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保育士「求人票」の正しい見方。転職先を見極めるポイントを解説

求人票とスマートフォン
保育士の転職活動、または保育学生の就職活動で数多く目にする求人票(求人情報)。就職先の園を決めるために必要な基本情報が詰まった、最も大切な情報源と言っても良いでしょう。それだけに正しい見方を知っていないと、後々「思っていた条件と違う」といった事態にもなりかねません。今回は、求人票の見方を項目別に徹底解説しました。

求人票とは

パソコンを操作する保育士
求人票は、求人の募集をする事業者が求職者に対して、募集要項や事業者情報を公開するために作成する書類・フォーマットのことです。ハローワーク(公共職業安定所)や、学生さんは学校のキャリアセンター(就職課)で取り扱われているのを見たことがあるかもしれませんね。また、人材紹介サービスや転職サイト、就職サイト、求人情報誌などでも同様の情報を扱っていますが、利用者向けには求人票と言うところもあれば、独自に「求人情報」「求人詳細」「採用情報」などと呼称していることもあります。ここでは、求人票に統一して解説をしていきます。

書かれている項目は?

まずは求人票に記載されている項目を確認してみましょう。例えばハローワークでは、職業安定法に基づいて最低限明示しなければいけない項目が定められています。
  • 業務内容/契約期間/試用期間(ある場合)/就業場所/就業時間/休憩時間/休日/時間外労働/賃金/加入保健/募集者の氏名又は名称
これらは、求職者が就職先を選ぶ上で欠かせない重要な情報です。求人票をチェックする際は、最低限これらの項目が記載されているかを確認しましょう。また、保育士採用の求人票には、この業界ならではの情報も記載されています。項目別に記載例を交えながら、チェックすべきポイントを解説します。

募集職種・応募資格・雇用形態をチェック

履歴書と雇用形態を書いた紙
求人票にはさまざまな情報が書かれていますが、まず最初にチェックすべきなのが募集職種、応募資格、雇用形態といった「条件」に関する項目。そもそも条件が合っていなければ応募することができません。時間のロスになってしまうので、必ず最初に確認する癖をつけるようにしましょう。

募集職種とは

もともと保育士や幼稚園教諭などの求人であることが前提で情報提供がされている場合は気にする必要はありませんが、保育者向け求人情報サイトなどではそれ以外の職種も掲載されている場合があるので注意しましょう。園で募集している職種としては、看護師や栄養士、調理師(調理スタッフ)、事務員、用務員などのほか、保育資格が無くても応募可能な「保育補助」などがあります。よく確認することが必要です。

保育士の職種としては、一般保育士のほか、園長や副園長、主任、リーダー職などがありますので、自分が目指している職種かどうかを確認してくださいね。

応募資格とは

求人への応募に必要な資格、条件について書かれているのが「応募資格」です。一般的には資格や免許、経験年数などが記載されています。保育士求人の場合は、保育士資格を持っていることが前提となります。ただし、保育補助などの場合は「無資格でも可」、新卒の保育学生でも応募できる場合は「資格取得見込み可」などと書かれているケースもあります。

資格以外の要件としては、「保育士経験3年以上」「未経験可」など経験年数に関するものや、一旦保育現場を離れた人向けに「ブランクあり可」などの条件が記載されていることもあります。自分自身が条件に当てはまるか確認してくださいね。

雇用形態とは

そもそもどういった雇用形態の募集なのかが、希望の働き方と合わなければ意味がありませんよね。主な形態としては「正社員(正規職員)」「契約社員」「パートタイマー(パート/非常勤)」「アルバイト」「人材派遣」などがあります。

パートに関しては、勤務時間帯によって早番、中番、遅番が指定されている場合があります。求人の中には「フルタイムパート」と書かれたものがありますが、正社員(正規職員)と同じ勤務時間(常勤)ではあるものの、立場としては非正規雇用となりますので、その点は注意してください。

また、中には試用期間が設けられているケースがあります。その期間の待遇や雇用形態が、試用期間後と異なる場合がありますので、関連項目は必ずチェックするようにしましょう。

給与・手当をチェック

ベテラン保育士、子どもと給与明細を見る保育士
保育士に限らず、どのような職種の転職・就職活動でも一番気になるのが給与(給料)ではないでしょうか。それだけに、求人票でもしっかりとチェックしておきたい項目ですよね。しかし、さまざまな記載方法があるため、単に書かれている金額だけでは求人同士の比較ができません。基本的な記載ルールを知って、正確な収入を把握できるようにしておきましょう。

