閉じる

MENU

ログイン

スウェーデンの保育で大切にしている「子どもの参加と影響力」とは?

スウェーデン在住で2児の母であり、プレスクールで保育士として働くよしざわたかこさん。スウェーデンの幼児教育を中心に保護者の目線と働く目線とを織り交ぜながら、現地のリアルな情報を紹介してもらいます。>>連載の記事一覧はこちら

今回のテーマは「子どもの参加と影響力」

今年最後の連載は、「レッジョ・インスピレーション」と呼ばれるスウェーデンの保育の特徴のなかから「子どもの参加と影響力」を考えていきたいと思います。

特別ゲストとしてスウェーデンのプレスクール教師ARISAさんをお迎えして、スウェーデンの教育の特徴の一つである「子どもの参加と影響力」についてお話を伺っていきます。

「子どもの参加と影響力」とは?

今回テーマにする「子どもの参加と影響力」は、レッジョ・インスピレーションと言われるスウェーデンのプレスクールカリキュラムにも記されている大切な項目です。
レッジョ・インスピレーションとは?
レッジョ・エミリア(以下レッジョ)の教育思想を取り入れつつ、スウェーデンの歴史や文化とともに練り上げられた幼児教育の指針のことを指す。「子どもの参加と影響力」はレッジョでも大切にされている民主主義社会の一つの側面です。

スウェーデンの公立園の保育とは?

プレスクール教師ARISAさん

 さっそくゲストのプレスクール教師ARISAさんにお伺いします。公立園で3~5歳児の担任として勤務されていたと伺っています。公立園はカリキュラムの思想を実現するために、よりレッジョ色が強い印象がありますが、実際にどうでしょうか?
 

そうですね。私も自治体がレッジョ・エミリア・インスティチュートの研修費用を負担して参加しました。

この職場では、教師、保育士も全てのスタッフにレッジョの哲学が浸透するように定期的に勉強会が開かれていました。

さらにレッジョは、プレスクール教師の教育課程でも文献や授業で度々目にするワードで、スウェーデンの教育の中核という印象を受けます。

レッジョの哲学は子どもの権利や可能性を信じている点で素晴らしいと感じます。「子どもの参加と影響力」についても学び、文献だけではなくケーススタディもたくさんやりました。

ずばり「子どもの参加と影響力」とは、どのような考え方なのでしょうか?

2つの側面があると考えます。1つ目はプレスクールでよい教育が受けられるよう、そして、既に民主主義社会の一員として、プレスクールという小さな社会で、子どもが何らかの形で教育活動の内容の決定に参加したり、影響力を持ったりすることです。

これが子どもの権利にもつながります。2つ目に、これを長期的な目で見ると、民主主義社会に積極的に参加することに繋がります。

つまり自分の頭で考えて、意見を持ち、それを発信し、行動してそれに対して責任を持つ大人を育成する観点があります。 

注目したい「乳児クラスでの経験」

子どもは生まれた時から、社会の一員という考えは非常に大切ですよね、では、現場ではどのようなことを大切にされていますか?


普段から子どもたちの会話をよく聞くこととクラスの全員の子と話すことです。

特におとなしい子たちには積極的に関わるようにしていました。なぜなら誰もが「参加と影響力」があるとの考えから、彼らはそれがまだ外に出せていない子と捉えます。

その子達に安心して自分の意見を言える雰囲気作りと信頼関係は大切です。私は、3~5歳児クラスで働いていましたが、年少児クラスから上がってきた子たちでしっかり意見が言える子とそうでない子がいるんです。

「何でかな?」と観察していると、どうやら乳児クラス(1~2歳児)での経験が関係しているように思いました。
 
トリのイラストが貼ってある壁

乳児からの経験で違いが見えるんですね。私は乳児クラスで働いているので、子どもたちが言葉以外に全身で思いを発しているのを日々目の当たりにします。小さい子どもだからといって与え続けるのではなく、大人がしっかり観察して子どもの声を受け止めることが大切ですね。


そうすることで、周囲への信頼感が持て、自分の意見を発信することができるのだと思います。

保育に「子どもの参加」を反映するには?

「子どもの参加、影響力」をうまく反映できたという事例を教えて下さい。


子どもたちがお店屋さんごっこを始め、最初は拾ってきたどんぐりや松ぼっくりを使っていました。

もっと遊びが広がるよう、親にも協力を仰ぎ、ケチャップや牛乳パックなど子どもがお店で売りたいものを持ってきてもらいました。

そこから、クレジットカード支払いの機械、お金、広告も手作りし、数字やアルファベットへの関心を高めることに広げることもできました。

保育でのプロジェクト活動

プロジェクト活動では、ひまわりを種から育てました。
ひまわりの種を使ったプロジェクト活動の様子

咲いた花を観察している時に種を鳥にあげたいという子どもの声を拾って、鳥に種をあげるための箱を用意したり、観察できるようにしたりして環境設定をしました。

最終的に鳥がどうやって鳥かごの狭い穴に入るのかという疑問から、鳥の生態系を探る活動へと進んでいきました。

プロジェクト活動は「子どもの参加と影響力」を高めるための手段のように感じます。


子どもの考えをたくさん聞くことができるし、子どもが自分の頭で考える機会にもなるし、とても適していると思います。

「子どもの参加」に必要な環境設定

最後に「子どもの参加と影響力」を高めるための環境作りで必要なことを教えて下さい。

  
できるだけ小さなグループで活動することと活動の柔軟性です。子どもによって興味関心や学び方が違うのは当たり前なので、それぞれに合わせた活動の計画を立てることが大切かなと思います。

今回のまとめ

今回は「レッジョ・インスピレーション」と呼ばれるスウェーデンの保育の特徴のなかから「子どもの参加と影響力」について、スウェーデンの公立園でプレスクール教師をするARISAさんに伺ってきました。

「子どもの参加と影響力」というと難しく捉えてしまいます。

しかし、彼らの声に耳を傾けて対話しながら保育活動を進めることが「子どもの参加、影響力」を高めることに繋がりそうですね。

▼プレスクール教師ARISAさんのツイッターもぜひご覧ください
@educare_SDGs 

▼ほかおすすめのコラムはこちら!
よしざわたかこ

この記事を書いた人

よしざわたかこ

スウェーデンの保育士。東京でOL(10年)→出産→退職→幼児教育を学ぶために再度大学生→2016年に家族でスウェーデン移住→スウェーデン語をゼロから学び、2019年5月からプレスクールに勤務中! 移住後は、スウェーデンの幼児教育事情をブログにて配信中。
<Twitter>
@swedenhoiku
<Instagram>
@sweden_hoiku

関連タグ

シリーズ関連記事

おすすめ記事