保育士の職場で多いのは?
厚生労働省の2017年(平成29年)の資料によると、全国で保育士として従事している人の数は379,839人。そのうち保育所等(※)で勤務するのは363,003人、その他の児童福祉施設等で勤務するのは16,830人となっています。また、保育士資格を持つ保育教諭として従事しているのは59,217人となっています。保育士の勤務先としては、圧倒的に認可保育園とこども園が占めていることが分かります。一方で、保育士資格を活かせる職場がその他にもあることは、あまり知られていないようです。どのような場所があるのか見ていきましょう。
※幼保連携型認定こども園、保育所型認定こども園及び保育所
参考:平成29年社会福祉施設等調査の概況 職種別常勤換算従事者数/厚生労働省
院内保育園、企業内保育園
どちらの施設も比較的少人数の園が多いため、小規模園が人気を集めている中で勤務先として希望している保育士さんも多いようです。運営母体が病院ということもあり、院内保育園の中には365日24時間開園をしていて夜勤が必要なところもあります。
病児・病後児保育
院内保育園と混同されやすいのが、病児・病後児保育です。保育園では、子どもに37.5℃以上の熱があると預かりを断っているところがほとんど。そういった、病気で保育園に預けることができない子どもや、病気の回復期の子どもを預かる病児・病後児保育施設があります。熱がある子どもなどを預かることになるので、保育士としての知識以外に、保健の知識も必要となります。病棟保育
語感が似ているので混同されがちですが、前述した院内保育園で働く「院内保育士」や、「病児保育士」「病後児保育士」とは役割が異なります。
乳児院
乳児院とは、父母が死亡、行方不明となっている、養育を放棄している、疾病等により養育が困難である場合などに、乳児を入院させて養育をし、退院後の援助を行うことを目的とした施設です。主に乳児を対象としていますが、保健上、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、幼児を含む場合もあります。厚生労働省の資料によると、令和2年(2020年)3月末現在で施設数は全国に144か所あり、定員3,906人に対して児童数が2,760人、職員総数は5,226人となっています。入院している乳児にとっては家のような場所になるため、新生児の授乳や夜泣きへの対応なども必須です。また愛着関係を築く大切な時期になり、さまざまな職種の職員同士で協力していくことがとても大切になります。
参考:「社会的養育の推進に向けて(令和3年5月)」/厚生労働省
児童養護施設
保育園とは異なり、18歳未満の子どもと接する場となります。信頼関係の構築に難しさを感じることがあるかもしれませんが、その分心を開いてくれたときには大きなやりがいにつながりそうですね。
知的障害児施設など
知的障害児施設や盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設、児童心理治療施設などの福祉施設も選択肢のひとつにあります。いずれも障がいや心理学などの専門的な知識が重要になるため、目指す場合はしっかりと勉強しておく必要があるかもしれません。児童相談所
児童相談所は、児童福祉法に基づいて設置される行政機関のこと。略して児相と呼ばれることもあります。原則18歳未満の子供に関する相談や通告を受け付け、問題を解決していくための専門相談機関です。平成12年(2000年)に施行された「児童虐待の防止等に関 する法律(児童虐待防止法)」により、保育所など の児童福祉施設の職員には児童虐待の早期発見に努める義務が規定されました。児相は通告(相談)先の専門機関でもあるので、保育士とは関係の深い施設とも言えます。児童相談所でも、保育士として勤務することができます。主な業務は一時保護している子どもの生活・学習指導や、保護者への指導・支援などとなります。また厚生労働省では職員の専門性として、「児童家庭相談に関する知識」や「対人援助に関する知識」などを挙げています。子どもだけでなく多くの関係者と関わる職場となるので、保育士としての知識以外ににもさまざまなスキルが必要になります。
視野を広げてみよう
保育士は、さまざまな場所で活躍が求められています。施設の特徴や働き方などをよく理解して、視野を広げてみるのも良いのではないでしょうか。
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