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【Vol.1】どっちがいいの?一斉保育と自由保育<第1回保育士座談会>

保育士の座談会
2020年2月14日、『ほいくis第1回保育士座談会』を開催しました。保育士参加型の企画は、今回が初めての試み。日頃応援してくださっている保育士さんたちに集まっていただき、さまざまなテーマについて考えや想いを自由にお話しいただきました。

さまざまな経歴の保育士さんが集合!

編集部の念願叶って、初めて保育士さん参加型のイベントを開催することができました! 初の試みに1日中ドキドキの編集部…。

しかし、そんな緊張もあっという間に吹き飛ぶような素敵な先生方が次々と会場へ。始まる前から参加者同士で挨拶をしたり、SNSアカウントの交換をしたりと盛り上がっていました。

今回集まってくださったのは4名の保育士さん。
(左から きよみ先生、ゆかり先生、かおり先生、あやか先生※テーマ2より参加)

一人ずつ自己紹介をして、いよいよ座談会の幕開けです!

「一斉」でもあり「自由」でもある

まず先生方に話し合ってもらったテーマは、「一斉保育と自由保育はどちらがいいの?」

「自由」の概念は難しい

みなさんは、どのような保育方針で保育を行ってきましたか?

かおり先生:私は一斉保育の園で働いていました。ただ、その中で子ども一人ひとりの気持ちをどう尊重していくのか、というのは私の中で永遠のテーマでしたね。一斉保育が機能する場面もある一方で、それを窮屈に感じてしまっている子どももいるので、私も悩んでいました。



きよみ先生:
私は10年くらい前から、「子どもが主体になっているなら、一斉保育でも自由保育でもいい。その枠組みなくならないかな」と思っていました。一斉とか自由という言葉そのものが大人の作った枠組みなので…。私の園では、子どもの主体性を大切にした保育をしていますが、一斉に散歩に行ったりしますよ。でも、行先は子どもたちが話し合って決めています。

ただ、幼稚園から保育園に来た先生は「一斉保育」の雰囲気が抜けない方も多い気がします。ゆかり先生はモンテッソーリ教育の園だけど、どう?

ゆかり先生:
一斉か自由かと言われたら、自由ですね。でも、全部が自由なわけではなくて、決まった枠組みとルールの中で自由なので、どちらかという捉え方は難しい…。

子どもたちが何をやるのかすべて決まっているような一斉保育も経験したことがあります。その後にいわゆる「自由保育」を行っているモンテッソーリの園に入ったときは、子どもたちがバラバラっといるのは最初は不安でしたね。慣れたらこの保育の方がいいなと思ったんですが。

きよみ先生:園見学に来る保護者の方に、よく「ここは自由保育ですか?」と聞かれます。どうして気になるのか聞くと、園見学した園の中に「うちは自由保育です」という園があったけれど、床一面におもちゃが広がっていて、それが自由というなら自由保育は良くないのでは…と気にされていました。

ゆかり先生:“自由”の定義って難しくないですか? 

かおり先生:あとは、私たちってニーズに合わせてサービスを提供していかなくてはいけない部分もあるけれど、「自由保育の園がいい、でも行事はやってほしい。きれいな製作も飾ってほしい」のような一斉保育を求められることもありますよね(笑)。

きよみ先生:私は自由とか一斉とか、廃止した方が良いと思うんですよね。よかった、ここで共感できて(笑)。
かおり先生:言葉にしないと不安なんだと思う! 「私は自由保育しています」とか、所属感みたいなものを重視するのは日本人の特徴なのかもしれませんが…。

ゆかり先生:私は「自由保育」と言われるのがなんとなく嫌でした。うちの園はモンテッソーリ教育でどちらかというと自由、でももちろん一斉に動かなくてはいけないときもたくさんある。「自由保育ですよね?」って聞かれるんですが、自由とか一斉とかどちらかに分けられないんです。

きよみ先生:今は教育もアクティブラーニングと言われているけれど、教える立場にいる人がその教育を受けていない。ベースを変えていくっていうことの課題は大きいですよね。

ゆかり先生:やっぱり自分が受けてきた教育を人にしようとしますよね。なので、例えば「散歩はみんなで一緒に行くもの」という考えから、散歩に行きたくない子がいるときに「その子は無理に行かなくていい」という子どもの気持ちを尊重した判断が理解されなかったりということはよくありましたね。

「保育所保育指針」になじみがない?

かおり先生:そもそもの保育士の考え方がカチカチになってしまっているので、それを崩していかないとですね。きよみ先生は園長先生ですけど、保育士さんにはどう伝えているんですか?

きよみ先生:私は指針を読んでもらっているかなぁ。今回の改定は、“保育士がさせたい保育”から、“子どもがやりたい保育”にどう変換していくのか、というところがポイントになっていると思います。

先ほど話したように、みんなで何かをするときには、子どもたちが内容を話し合って決めていくようにしています。そうすると、一見「一斉保育」だけど中身は子どもが主体になります。

意外と現場の先生は、保育所保育指針になじみがないということもありませんか?

全員:確かに!(笑)

かおり先生:私は公立の園で働いていたので、それこそ読み合わせしたり勉強会したり、結構細かくやりましたね。ただ思ったのは、公立は特にベテランの先生が多いので、保育の改定をなかなか受け入れてもらえないことも多い気がします…。
きよみ先生:私が保育士になった頃もちょうど指針の改訂があって、「指導から援助へ」となりました。指針を読んで素敵な保育をしている先生もいれば、それこそガチガチの指導をしている先生もいたり…。だから、今でも保育の考え方を変えられない先生は、ずーっと長い間指針を読んでいないんですよね、きっと。

かおり先生:まずは保育士の意識改革が必要かな。そのために指針の改定はいいきっかけになると思います!

一斉保育なのか自由保育なのか、というよりも、大事なのはその中身ということですね。ありがとうございました!

和やかな雰囲気の中でも、保育に対するそれぞれの考えが行きかう時間となっていました。次回は、ふたつめのテーマである「現場で本当に困っていることは?」についての話し合いの様子をお届けします。
  (※座談会は2020年2月に実施)


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ほいくis(ほいくいず)編集部

この記事を書いた人

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