子ども主体になれなかった1年目
新卒の頃は、右も左も分からなくて本当に大変ですよね。きっと皆さんも同じような気持ちを経験しているのではないでしょうか。とにかく自分のことで精いっぱいで毎日必死だった保育士になりたての頃、私の頭の中は「先輩に怒られないように」が大半を占めていたような気がします。
そんなときに担任を持っていたクラスにいた男の子に、大切なことを教えてもらいました。
「先生が話聞いてくれない!」と言われる
3歳児クラスにいたYくんは、じっと座っているのが少し苦手。大きな声を出し、部屋の中を走っていることが多い子でした。でも頭のいい、お母さん想いのやさしい男の子でした。ある日、私がクラスのみんなに「プールに入る前のお約束事」を話していると、Yくんが私に向かって話しかけました。でも私は、Yくんの話を聞かず、「今はみんなにお話ししているから」と。
そうするとYくんは、大きな声を出して部屋の中を走り始めました。
後でYくんに言われた一言は、「だって先生、僕の話聞いてくれないから」。
子どもの気持ちに気付いた瞬間
その後、同じ年の出来事でこんなことがありました。普段からお昼寝の時間になってもなかなか寝つけないYくんは、寝かしつけに入っていた私に話を始めました。私はYくんと「みんなが起きちゃうから、小さな声でお話ししよう」と約束をし、秘密の会話をしばらくしていました。その後、30分ほど話したYくんは、自ら寝ていました。
以前の出来事と合わせて感じたのは、Yくんは自分の話を聞いてほしかったんだということ。 Yくんは毎朝、「お母さん、お仕事頑張ってね」と言い、仕事に向かうお母さんの姿が見えなくなるまでずーっと手を振り続けていました。
寂しい気持ちもあったのかもしれません。先生と話したいこともたくさんあったのかもしれません。
その後保育士としての経験を重ね、「子どもの主体性を大切にする」「気持ちを受け止める」ということの大切さを学んでいく中で、いつもYくんのことを思い出していました。
新卒の頃は、さまざまな失敗をしがちです。私も本当にたくさんの失敗を経験しましたが、この失敗と気付きがあったからこそ、その後の保育ではいつも「子ども目線の保育をしている」と褒めていただくことが多くなったのだと思っています。
目の前の子どもがなにを伝えようとしているか、どんな想いを持っているか、そんなことを考えながら、子どもと関わっていきたいですよね。
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