模倣遊びとは
保育園では、絵本やブロック、鬼ごっこなど、子どもの発達に合わせてさまざまな遊びが行われています。これらの遊びは以下の5つに分類することができます(※)。- 感覚遊び(例:水遊び、スライム作り)
- 運動遊び(例:鬼ごっこ、縄跳び)
- 模倣遊び(例:見立て遊び、ごっこ遊び)
- 受容遊び(例:絵本、パネルシアター)
- 構成遊び(例:ブロック、積み木)
模倣遊びとは、子どもが周囲の人や物の様子を真似る遊びのことです。子どもの成長過程で自然と現れる遊びの一つで、身近にいる大人の行動を再現することが多いです。
模倣遊びの中には、「見立て遊び」や「ごっこ遊び」があります。
◎見立て遊び | ある物を別の物に見立てる模倣遊び (例:積み木を電話に見立てて話す) |
◎ごっこ遊び | 特定の役割を演じる模倣遊び (例:ママと赤ちゃんなど、役を分担する) |
模倣遊びのねらいと養われる力
模倣遊びを通して、子どもたちは社会で生きていくための力を身に付けていきます。ここからは、模倣遊びのねらいと養われる力を3つ紹介します。1.社会性を身に付ける
子どもは模倣遊びを通して、社会性を身に付けていきます。真似(模倣)をするためには、相手のしていることをよく見る必要があります。子どもたちは、行動や話し方などをよく観察して再現遊びを繰り返すことで、物事の手順やルールなどを学んでいくことができます。
2.コミュニケーション能力を育む
模倣遊びを通じて、コミュニケーション能力が育まれていきます。子どもたちは、普段よく耳にする言葉を模倣遊びの中で繰り返し再現することにより、表現の仕方や語彙を獲得していきます。
また、遊びを発展させるためには友だちと協調しながら遊ぶ必要があるため、相手の立場や気持ちを尊重する力も育まれていきます。
3.想像力を培う
模倣遊びを行うことで、想像力が培われていきます。例えば見立て遊びでは、積み木がお金になったり電話になったりします。子どもたちは、同じものでもイメージによってさまざまな物に変化させることができます。
また、ごっこ遊びでも、本物を想像しながら役になりきりきって遊びます。
実際には無いものを頭の中でイメージして遊びを発展させていくので、想像力が育まれていきます。
模倣遊びを支援するためのポイント
模倣遊びを行う上で、保育士はどのような点に気を配ると良いのでしょうか。支援のポイントを3つ紹介します。1.安心して遊べる環境に整える
子どもたちが安心して遊べる空間を準備することが大切です。発達に合ったおもちゃや道具を用意し、誤飲やケガにつながりそうな物は片付けます。柔らかいマットやクッションなどを用意すれば、リラックスしながら遊ぶことができるでしょう。
2.子どもの興味関心に合わせる
子どもの興味や発達に合わせて、さまざまな模倣遊びが体験できるようにしましょう。例えば、ままごとだけでなく、お店屋さんやお医者さんなどの職業が体験できるように準備します。ごっこ遊びで使う小物は、製作遊びで作るのもおすすめですよ。
3.保育士は必要以上に声をかけない
夢中になって遊んでいる時は、保育士から子どもたちの輪に入っていったり、遊びの提案をしたりする必要はありません。子どもたちが主体的に遊ぶ様子を見守りましょう。トラブルやおもちゃの破損など、危険がある時には適切な対応を行います。
年齢別(クラス別)の活動例
ここからは、年齢ごとの活動例を見てみましょう。0歳児
0歳児では、近くにいる人の動きや表情を真似ることを喜びます。【模倣遊びの例】
- ニコッと笑う
- 手を振る
- 両手を叩く
1歳児
1歳児では、見立て遊びやままごとが始まります。【模倣遊びの例】
- カバンにおもちゃを入れる
- 家事(料理、掃除)の真似
- 積み木を耳に当てて電話をする真似
2〜3歳児
2〜3歳児では、友だちと役割を分担して遊ぶようになります。【模倣遊びの例】
- ままごとをする
- 動物の鳴き声や動きを真似る
- 乗り物の運転手になる
4〜5歳児
4〜5歳児になると、家庭だけでなく、社会を再現したごっこ遊びを楽しむようになります。【模倣遊びの例】
- お店やさんごっこ
- 保育園ごっこ
- 劇遊び
模倣遊びで子どもの力を育もう
子どもは模倣遊びを通して、社会性やコミュニケーション能力など、生活に必要な力を身に付けていきます。保育士は、さまざまな体験ができるような環境づくりを行っていきたいですね。模倣遊びについて考えている方は、参考にしてみてくださいね。
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