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保育園でのうがい指導を解説~仕組み・効果・指導ポイント

ガラガラうがいをする女の子
寒さが厳しく乾燥しやすい季節は、感染症が流行しやすくなります。好奇心旺盛な子どもはいろいろな物に触れることが多いため、手洗いやうがいでの感染予防が大切になります。今回は、うがいを習慣の一つに出来るよう、方法や効果についてご紹介していきます。

うがいとは

手洗い場でガラガラうがいをする園児たち
うがいとは、一般的に水などをふくんで、口の中や喉をすすぐことを指します。大きく分けて「ブクブクうがい」と「ガラガラうがい」の2種類があります。

「ブクブクうがい」は食後の歯磨きなど口腔衛生に、一方の「ガラガラうがい」は、喉の乾燥を防ぎ菌やウイルスを洗い流す効果があります。状況に応じて2種類のうがいを使い分け、少しずつ練習し習慣にすることが大切です。

うがいの種類と方法

それでは、「ブクブクうがい」と「ガラガラうがい」について詳しく確認していきましょう。

ブクブクうがいとは

ブクブクうがいをする子どものイラスト
ブクブクうがいは口の中に含んだ水を左右にゆらし、水を吐き出すことで口の中を洗浄します。園で子どもたちに教える際は、イメージしやすいように口に含んだ水を「べー」と声に出して吐き出すタイミングを伝えるのも効果的です。

このブクブクうがいは、3歳で約50%、4歳になると約75%の割合で出来るようになると言われていますので、指導を始めるタイミングの参考にしてみてください。

私の乳児院での経験では、2歳前後で好きなキャラクターのコップを準備し、コップに興味が持てるようにすることから始めました。「好きなコップを使いたい」という気持ちから自然と食後の歯磨きに意識が向き、うがいをする習慣に繋げることが出来ました。うがいが上手く出来ない場合でも、食後に白湯やお茶を飲ませて口腔内を清潔に保つようにしましょう。

ガラガラうがい

ガラガラうがいをする子どものイラスト
ガラガラうがいは喉の奥(上気道※)に潤いを与えることで、異物を押し流す機能(線毛運動※)を活発にするために行います。空気が乾燥すると喉の奥が乾燥し、異物を押し流す機能が弱まってしまうため、うがいで乾燥を防ぐことが大切です。

「ガラガラうがい」は「ブクブクうがい」が出来るようになってから行います。始めは口に水をふくみ、「あー」と声を出しながら上を向く練習から始め、上を向けるようになったら水を吐く練習をすると良いでしょう。
※上気道とは
空気の通り道を気道と言い、その中でも上気道(鼻腔、咽頭、喉頭)と下気道(気管、気管支、細気管支)に分けられます。上気道には、空気を暖め加湿をする機能や、空気中のほこりや異物を捕まえる役割があります。
上気道と下気道の役割を説明するイラスト
※線毛運動とは
吸い込んだ空気にはウイルスや細菌なども含まれています。これらの異物が肺まで届かないようにするため、気道内を覆う粘液と線毛があります。気道に侵入してきたウイルスなどは粘液で捕らえられ、線毛の動きによって運搬・排除されます。水分を摂ることで線毛が潤い、異物を押し流す機能を維持することが出来ます。

うがいをするタイミングと環境

卓上型の温湿度計
それでは、園でうがいを習慣にするために、どのようなタイミングで行えば良いのか確認していきましょう。
  • 戸外遊びから戻った時
  • のどが乾燥していがいがする時
  • 空気が乾燥している時(温湿度計を確認)
子どもは喉が乾燥していても気が付かないことがあります。咳が出ていたり、声がかすれて発声しにくかったりする場合には、水分摂取やうがいを促しましょう。寒くなると乾燥してくるため、室内環境を40~60%の湿度に保てるよう加湿器などで環境を整えていくことも大切です。

園でのうがい指導

手洗い場でブクブクうがいをする園児たち
コップで水分が摂れるようになってきたら、歯磨き後のうがいから始めるのも一つの方法です。園では2歳児クラス後半から歯磨きを始め、担任の先生を中心として「歯磨きの後はうがいだよ」などの声かけで習慣化を促す形で支援していました。

病院では治療に入る前に、子どもの発達に合わせた説明(プリパレーション※)を行うことがあります。歯磨きやうがいの指導も同様に、子どもなりに必要性を理解し、興味を持って取り組めるよう支援していくことが大切です。

個人差があるので、必ず全員が決まった時期から始めれば良いとは限りませんが、お友だちと一緒に行うことで意欲を引き出すきっかけになることもあります。
※プリパレーション
子どもが入院や治療、検査を受けるときに行う、子どもの発達に合わせた説明や配慮のこと。


保護者への共有

うがいを指導する母親と子供
うがいの習慣は一時的なものではなく、継続して行うことが大切です。特に冬はインフルエンザ(※)などの感染症が流行する季節となるため、感染予防としてのうがいも重要になります。

保護者に対しては、園で取り組んでいるうがいの方法や様子を伝え、練習として家庭での入浴時に行う方法を提案してみるのも良いでしょう。はじめは上手くできず、周りを汚してしまい嫌がってしまうことがあるかもしれません。園や家庭での成功体験を少しずつ重ね、自信をつけられるよう支援していくことも大切です。
※インフルエンザ
インフルエンザウイルスに感染することで起こる感染症のこと。突然の高熱が数日間続き、食欲不振・頭痛・関節や筋肉の痛みが出ることがあります。子どもは自分で痛みや不調を訴えることが出来ない場合もあるため、いつもより元気がなく機嫌が悪い場合は、別室で対応するなど他の園児との接触を防ぐことも重要です。

個々の成長・発達に合わせた指導を

うがいは口腔衛生の他にも感染症予防としての重要な役割があります。しかし、子どもにとっては難しく面倒に感じることもあるかもしれません。そんな子どもの気持ちを受け止め、個々の成長や発達に合わせて支援していけるようにしたいですね。今回の記事が少しでも参考になると嬉しいです。

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