いまtupera tuperaを取り上げる理由
絵本を作っている方々の中でトップクラスに愛してやまないtupera tuperaが、愛する絵本作家シリーズに満を持しての登場です。このタイミングで綴るのには、俺なりに意味があります。と言うのも2021年秋、tupera tuperaの亀山達矢氏と一緒にイベントを企画運営そして実施いたしました! その時に感じたことも盛り込みながら、溢れ出る魅力をお伝えしていきたいと思います。
プロフィール
tupera tupera (ツペラ ツペラ)亀山達矢と中川敦子によるユニット。2002年より活動を開始する。絵本やイラストレーションをはじめ、工作、ワークショップ、アートディレクションなど、さまざまな分野で幅広く活動している。絵本など、著書多数。海外でもさまざまな国で翻訳出版されている。NHK Eテレの工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションも担当。
保育現場で読まれている作品は?
楽しい作品は数あれど、保育現場で一番読まれている絵本は『やさいさん』ではないでしょうか? シリーズ化されている『くだものさん』(2010年)、『ぼうしとったら』(2012年)、『かぜビューン』(2018年)と合わせて、多くの子どもたちを笑顔にしてきました。俺自身、おはなし会を行うときは、ほとんどの場所で最後の一冊に『やさいさん』を読んで、「すっぽーん!」の大合唱で終わります。
『やさいさん』
tupera tupera
学研教育出版/2010年
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そして、『しろくまのパンツ』も外せません。穴あきしかけ絵本業界(俺の造語)で注目を浴びてから、もうすぐ10年が経とうとしています。後にも先にも、パンツを履いた絵本は唯一無二の存在。次の展開がわかっていても、何度も「読んで読んで」と子どもたちが持ってくる。最後の結末と付属の歌の自由度。読み手の数だけ歌があると思います♪
豆知識ですが、この本の奥付けを見ると、マレーシアで印刷していることがわかります。それには理由があります。絵本に履かせられているパンツは、絶妙に履かせやすく・脱がせやすいサイズで作られています。これを実現するには、絵本の紙質や穴あき仕掛けの具合など、高いクオリティの印刷技術が求められます。外国語での出版の場合、その国の印刷で行われることもありますが、この精度を再現できるところは多くありません。技術とコストを考えると、マレーシアで印刷して世界に輸出するのが最適という訳です。まあ、簡単に言うと、世界中のこの絵本を手に取った人たちが、等しく絵本からパンツを脱がすことができるように1箇所で印刷しているのです(笑)。
『しろくまのパンツ』
tupera tupera
ブロンズ新社/2012年
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『パンダ銭湯』もtupera tupera作品を代表する1冊です。パンダ専用の銭湯は秘密がいっぱい。パンダそのものに大きな秘密があり、「そうだったのかー!!」と思わずにはいられません。更には、絵の中に細かい設定があり、パンダ社会をよりリアルなものにしています。
こちらの作品では、絵本の発売から月日が経つごとに、パンダ銭湯が現実社会でもどんどん実体化してきたことが話題になりました。全国各地の銭湯で本物のパンダ湯が出現。ついには家のお風呂でもパンダの湯を楽しむことができる入浴剤まで実現。絵本が作り出した世界観の広がりや、楽しさが留まることを知りません。
『パンダ銭湯』
tupera tupera
絵本館/2013年
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この絵本がすごい!
ここまでは代表的なtupera tupera絵本語りでした。ここからは、自分なりに「この絵本すごい!」と感じた絵本について語っていきます。『どんなおと?』
tupera tupera
教育画劇/2009年
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10回読むと10回とも違う読みあいができる絵本。「○○のおとは?」と、身の回りから聞こえてくる音について問いかけられていきます。
例えば、「りんごを かじったら どんなおと?」に対して、子どもが違えば、答えも千差万別。同じ「シャリッ」だとしても、音程も違うし、速度も違う、それぞれの「シャリッ」になります。ちなみに俺は、ジョナゴールドよりもふじが好きなので「ボリッ」と、固めの音が聞こえてきます。
馴染みのある音から始まり、ページが進んでいく毎にスケールアップしていきます。子どもたちの声量も熱狂も最高潮に達した後、起承転結の「結」に向かっての展開が素晴らしく、読み終えるころには、動と静のある活動を読みあいで楽しむことが出来ます。
膝に子どもを抱いて1対1でじっくり考えながら読むのも楽しいですが、集団で読みあいをすると、一斉に答えが返ってきて、しかもみんな違う答えになります。友だちの表現を知る良い機会にもなります。まだ読んだことない方は、ぜひクラスで読んでみてくださいませ。
次回は?
tupera tuperaが好き過ぎて、溢れ出る魅力をまだまだお伝えしきれておりません。全部の絵本を紹介しても言葉が尽きることはありませんが、今回のコラムはこのくらいにしておきます。次回は絵本語りに加えて、保育現場で受け入れられ続けている理由に対する、俺なりの分析をお伝えしたいと思います。お楽しみに!
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