手取りではなく額面

求人票では、給与のところで記載されている金額は基本的に手取りではなく「額面」だと考えましょう。額面は事業者から支給される総支給額のことで、ここから社会保険料や所得税、住民税などが差し引かれて手取り額となります。一般的に手取り額は、額面の80%程度と言われていますので、目安として押さえておきましょう。

固定手当と変動手当の違い

基本給に加えて支給される各種手当には、大きく分けて2種類あります。募集対象の人に漏れなく支給されるのが固定手当で、資格手当や固定残業代などがこれに当たります。一方、条件により支給対象や金額が変わるものは変動手当と言い、役職手当や住宅手当、家族手当、精勤手当(皆勤手当)、残業手当(時間によって変動するもの)などが該当します。
  • 固定手当…資格手当(「保育士資格者に支給」など)/固定残業代(「時間外労働15時間分3万円を含む」など)
  • 変動手当…役職手当(リーダー手当など)/住宅手当(「世帯主のみ支給」など)/家族手当(扶養家族ありの場合)/精勤手当(休まず勤務した場合)/残業手当(時間によって変動するもの)

基本給と手当

求人によっては賞与などの基準となる基本給(基本賃金)の金額を掲載した上で、その他の手当を別途掲載しているケースもあれば、基本給と固定手当を合わせた金額を「月額●●円」「固定給●●円」などと記載しているケースもあります。

<記載例>
  • 基本給18万円 ※別途資格手当1万円を支給
  • 月額19万円 ※資格手当を含む
  • 固定給20万円(月額) ※各種固定手当込み
賞与や退職金、残業代については基本的に基本給を元に計算されるため、例え月給の金額が同じだったとしても、基本給が低い場合はそれらの金額も低く計算されることになります。表示されている金額が基本給だけのものなのか、固定手当も含めたものなのかは、要チェック項目と言えるでしょう。
 
【固定残業制とは】
給与・手当の項目に「固定残業代」「みなし残業」「一律時間外手当」といった記載や、「20時間分の時間外手当3万円」といった条件が示されている場合は、固定残業制を取り入れているケースです。これは、毎月一定の残業時間代分を、一定の金額で支払う制度です。上記にもある通り、「月額19万円~」といった記載がされている場合に、固定残業代が含まれていることもあります。

固定残業制を導入している事業者は、若者雇用促進法という法律によって記載すべき内容が決められています。下記の3点が書かれているか、念のため確認しておきましょう。
①残業時間
②残業代の金額
③残業時間を超過した場合は、超過分を支給する旨の説明

通勤手当・交通費手当

通勤で交通費がかかる場合は通勤手当が出る場合があります。ただし、事業者によっては上限額が設けられていることもあります。また支給対象となる交通手段に制限があるケースもあるため、想定される通勤手段が該当しているか確認をしておきましょう。

<記載例>
  • 交通費全額支給
  • 通勤手当支給(ただし月3万円を上限とする)

最低保証額と経験給加算

求人票では、求職者が漏れなく受け取れる給与の金額(最低保証額)を記載しなければいけないルールがあります。一方で、求職者の経験年数やスキルによって基本給や手当が加算されることがあるため、採用者の給与は必ずしも最低保証額と同じになるとは限りません。

<記載例>
  • 基本給(月額)150,000円~180,000円 ※経験により加算あり
  • 月給182,500円〜300,000円 ※各種固定手当含む
このように金額の幅がある記載もよくありますが、低い方の金額は新卒1年目の給与で設定されているケースが多いようです。中途採用の場合は、それまでの保育士経験年数や、リーダーや主任などといった経歴、持っているスキルによって経験給が加算される場合があります。規定やルールは各事業者で異なりますので、質問や確認する機会があれば聞いておいた方が良いでしょう。

試用期間で給与額が変わる場合も

「雇用形態」の解説でも記載しましたが、試用期間がある場合は要チェックです。能力や適性を見極める目的で設けられるケースが多く見られますが、期間は多くが1カ月~6カ月の間、平均的には3カ月くらいと言われています。合わせて正式に登用される可能性も含めて確認しておくことを薦めます。

試用期間中は正式な雇用とはならず、採用された職種から雇用形態や給与、待遇面で異なる場合があります。正式に採用された場合の額面から少なくなることもありますので、事前に確認しておくことが必要です。

