携を促進させることができます。日々の実践に取り入れていくことで、より質の高い保育を実現することができるでしょう。保育ウェブに関心がある方は、参考にしてみてくださいね。
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