今回のお悩み:発語がゆっくりな子、偏食な子、自分の世界に入ってしまう子、それぞれの対応がわからない
Aぇ保育がしたいさん(保育補助/2か月)からの質問
発語がゆっくりな子に対してコミュニケーションをとる方法を教えていただきたいです。
指さしや嫌なことがあれば泣く、寝転がるなどの反応は見られるのですが片付けの時間になって「お片付けしようね〜」や「ここに入れてね〜」など声掛けしてもあまり理解していない様子で遊び続けて、最後におもちゃのかごに入れてもらうのに手を保育者が持って一緒にいれるみたいな感じで今は対応しています。
また偏食な子にどのような声掛けをしたら食べてくれますか?
給食班とも話し合い飾り付けをしてみたり好きな物は多めに入れたりとしていますが苦手なものは一切食べません。2歳児クラスなのでひと口は食べて欲しいなあと思っているのですが強制はしない方がいいのでしょうか。
最後の質問は自分の世界に入ってしまう子に対してどのように接すればいいのでしょうか。
2歳児クラスです。自分の世界に入ってしまうと声が大きくなりすぎたり走り回ったり、集団行動について行けなくなって注意された時に泣いてしまってそこから切り替えが出来ないなどの様子が見られます。 集団行動に慣れてもらって自分で気付いて行動してもらう為に自分の世界に入った時はそのまま声掛けせず見守っています。
そして行動出来ずに注意されて泣くの繰り返しです。 注意される前に声掛けをした方がいいのでしょうか。またなんと声掛けしたらいいのでしょうか。泣いた後も切り替えが出来ない時の声掛けもいつも迷います。
質問が多くなり申し訳ございません。 答えていただけたらとても助かります。 よろしくお願いいたします。
専門家からAぇ保育がしたいさんへの回答
たくさんのご質問をありがとうございます。日頃の保育で子どもたちと熱心に関わられていることが良く分かる文章で、その困りごともたくさんあり、何をどうすれば良いのか戸惑っておられるのが文章から伝わってきます。 一つずつ情報を整理しながらお答えしていきたいと思います。
コミュニケーション手段について
文章の様子から拒否のコミュニケーションが未獲得のようですね。まずは、お子さんがもっている、言葉だけではない視線や身振りのサインを拡げていけるとよいでしょう。
特に大切にしたいのは、首や手を振り(言葉以外のコミュニケーションでも)拒否を示した際にその拒否を大人側が受け入れる。そうしないと、本人はこの手段は伝わらないんだなということを学習してしまい、正しいコミュニケーションを獲得することが難しくなります。
危険なことでない限りは、拒否を示した際には大人は拒否を受け入れ、自分の伝えたいことが伝わった経験を積み重ねていくと良いでしょう。
偏食について
偏食の理由は様々なものがありますが、どんな理由でも大切なのは子どもの立場になって考えることです。また、○○歳だから一口は食べてみようと年齢で考えるのではなく、食べたくない理由に沿って配慮していくと良いでしょう。例えば、カレーライスや丼物など、米と具材が混ざっていることの見た目の気持ち悪さや、味が混ざり合うことの不快さを感じる子には、別皿にして提供するなど、本人が食べたくない理由を探り、食べたくなるような支援を行ってみてください。
私の経験から大切にしてほしいと思うことは、食べるということはとても繊細であることから、絶対に無理に食べさせることはしないで欲しいと思います。 まずは、周囲がおいしそうに食べていることを見る環境を整え、畑の収穫や調理活動、またはその見学、ご家庭でのお手伝いなど、食に対する不安を軽減できる活動を行っていただきたいと思います。
嫌がるお子さんに対して、よかれと思って「一口だけ」と提供したことが、それから一切食べ物全てを口にすることが出来なくなるというケースもあります。まずは、好きな物をおいしく食べ、食べることへの安心を育てていってください。
自分の世界で遊ぶということ
まず、一つお伝えしておきたいことは何歳のお子さんであれ「自分の世界」つまり一人遊びができることはとても良いことです。先生が、心配されているのは「集団行動についていけないこと」だと思いますが、そのお子さんが、はたして集団を意識出来る発達状態にあるのかということです。 クラスの先生の配置人数も関係してくると思いますが、周囲のお子さんのペースについていけないのであれば、その子のペースに合わせていって欲しいと思います。
しかし、お散歩から帰る際になど、周囲に合わせなくてはならない状況の場合には個別に切り替えられるための本児が楽しいと感じる次場面を準備するのも良いでしょう。
先生が感じておられるように、何度も繰り返し同じことを注意するのではなくて、注意されないように大人を含めた環境を整えることが大切です。
井上さんからアドバイス
集団生活の中で感じる発達の多様性について
子どもの発達は、多様が当たり前です。顔が皆違うように、発達レベルもそれぞれ違うということを、保育者自身の価値観としてもてるようになると良いですね。毎日、集団の中の一人として子どもたちを見ている状況で、個別的な発達の違いを受け入れることは難しいかも知れませんが、こちらに勇気をもって相談してくださったということが、先生の子どもを中心に考えられる、素晴らしい先生なんだと感じています。
日々の悩みは、学びを行うことで必ず答えへと繋がることが出来ます。頑張ってください。応援しています。
井上さんに直接聞いてみたい発達支援のお悩み募集中
普段の保育で感じている発達支援のお悩み、井上さんに質問してみませんか? このコラムも実際に寄せられた質問にお答えしています。ほいくisでは、保育者のみなさんが抱える発達支援のお悩みを募集し、児童発達支援管理責任者/保育士/発達支援専門士として自治体とともに現場の保育士さんと一緒に発達支援を考える井上さんに回答いただく企画が好評です。あたたかい目線でいつも保育者に寄り添う井上さんのコラムは、現場の保育者の方からも非常に好評です。ぜひみなさんが感じていること、相談したいことがありましたら以下のバナーをクリックして相談を教えてください。 詳細については、相談応募フォームにてご確認ください。
◆関連記事