求人情報への試用期間の有無の記載や期間中の条件などについては、2018年(平成30年)に改正された職業安定法(職安法)で義務化されています。試用期間がある場合は、必ず雇用者側から情報開示があるはずですので、その点は押さえておきましょう。




昇給・賞与をチェック

カレンダーと賞与の袋
昇給・賞与は、いずれも給与・手当と合わせて収入面に大きく関わってくるため気になる項目ですよね。こちらも分かりやすく解説していきます。

賞与の見方

「ボーナス」とも呼ばれる賞与は、通常支払われる給与以外に、主に事業者の利益を従業員に還元する目的で支給される一時金のことです。あくまで利益に連動して支払われことが前提のため、必ずしも支給されるとは限りません

そのため求人票には「賞与:3カ月分(実績)」など、基本的には過去の実績ベースの情報しか掲載されません。あくまで年収を計算するための目安と捉えておいた方が良いでしょう。

昇給の見方

求職者の経験年数や年齢、キャリアによって給与は変動しますが、昇給額についても諸条件やその事業者の査定方法などによって変わってきます。そのため、具体的な金額の情報というよりは「昇給あり」「昇給:年一回」など、制度の有無や頻度について書かれているケースがほとんどです。こちらも、あくまで事業者の給与制度を評価するための目安の一つとして見た方が良いでしょう。

勤務時間をチェック

保育園の活動の様子
就業規則に定められた1日の勤務時間(就業時間)を記載する項目です。基本的に、求人票に記載されている時間には、残業時間(時間外労働)は含まれていないと考えましょう。残業時間については別途記載されていることもあります。いずれも働き方の根幹に関わる大切な項目ですので、チェックの仕方を覚えておきましょう。

勤務時間の見方

保育施設では、多様な保育ニーズに対応するため長時間の保育に対応しているところも少なくありません。そのため、全体の勤務時間の中でシフト制を取っているケースが多くあります。

<記載例>
  • 7:00~19:00の中で実働8時間(休憩60分)
  • 早番7:00~16:00/中番9:30~18:30/遅番11:00~20:00(休憩60分)
中には「実働 8時間」「実働 8時間程度」などと、幅を持たせた書き方をしている求人票もあります。法定労働時間は1日8時間・週40時間を超えない範囲と定められていますが、保育施設では「36協定(サブロク協定)」と呼ばれる協定を労使側と結ぶことで時間外労働に対応しているケースも多くあります。このような表記がある場合は、どの程度の残業時間が発生するのか確認しておいた方が良いでしょう。

残業時間の見方

求人票の残業時間については特に記載ルールがある訳ではありませんので、例えば「時間外あり・平均1時間」や「残業は月10時間程度」といった形で、書き方もまちまちです。また、特に記載されていないこともありますので、質問する機会があれば確認しておいた方が良いでしょう。

また、固定残業制を導入している事業者の場合は、ある程度の残業が発生すると考えておいた方が良いでしょう。給与・手当の項目に書かれている固定残業の記載を見て、どれくらいの残業時間が設定されているのかを確認しておくことも大切です。

休日・休暇をチェック

雑誌を読んでリラックスする女性
休日(労働義務のない日)・休暇(労働義務のある日にその義務が免除されること)について、就業規則などで定められた日数や休暇の内容を記載する項目です。保育施設は、運営形態によってさまざまな休日制度があり、記載方法もまちまちです。働き方に関わってくる大切な項目ですので、正しい見方を確認しておきましょう。

休日の見方

保育施設によっては、月曜日から土曜日まで開園している園もあれば、土日は休みという園、また病院内保育園や企業内保育園の中には365日開園という園もあります。各施設の事情に合わせた記載となりますので、開園日や運営形態と合わせてチェックしてみましょう。

<記載例>
  • 完全週休二日制
  • 週休二日制
  • 日曜・祝日ほか
一つ目の記載例のように「完全」と書いてあれば、週に2日のお休みがあります。一方、単に「週休二日制」であれば、「日曜日はお休みで、土曜日は隔週でお休み」といった変則的なケースも含まれます。1カ月のうちに1週でも2日休みが取れる制度であれば「週休二日制」と書けるため、この点は勘違いしてしまわないよう注意が必要です。

