配置基準とは
保育士さんが日々保育をする中でも気にかけている配置基準。シフトを組んだり休憩を回すうえでも切り離せないものですよね。配置基準とは、児童福祉法に基づいた「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」の中で、保育士ひとりにつき何人の子どもを保育できるかを定めたものです。児童福祉施設は子どもの安全を守るためにも、しっかりと基準以上の保育士を配置しなければなりません。
この配置基準は国が定めた認可保育所(認可保育園)の要件で、実際には各都道府県がこの内容を踏まえて条例で定めることになっています。また、この基準をベースとして他の地域型保育事業や認可外保育園などの基準が設けられています。
施設別の配置基準は?
実際にどのような基準が設けられているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。<認可保育園・認定こども園>
0歳児 | 3:1(子ども:保育士) |
1歳児・2歳児 | 6:1(子ども:保育士) |
3歳児 | 15:1(子ども:保育士) |
4歳児・5歳児 | 25:1(子ども:保育士) |
<地域型保育事業>
小規模保育事業 | A型・B型:保育所の配置基準+1名 C型:0~2歳児 3:1 (補助者を置く場合 5:2) |
家庭的保育事業 | 0~2歳児 3:1 (家庭的保育補助者を置く場合 5:2) |
事業所内保育事業 | 定員20名以上 保育所の配置基準 定員19名以下 小規模保育事業A、B型の配置基準 |
居宅訪問型保育事業 | 0~2歳児 1:1 |
11時間以内の場合 | 認可保育所の配置基準 |
11時間を超える場合 | 現に保育されている児童が1人の場合を除いて、常時2人以上 |
この配置基準、平成28年(2016年)4月から一部緩和されたことをご存知でしょうか? なんと、朝夕は「保育士1名でもOK」といったルールがいくつか追加されました。どういうことか、次で詳しくご紹介します。
参考:子ども・子育て支援新制度ハンドブック施設・事業者向け/内閣府
参考:認可外保育施設の質の確保・向上について
配置基準の緩和とは?
平成28年(2016年)4月から、待機児童を解消し、受け皿の拡大が一段落するまでの緊急的かつ時限的な対応として、配置基準の緩和が行われています。ここでは、その内容を見ていきましょう。朝夕は保育士1名+子育て支援員などでOK
代替可能な人として、都道府県知事が保育士と同等の知識や経験があると認めた者とされています。例えば、子育て支援員の他にも保育園での勤務期間が長い人や家庭的保育者など、無資格者でも可能です。
幼稚園教諭や小学校教諭が配置可能
幼稚園教諭や小学校教諭、養護教諭など、保育士と近接する職種の人を保育士に代えて活用できることになりました。ただし幼稚園教諭であれば3歳以上、小学校教諭であれば5歳以上の保育が望ましいとされています。また子育て支援員研修などの、保育を行ううえで必要な研修の受講が求められています。8時間を超えたら子育て支援員の代替可能
保育園が、延長保育などで8時間の通常開園時間を超えて開園している場合、その分追加で保育士が必要となります。そのとき、最低基準を上回って必要な保育士を子育て支援に代替できます。例えば、保育士の最低基準が15名の場合、追加で必要となる3名については子育て支援員でもOKとなります。最近は求人でも、延長保育時間のみのスタッフを募集しているところもありますよね。このような緩和ができたことで、シフトに少し余裕ができるのではないでしょうか。
参考:保育所等における保育士配置に係る特例/厚生労働省
イギリスの配置基準がすごい!
またイギリスの私立保育園では、なんと保育士ひとりに対して0~2歳児は3人、2~3歳児は4人、3~5歳児は8人と、こちらもかなり余裕を持って配置されています。
生活が自立し始める幼児クラスでも、予想外の行動は避けられません。そう考えるとイギリス程の手厚い保育ができるのは、保育士にとってとてもありがたいことです。
日本では、「定められている配置基準では足りない」という声も現場からは聞こえますが、今後保育士不足問題や配置基準が見直されていくことを期待したいですね。
保育の質の確保を
日本の配置基準は、実際に保育をしていると「厳しい」「保育士ひとりに対する負担が大きい」と感じることも多いかもしれません。また基準が緩和されたことによる、保育の質の低下を懸念する声もあるようです。さまざまな意見がある中ですが、きちんとした保育をするためにも、今後の制度や対策の動向に注目ですね。【関連記事】