また、曜日や「祝日」の形で書かれているケースもあります。記載例の場合は、少なくとも日曜日(1週1休)と祝日はお休みということが分かります。

<記載例>
  • 4週8休
シフトを組む際に、勤務時間だけでなく休日の取り方も変則的になることがあります。記載例の場合は、4週間のうちに8日間の休みが取れる制度となります。週によって休みが1日のときもあれば、3日という可能性もあります。実際にどのような形で運用されているのかは事前に確認しておきましょう。

<記載例>
  • 年間休日120日
休日制度の記載と合わせて、年間休日の目安が書かれていることがよくあります。統一した表記ルールがある訳ではないので、単純に求人同士を比較することはできませんが、ある程度の目安となりますのでチェックしておきましょう。

参考までに「カレンダー通りの休日」の場合を計算すると、年間52週×2日で104日、祝日は年間15~16日(土曜日で振替休日にならないケースもあり)となっているため、約120日がめやすとなります。

休暇の見方

「休暇」は、労働日であっても事業者がその義務を免除する日のことを言います。大きく分けて、法律で定められている「法定休暇」と、事業者が独自で設けている「法定外休暇(特別休暇)」の2種類があります。

<記載例/法定休暇>
  • 年次有給休暇
  • 産前産後休業
  • 子の看護休暇
  • 育児休業
  • 介護休業/介護休暇 など

<記載例/法定外休暇(特別休暇)>
  • 慶弔休暇
  • 夏季休暇
  • 年末年始休暇
  • バースデー休暇 など
例えば、年末年始休暇や夏季休暇と書いてあっても、施設の運営形態によっては交代で調整しながら取得していることもあります。また、幼稚園は学校法人のため夏休みや春休みなどの長期休暇がありますが、保育園の場合は基本的に固定のまとまった休暇がないところがほとんどです。

法定外休暇(特別休暇)については事業者毎にルールを決めていて、自分がイメージしているものとは異なる場合があるので、確認をしておいた方が良いでしょう。

福利厚生・待遇をチェック

年金手帳と電卓
主に社会保険制度の内訳や、その他の福利厚生や待遇に関わることが記載されています。求人票によっては、昇給・賞与や交通費などの手当支給、退職金制度などについて書かれていることもあります。また、エプロンやユニフォーム、制服の支給や給食の補助(安価で給食が食べられるなど)がこちらに記載されているケースも多くあります。

社会保険の見方

社会保険とは、国が定める社会保障制度のひとつで、疾病や高齢化、失業、労働災害、介護などのリスクに備えて、雇用者と雇用主それぞれに加入が義務付けられた保険制度です。定義や解釈はさまざまありますが、求人票の項目で「社会保険完備」などと記載があった場合は、「雇用保険」「労災保険」「厚生年金保険」「健康保険」の4つを指します。

<記載例>
  • 社会保険完備
  • 社会保険あり
社会保険は強制加入のため、事業者は加入していることが前提となりますが、何らかの事情で完備されていないところが無いとも限りません。この場合は、正社員など加入条件を満たす立場であっても保育士さん自身が別途、国民年金保険や国民健康保険に加入する必要が出てきます。またパート採用の場合は、労働時間や日数、収入などの条件によって加入義務の有無が異なります。安心して仕事を続けていくためにも大切な項目ですので、社会保険については必ず確認しておきましょう。

施設形態をチェック

保育園の遊具と柵
保育施設は、運営形態によって勤務時間や休日制度など、働き方が大きく変わってきます。また運営形態は、その保育施設の施設形態によるところが大きいので、まずは求人票で施設形態を確認することをおすすめします。

認可保育園、認証・認定保育園、認可外保育園、院内保育園、企業内保育園、認定こども園など、それぞれの施設の特徴と、働き方をチェックしておきましょう。

まとめ

いかがでしたか? 転職・就職は人生の分岐点にもなる大事なライフイベント。求人票(求人情報)は、その選択肢についての情報を与えてくれる貴重なものです。勘違いをして誤った選択をしてしまわないよう、準備をした上で臨んでくださいね。皆さんの成功を願っています
 
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ほいくis(ほいくいず)編集部

この記事を書いた人

ほいくis(ほいくいず)編集部

保育・幼児教育のプロフェッショナルで構成された編集部のライティングチームが、質の高い保育を日々提供していくために必要な知識・ノウハウを発信。専門知識から保育ネタ、保育士試験関連情報、保育学生さん向けの情報まで、あらゆる分野を網羅していきます。

<公式Instagram>
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